リトバス
よくぞ言った わたしのことを
遥かなる恋人の前に愛着し
執していると 呼ぶ者は
いかなる愉楽も まさりは
しないのだから
遥かなる恋人のあたえる愉
楽には だが愛する人は
私を嫌っている
わが運命は
愛しこそすれ愛られぬ定め
なのだ
リュデル カンソより抜粋
−他が為に、我が為に、O,Z−
親父。父さん。が死んだ。
朝、いつもより遅く起きて自分の部屋から出たら、人形のように立ち尽くしていた母と兄さんがいた。
母達の視線の先にはビールの空き缶を片手に眠るように父さんが倒れていた。
母さんは膝から崩れ落ちた。
兄さんは煙草に火をつけた。
僕は兄さんから煙草をもらった。
火をつけずに指先で煙草をもてあそんでいたら母さんが言った。
「あら、まぁ」
死因は脳卒中、原因は詳しく説明されたけど……まぁ正直誰にも分からないのだ。実にリアリティがあり人が突然死ぬのにはありきたりな死に方だ。
この十七年生きてきた中で、珍しいかもしれないが、死がこんなに身近に起こった事がなかったから、免疫や抗体が凄い速さで僕の中に出来ていくのが分かった。もちろん精神的な。
精神的免疫or抗体が喉の奥のほうに固まり心臓に抜けて全身をめぐり、脳の隅々に行き渡っていくイメージが僕にはありありと想像できた。そして、僕の脳の中のホムンクルス達は急いでそれらを現実的に置き換えようとがんばってくれた。
だから僕は泣かないんだろう。うん、多分ね。
こんな事を葬式中いつも考えてた。
坊さんが念仏唱えてるときも、親父が灰になる前も、親父が灰になったときも。
普通なら、親父との思い出とか思い出して泣くものなのかな、とかも考えていた。でも、無理だった。泣く泣かない以前に思い出せないのだ。親父への、情愛、尊敬、感謝たちはどこかに消えていた。多分シマリスのように隠れているんだけれども、見つけることはできない。ホムンクルスたちは、死という衝撃を和らげるためだけに働いたのだ。思い出を思い出すことができない理由を考えようとしても、チクリチクリと頭が痛くなってくる。
だから墓の前で手を合わせて親父に心の中で言う。親不孝者ですと。
親父の葬式が終わり、何時もどうり兄さんは仕事のため会社に行き、母は仕事のためパートに出かけた。
僕の家族は古い歯車を少しずつ回すように社会に、日常に戻ろうとしていた。
でも、兄や母が一生懸命社会や日常に戻ろうとしているのに、僕だけがダラダラと高校を休み、歯車を回すこともしないで怠けていた。
そんな時に彼女が家にきた。
正確に言うなら親父の葬式が終わり、五日たった土曜日の曇りの日の朝にきた。
僕は前日の夜遅くまでどっぷりと本を読んでいたから、朝十時に母に起こされたときは苛立ちさえ覚えた。
「早く起きない。友達があんた心配して来てくれたわよ」
「……友達?誰?」
「知らないわよはじめてみる子だもの、髪がふわっとなった綺麗な女の子」
僕は上半身を起こして全然まとまらない頭で少し思い出す。が、それだけの情報ではわかるわけもなかった。
母がカーテンを勢いよく開いた。窓から見えた空は妙に厚い布団が覆いかぶさっているような曇った空だった。とりあえず寝ぼけた頭を抱え、ベットから抜け出した。スゥエット姿で玄関まで行った僕は驚いた。というか目が覚めた。
そこに立っていた女の子は母の言うとうりとっても綺麗でキュートな子だったから。
粉雪のように白くて溶けてしまいそうな肌に、金色の波のように胸まで伸びた長い髪。おっとりとした優しそうな目は大きく、また湖のように澄んでいた。顔の整い方が少々子供っぽさを残しはするが綺麗でキュートで美人だった。スタイルもいいし、服のセンスも悪くない。多分ヴィヴィアンなのだろう、立体裁断のジャケットを若さとキュートさで着ている。
こんな印象的な子がいたら友達にいたら間違いなく僕は忘れたりしない。僕は間違いなく彼女に会った事はない。まったくの他人のはずだ。
でも彼女は言う。
「ごめん、早く来すぎちゃった?まだ寝てたよねぇ、でも君も悪いんだよ学校ずっと休んでたから不安になるじゃんか。君私の携帯壊れてるの知ってるよね?だからほんとに今日遊ぶのかの連絡も取れないし……だからまぁとりあえず来たってわけ。分かった?」
彼女はまるで何かに追われている逃亡者のように一言でまくしたてた。言われた言葉を心の中で何度か反芻しても理解できずにいる僕を無視してか母が言った。
「ごめんなさいねほんとに家の馬鹿が。さぁあがっていって下さい」
僕が口を開く隙を狙ったのか、見事なタイミングで彼女は言う。
「あっ」
「わぁ、いいんですか?じゃぁすいませんお邪魔します」
母さんは言う。
「どうぞどうぞ。とりあえず汚いとこで悪いんだけど、この馬鹿の部屋にいてくれないかしら。すぐにお茶とか持っていくから」
そんな、お構いなく。とか、イエイエ。とか、よくある日常会話を、この狭い玄関で繰り広げ、彼女は母に連れられて僕の部屋に消えていった。
僕はとりあえず洗面台にいった。論理的思考にガソリンを注入するかのようにゆっくりと顔を洗い、歯を磨いた。
まともな、休日の、朝の人間らしさを手に入れようとした。
スゥエットを脱いで洗濯機の中に放り、室内に干されていた生乾きのロンTを着て、お気に入りのカーゴパンツをはいた。
キッチンに行き、食器棚からスナフキンのマグカップを取り出し、コーヒーをよそってゆっくり飲んだ。
兄が起きてきて(今の今まで寝ていたのだ、羨ましい)僕に言った。
「誰かが家に来たの?お前の友達?」
僕は少し考えて「うん。確かに誰かきたけどね。まったく知らない人」と言った。
「お前の部屋にいるみたいだけど……」
「だって本当に知らないからさ、パン食べる?」
「あーうん。後コーヒーと新聞頂戴」
僕はマグカップにコーヒーをよそって、トースターに食パンを入れ、コンロの横にあった朝刊と熱いコーヒーを、兄に渡した。
「はい。熱いよ」
「あぁ有難う」
ただの暇つぶしに、兄越しに窓から外を眺める。空はやっぱり曇っていた。口にコーヒーを含みなが、僕は、世界の果てについての事と、カンガルーのポケットの中身の事と、スナフキンのマグカップの事を考えた。
そんな風に物思いにふけっていたら後ろから固い物で殴られた。
「あんた何でそんなとこでボーとしてんの。フミちゃん部屋で待ってるわよ」
母は手に丸めた雑誌を持っている、多分それで僕の頭を殴ったのだろう。少々怒り口調で言った。
僕は尋ねる。
「フミってだれ」
母は丸めた雑誌で又僕の頭を殴った。
「同じクラスの子なんでしょ、あんたは学校いってないのか?
とりあえず、あんたの部屋に行きなさい」
母に逆らう事なんかできるわけもなく、僕はコーヒー入りのスナフキンのマグカップを台所に置いて自分の部屋に歩き出した。
部屋の扉を開けると正座した彼女がいた。悲しげなイメージだ、うつむいていて、何かを考えていると言うかは何かに囚われているとゆう印象を受けた。
僕はとりあえず彼女に尋ねる。でも。
「ねぇお……」
「お願いだから今日一日あたしに付き合って!!」
やっぱり僕の口を開くタイミングを知っているかのような絶妙なタイミングで、彼女は僕の言葉を遮った。
意思疎通なんて彼女はする気なんてないのだろうか、クルクルと混乱する。深い深いカオスの海にダイブする。僕はワラでもつかむ気持ちで散らかった机の上からマイルドセブンと喫茶店で貰ったマッチを掴んだ。何度か上下させて一本だけ出し、口に咥えてマッチを擦り火をつけた。沈まずにすんだ。
彼女が顔をしかめながら言った。
「私……煙草あんまり好きじゃない。
てゆうか、一言ぐらい吸うよとか声かけてから吸ってよ」
「初めて会った君の好みなんて知るわけないだろう。僕は神様じゃないしね。
それにここは僕の部屋だ。いつもは誰にも了解なんてとらないよ」
「ふむ……まぁそれはそうね。でもとりあえず窓のほうに行って煙草クサイ」
言われたとうりに窓のほうまで移動した。鍵をはずし三分の一だけ開けた。
ついでにコンポの電源を入れてCDの再生ボタンを押した。オアシスの「HEIIO」が流れ出した。
「で、僕に何の用があるの?嘘までついた理由わ?初めて会うはずだよね?今日一日付き合ってってどういうこと?てゆうかなんで君は僕のうちに来たの?それに……」
煙草を少し吸って、勢いよく吐いた。
「一番知りたいのは、君は誰なの?」
彼女は少しうつむいて、答える。
「質問攻めだね……まぁしょうがないか。私は……新木 フミ。十八歳。森が丘女子高の二年生。君とは初めて会う……でも事情があって言えないけど君の事は知ってるの」
「事情?どんな」
「ごめん。言えない」
「はぁ、まぁいいや続けて」
僕は視線を窓の外に向けた、遠くに赤い風船が空に上っていくのが見える。彼女は話す。
「えっと。どうしても言えない事情があって、今日一日私と過ごしてほしいんだ。もし用事があるならそれまでの時間でも……で、お願いなんだけど私の嘘にも付き合ってほしいの。
私はあなたの学校のクラスの友達って事と、このCDを返しに来たって事。
でさ、ハイこれ“借りてたCD”」
僕は自分の部屋に視線を戻す。彼女は鞄の中から一枚のCDを取り出した。マンソンのアルバムだった。彼女は笑顔で僕のほうを見ながら言う。
「で、今日は何か予定はあるのかな?」
「別に特にないけど……」
「じゃあお願いだから私に付き合って!!いいよね?」
僕は煙草をビールの空き缶でもみ消した。中からはアルコールと煙草のにおいがミックスされたひん曲がるような臭いがした。
僕は左手にはめてあるミサンガを口に入れ噛んだ。大体悩んでいるときとかは僕はこうしてしまう、癖なんだ。
「まぁいいか。いいよ付き合うよ」
と答えた。大体みんな勘違いするけど、僕はどちらかと言えば聞き分けはいいほうなのだ。
「ホンと!!?ありがと〜!!」
「でも条件がある。その言えない事情ってやつを話してくれないならだめだ」
彼女は腕を組んで、まさに考えてます。とゆう格好をした。なかなかリアクションが豊富な子のようだ。長くなりそうなのでCDを取り出して、スーパーカーに変えた。一曲めを聞き終わるところで彼女は口を開いた。
「言えるところまででいい?」
「どうぞ」
「君の事は友達に聞いてて知ってたの。それで、うーん……君のお父さん……死んじゃったよね、で君学校こなくなったでしょ。それを心配した私の友達が様子を見に着てって私に頼んだの。大体こんな感じね。」
「嘘だろそれ」
「ホントよ!でも言えるのはここまで。後は何を質問されても言えません!
自分でもありえないような事いってるって知ってるよ。でも、もう口が裂けてもいえませんからね。」
どうもしっくりこないとゆうか、なんか水でも掴むような手応えのないことを言われた。
何でそんなまどろっこしい事をする必要があるんだ。意味が分からない。
僕は意味が分からなすぎるから、とりあえず“返してもらったらしいCD”(僕が誰かに貸していたらしいCD)を手に取った。
このアルバムは確かに僕は持っている。でも誰かに貸したこともなければ、この家から持ち出したこともない。今でも僕のCDラックの中に雨の日のカタツムリみたいにひっそりと片隅にあるはずだ。そう思い、僕はCDラックの中を軽く探した。
でも、なぜだか見当たらない。買ってまだ1ヶ月とたっていないはずだから奥にあるはずがない。僕は不思議に思い丹念にキチンと探したがやっぱり無くなっていた。兄が持っていったのだろうか。
僕はまた煙草に火をつけ、ミサンガを噛んだ。僕の悩んだ顔を見た彼女が尋ねる。
「どうしたの?」
「いや……ねぇもしかしたらだけど。ありえないけど。……このCDって僕の?」
「うん。そうだよ君のだよ。言ったじゃん私はCDを返しにきたって」
「でも君はCDを返しにきたのも嘘だって最初に言ってた気がするけど」
「まぁ言えない事情があって君のCDが私の元に来たのよ。それにだいたい嘘をつくときは少しだけホントの事を混ぜるものじゃない」
「まぁそうかもしれないけど……とゆうことは君はまだ僕にうそをついてると、そうゆう事だよね?で、その事情は言えるの?」
「……言えない」
「ふー……もういいよ」
僕は大げさにタバコを吸い込んで、勢いよくよく吐き出した。彼女をまねて本当にもうどうでもいいやというリアクションを大袈裟にするために。
「で、僕は何をすればいいのでしょうか?」
「うんとねぇ……とりあえずお父さんに挨拶しよう。仏壇どこ?」
「なんで?」
「まだお葬式終わって一週間もたってないでしょ?その時期にきた訪問客はね、たとえその人を知らなくても挨拶しなきゃだめなんだよ。知らないの?」
「聞いたことないな」
「とりあえず私の家はそうなの、だから早く仏壇につれてってよ」
「ふーんそうなの」
僕は火をつけたばかりの煙草をビールの缶で又もみ消し、立ち上がった。彼女も立ち上がり僕の部屋の扉を開けた。
仏間は一番奥の部屋だ。冷えた廊下を進む。ふすまを開くと、朝だとゆうのに薄暗く、電気のスイッチを入れた。仏間に入るとまだ線香の香りが残っていた。
仏壇の前に座布団を置き、僕は壁に寄りかかった。彼女は僕の敷いた座布団の上に正座し、息を、ふー。と吐き手を合わせた。
彼女は長く。本当に長く手を合わせていた。待ちきれなくなった僕が言う。
「神社じゃないんだからもういいだろ?」
何かに怯えたように彼女の体が少し跳ね上がった。
「あ……うん。……お経よんでた」
「覚えてるの?」
「うん」
彼女は立ちあがり、何も言わずに部屋を出た。僕もその後を追い部屋を出た。
ふすまを閉めるときに仏間が見えた。まだ座布団の上に誰か人がいるようだった。
部屋に戻り、少し話をした後。彼女の指示に従い僕らは映画を見ることになった。映画館に行き、彼女がチケットを持っていたのでそれを観た。映画の内容はよく覚えていない。ストーリーより金さえかければいいと思って作ったのかなと思ったぐらいだ。
昼食を駅前のパスタ屋で食べ、とりとめのない会話をした後、ビリヤードを5ゲーム程して、駅まで行き、じゃあね。と言われて彼女と別れた。
まだ四時を過ぎたとこだったので、本屋によって時間をつぶし、六時前には家に帰った。夕食を食べているときに母から、付き合ってるの?と聞かれた。いいや。と答えると、もったいない。と言われた。自分の部屋に戻り、本を読み、今日は一日中灰色の空だったなと思い、風呂に入って二時前に寝た。
夢に彼女が出てきた。彼女は寒そうに街灯の下で誰かを待っていた。僕がそこに行こうと思っても体は動かなかった。見ることしかできなかった。
目が覚めたときにきずいた。いや本当は会ったあの時に、きずいていたのかもしれない。わかってると思うけど、僕は彼女に恋していた。
彼女を思うと胸の高鳴りは抑えのきかないものになっていた。何もかもが新鮮に思えた。昨日の空さえ、雲ひとつない青空に思えた。
その日から、何とか彼女にもう一度会おうと行動した。彼女の通っている森が丘女子にも行った。下校時間から夜の八時まで待ったのは何回だろう?数なんて忘れた。森が丘から出てくる子達に話しかけても、新木フミという名前の子は知らないという答えが返ってくるだけだった。
学校にも行きだした。なぜなら彼女の友達が僕の学校にいるはずだからだ。クラスの人全員に声をかけたが、知らない。わからない。と口をそろえたように言った。それに僕のこの出来事を、夢。だとか、いい思いしたじゃん。とか簡単な言葉で馬鹿にした。
それでも諦めなかった。僕は他のクラスであろうと声をかけた。それにより知り合いも増えた。しかし、返ってくる言葉は同じものだった。誰も知らないのだ。沈黙の町にいるみたいだった。
風が冷たくなくなるころ、僕は探すのを諦めた。彼女の大嘘は少しながら僕を傷つけた。彼女があの時言っていた言葉の中に、真実は何パーセント入っていたのだろう。知りたいが、答えてくれる人はいない。これはクイズなんかじゃないんだ。
でもこんなに嘘をつかれても、恋心だけが僕の中に子犬のように残った。
暖かくなってきた。知り合いが増えたことにより、交友関係。つまり遊びにいくことも増えた。それによりいくつかの女の子がなぜか僕のことを気に入ってくれ、付き合うこともした。
もちろん僕の心がわかると、彼女たちは僕を丸められたティシュのように捨てた。一ヶ月も付き合ったことは無い。大体一週間やもって三週間で別れてしまった。別にそれでも僕はかまわなかった。子犬はまだ僕の中にあったから。
花田 由紀という女の子は、三年の始めのころに付き合いだした。彼女はなんていうのか、エキセントリックな子だ。服のセンスも、まぁまともな言動も、でもそれなりにキュートだ。秋まで付き合った。彼女は僕が違う子に恋心抱いていても、気にしなかった。
別れ話を出したのは僕のほうからだった。
「ごめん……別れたいんだけど」
セミロングの黒髪を掻き揚げ、ピアスつきの舌を出して由紀は言う。
「嫌ぁ」
ハッキリと聞き取りやすい、よく通る由紀の声はドトールの店内に響き渡った。他の客が僕らのほうに一瞬だけ好奇の視線を送る。そんな視線を無視して、クシャっと顔を崩したまま彼女は時が止まったように僕を見ている。
「でもさ由紀もきずいてるだろ?僕は由紀だけを見ていないことを」
「そうね、知ってるわよそんなこと。セックスのときもそう上の空だし。あまつさえ寝言で違う女の子の名前呼ぶんだもの。正直絞め殺したかったわ」
「じゃぁ何で嫌なんだ?」
「嫌なものは嫌だからよ。いいじゃない別にあたしがそれでもいいって言ってるんだから」
「でもそれじゃあケジメがつかない」
「他の子が好きなくせにあたしの事OKした時点でケジメなんて無いわよ」
「でも……」
「あぁもう鬱陶しい。ならいいわ別れますよ。それで満足?」
こうして別れた。しかし、彼女は別れた後も変わらずに僕を無理にさそって(僕の意思はそこには関係なかった)遊んでいた。もちろんセックスはしない。いいじゃん。と言われても断り続けていたら、祖チン。と言われた。どうでもよかった。
大学は兄が行ってもいいと言ってくれた。勉強はそれなりにしかできないが、それなりに頑張り何とか二流の大学には進めそうだった。
入試の日に初めて知ったのだが、由紀も同じところを受けていた。
何とか合格し(由紀も受かったのだ)四月の入学式に、また僕は彼女。新木 フミと出会った。晴れた青空の桜が咲く校庭で、子犬の親を見つけたのだ。
慣れないスーツを窮屈に着て、大学までの坂を上る。式の案内を受付で貰い、体育館の一番後ろから三番目の一番右端に座った。
偉い人の挨拶。ブラスバンドの拙いブルームス。また偉い人の挨拶。まさに型にはまった入学式的な入学式だ。本当に祝う気持ちが少しでもあるのだろうか。
うんざりした僕は席を立ち、近くにいた教授らしき人に、気分がすぐれない。等の適当ないい訳で外に出た。体育館の重い扉を開いた瞬間に目に入った空でさえ入学式的な青空の気がしてならない。
喫煙スペースである中庭に行き。硬い木製の四人掛けの椅子に座った。そして、できるだけ何にも考えずに煙草を吸った。そうしないと本当にうんざりしてしまってもう学校に来ない気がしたから。
ぼうっとしていたら、声をかけられた。
「あ、いたいた。ねぇ君どこから来たの?」
後ろを振り向くと、少々顔が大きい男がいた。でも整っていた。僕は答える。
「君は?どこから来たの?」
「あっ俺?春日高校。てかさ、入学式って固苦しいな。君が出てくとこ見えてさ便乗して出てきたんだけどさ、絶対こっちのほうが正解だよな。で、君は?」
彼が煙草に火をつけたところを見て、僕は簡単に自己紹介をした。高校の名前と自分の名前を簡単に。僕の話の後、彼が僕の高校に通っていた友人の名前を挙げていった、知っているかと聞いてきた。僕は全員知っていた。それもそうだ。なぜなら彼女の事を聞いて回っていた僕に、同学年の子で知らない子なんていなかったから。
「へー。お前顔広いな」
「そんな事ない。君ほどじゃないよ」
「はぁ?」
「いや、それより君の名前は?まだ聞いてなかったと思うけど」
「ああ、そうだよな。なんか話し盛り上がっちゃったから言う機会なくしたなぁ。俺の名前はな小林 テツ。テツって呼んでよ」
入学式はまだ行われていた。と、思う。テツが勝手に喋っていってくれるので会話が途切れることは無く、時間を忘れていた。
しばらく話し込んでいたら、気がついたら人がまばらに中庭に集まりだしていた。数人の女の子と話していた由紀が笑顔で僕を見つけて近くに来た。
「あんたも分かりやすいサボり方するわね」
「あんなものは亀のエサにもならないからね。分かりやすいサボり方してもきずかれないのさ」
あっそう。と気のない返事をした由紀は、僕の隣に座りタバコに火をつけた。テツは屈託のなさそうな笑顔で言う。
「どうもはじめまして。小林テツって言います。君は?」
「ああ。あたし?花田由紀。こいつの彼女」
「違う。別れた」
由紀は文句がありそうな顔でこっちを睨みつけているが、僕は事実しか言っていないし、非難される覚えもないので正面から見返した。その場を見ていたテツが微笑んで言う。
「なんか複雑そうだな」
そうなのかな?
僕らはお互いの趣味や好みなど共通点を探しあいながら、まさに始めまして的な会話をした。
これで帰ってもいいらしい事を由紀から聞いた僕等は帰宅することにした。由紀は友達と帰る約束をしており、その友達の所に一人で行こうとしたが、テツが一緒に帰ればいい。と言うので僕らもその友達の所に行くことになった。中庭を抜けて、少し急な坂を下る。そして、桜咲く校庭の片隅に彼女の姿を見た時に早鐘のように僕の心臓が高鳴った。
「ゆかり。こっち」
フミではなくゆかりと呼ばれた彼女はこっちを向いた。胸あたりまであった髪は肩の辺りまで切られていたが、似合っていた。
あっちも多分僕に気がついた。由紀に、こっち。と言われているのに動こうともせずに大きな目を見開いていた。彼女だけが時を止めたように動かなかった。かろうじて彼女の後ろに散っていく桜で時の流れを感じることができた。
僕は彼女に向かって歩き出した。早鐘のようになる心臓の音を四つ数えて一歩踏み出し、また四つ数えて、一歩ずつ踏み出しながら彼女の元に行った。なぜだか僕は口の中が渇いてしょうがなかった。でも何とか冷静につとめて言った。
「久しぶり」
「うん。久しぶり」
と彼女は返してくれた。これが彼女との再会。由紀やテツが後ろから声をかけてきたのは覚えている。僕に向けてか彼女に向けてかは分からない。何を言っていたのかも忘れた。いや、聞いていなかった。キャンキャンと叫ぶ子犬の声で聞き取れなかったのだ。
分かっていた事ではあるが、彼女は何もかもを偽っていた。由紀が彼女のことを紹介してくれた。彼女の名前は新木フミではなく、千葉 ゆかり。高校は森が丘女子ではなく金枝女子。ちなみに由紀と中学まで一緒だったらしい。いくら誰かに聞いたって知らないはずだし、又、森が丘の前で待っていても会えないわけだ。
帰り道、僕は何も言わなかった。彼女に言及しようと思わなかった。
彼女、千葉ゆかりも何も喋らなかった。由紀は不機嫌だった。もしかしたら僕の探していた人がゆかりだということにきずいたのかもしれなかった。テツがいくら一生懸命、皆に話を振っていても誰もが気のない返事を返すだけだった。
駅の前のコンビニにより、牛乳を持ってレジに並んでいると、ゆかりに声をかけられた。
「何も言わないの?」
「……何を?嘘ついてた事について?いいよどうせ事情があるんだろ」
「うん」
「なら言えるようになっいたら言って。さすがにこれだけ嘘つかれると気分悪いから」
「……わかった」
子犬が可愛いから笑顔で彼女を見ると、彼女も笑顔を返してくれた。
僕らはコンビニを出て駅のホームで電車を待つ。由紀は相変わらず不機嫌で、どこか分からない所を睨んでいた。電車の中でも由紀は睨んでいた。テツが電車から降りるときも睨んでいて、僕と別れるときも睨んでた。じっと、どこか分からない所を、じっと。
大学生活が始まった。由紀は大学で会うときには不機嫌ではなくなっていた。僕は大体テツと一緒にいた。彼の友達とも友達になり、僕のゼミでできた友達とも彼らは友達になった。
僕は高校三年のように広く浅く付き合うことはせずに、この固定されたメンバーといつも一緒にいた。
ゆかりは由紀とその友達数人と大体一緒にいた。由紀はいつもと変わらない態度で僕に接してきた。ゆかりは僕に線を置いて喋っているような感じを覚えた。国境のようなそれは、僕がいくら越えようと思っても無理だった。でも、僕等は彼女達のグループと仲良くなった。
夏。海に行ったり、山に行ったりした。
秋。紅葉を見に行った。冷たい海も見に行った。
冬。僕はゆかりから言えなかった事情を聞いた。
聞きたくはなかった。いつまでも内緒にしていてほしかった。酷く辛かった。
君のいえない事情の事は箱に入れて、地面に埋めてしまって、忘れて、関係ないものにしたかった。事実僕は気にはなりはしたけど彼女に何も尋ねなかった。僕が妄想する幸せな未来で、君と思い出話をしているときに「僕等は変わった出会いをしたね」と言い合うだけでいいとさえ思ってた。
僕という存在が近くにいたからこそ、君は僕に重ねていた。
一年が終わる月の始まりの頃。ゆかりは僕に言えなかった事情を言った。
飲み会だった。いつもより皆が多く酒を飲んでいた。
もちろん僕も由紀も、ゆかりも。
由紀は大声で叫んでいたかと思うといきなり寝てしまったらしい。テツから聞いた。
夜の十時半。飲み放題の時間も終わり、店を出た。ネオンの光のせいで空を見ても星はなかった。二次会組と帰宅組で別れた。由紀は家が近くだった子達におぶわれて帰った。
僕とゆかりは残った。二次会はカラオケだ。ゆかりはいつも僕に線を置いているのに、今日はその線が消えていた。それがうれしかったから僕は残った。
夜の十二時半。盛り上がっているカラオケの中、ゆかりが泣いた。誰にも見つからないようにひっそりと。僕はきずかなかった。テツがきずいた。
外でなぐさめていたらしい。僕はトイレに行くときに、テツとゆかりの友達がなぐさめているところを見た。用をすませ、僕はゆかりのもとに行った。
ゆかりは泣いている理由を絶対に言わなかった。テツとゆかりの友達は他の奴等に呼ばれて部屋に戻った。
ゆかりが泣き止むまで何も言わずにそばにいようと思っていた。泣きたいときには泣けばいいのだ。だけど、ゆかりは泣き止む事もせずに、何も言わずに立ち上がり外に向かって自動ドアまで歩き出した。声をかけても何も言わずに歩いていく。外に出たゆかりは振り返る事もしないで、ゆっくりと、泣きながら歩いていく。
僕は急いで部屋に戻り、自分のピーコートとゆかりのコートを持って追いかけた。
急いで外に出てゆかりの歩いていったほうを見た。もう小さくなった背中が見えた。
走って追いつく。ゆかりにコートを差し出すと無言で着た。そしてまた歩き出した。
僕は一歩後ろを同じ歩調で歩いた。どこまででも彼女を追って歩いていけるようだった。
僕は何にも考えず、見知らぬ町まで歩いた。ゆかりは見知らぬ町の僕の知らない小さな公園に入ってベンチに腰掛けた。僕も隣に座った。冬の寒さは僕の体の芯まで凍らした。
僕は公園の時計を見た。二時を回っていた。吐く息は白く、僕たちの前にいつまでもどこかに行かずにそこにあった。僕は、待ってて。と言って自販機に走った。暖かい缶コーヒーを二本買い、温かさを噛みしめながら戻った。
缶コーヒーをゆかりに渡した。ゆかりの目はウサギのように赤かった。僕等はプルタブを開ける事はしないでカイロのように使った。
「ごめんね」とゆかりが言った。僕は何も言わずにブランコを眺めていた。
もう一度ゆかりがごめんねといった後、決壊したダムのようにゆかりは色んな事を話し始めた。
好きな音楽の事。おいしいケーキの店の事。不味かった店の事。
これが好き、あれが嫌い。と分かりやすく端的に喋りだした。しかし、ゆかりの口からは湧き水のように話が流れ出し、端的に喋っているはずなのに終わる事がないように思った。僕は一つ一つ丁寧にあいずちをうちながら聞いていた。彼女は何かをナイーブに包みながら話していた。僕はナイーブに包まれたそれを真剣に考えていた。そこに彼女の涙の理由があると思ったから。
そして、彼女は深く深く呼吸して僕に言った。
「今なら……言えなかった事情を全部言える気がする」
「うん」
「君に……言ってはいけない事だと思うの」
「どうして?」
「……誰にも言ってはいけない事だと思うの」
「そうなんだ」
「でも……」
「言いたくないなら言わなくていいよ。それに、誰にも言ってはいけない事なんだろう」
沈黙。カイロに使っていた缶コーヒーがぬるくなってた。
「私はね……」
空を見上げるとネオンで隠れていた星が見えた。ビーズをちりばめたような空だ。すごい綺麗だ。
「…私はね、……あなたのお父さん。幸雄さんと付き合ってたの。……愛し合っていたの」
聞き間違えたと思った。僕が声をかけようとする。
「えっ」
「私はね、幸雄さんと愛し合っていたの。今日、この日まで。幸雄さんが死んだこの日まで。幸雄さんは私を救ってくれたの。レイプされそうになった私を救ってくれたの。この公園で。素敵だった。何よりも素敵だった」
彼女は喋りつづけた。僕の親父がどれほどすばらしい人か、男性恐怖症になりかけたゆかりを親とは違う大人の人として親身に慰めたか、恋心を抱いたのはゆかりからだとか、初めての時を辛抱づよく待ってくれたとか、怖かったけど親父だから安心できたとか。聞きたくなかった。本当に、聞きたくなかった。耳を塞いでしまいたかった。でも、できなかった。冬の寒さや刺すような心の痛みに手が金縛りになったように動かなかった。
親父はまさか自分の息子と同じ年齢の子と付き合うとわな。といつも言っていたみたいだ。
僕の親父が死んだ事は知っていた。あの時の数少ない真実の一つ、“友達にきいた”らしい。友達。もちろん由紀だ。ゆかりは由紀に不倫の恋相談をしていた。親父の息子、つまり僕が由紀と同じ高校なのは親父から教えてもらって知っていた。
「目の前が真っ暗。本当に真っ暗になったの。幻想や夢や愛、それに幸せだった現実が無くなったことに理解しきれずに泣けなかった。光が一切届かない洞窟の中に放り込まれたみたいだった。目の前に手をかざしても、真っ暗でなにも見えないから毎日怖くてしょうがなかった」と、彼女が言った。奇遇だね、僕も同じ気持ちだよ。と思った。
親父が死んで五日たったあの日。訳の分からない気持ちと、僕ののCD(親父が勝手にゆかりに貸していた)と、最後にサヨナラを言いたくて、僕の家に来た。彼女は親父との関係をばれてしまってもいいとさえ思っていたみたいだ。
ばれてもいいと思ってついた嘘なので、案外、楽に僕と母さんを騙せた時はこんなものかと思ったらしい。あの日、僕と別れた後、ゆかりは初めて泣いたらしい。
それからの高校生活は、涙とともに過ごした。もちろん一人のときに。泣きながらご飯を食べ、泣きながらテレビを見て、泣きながら勉強した。忘れることなんてできない。いや、忘れようなんて微塵にも思わない。
大学で、初めて僕を見たとき。幸雄さんが帰ってきたって錯覚した。久しぶり。とあの人と違う声で言われたとき、ドンと突き落とされたような気持ちで幸雄さんじゃないってきずいたらしい。
君の、優しさの中や、言葉の中に何度も幸雄さんが見えた。と彼女は言う。意識してなかったつもりなんだけど知らず知らずのうちに君の中に幸雄さんを探してた自分がいた。そしてそんな自分を恥じた。と言う。
幸雄さんが死んだこの日。私にとっては呪いたくなるようなこの日は、二年たった今でも、どんなに頑張っても涙が出てくるの、なんでだろうね。と、言う。
彼女はまだ喋っている。どんどん言葉があふれている。僕は空っぽの心で必死になって逃避している。この現実から。僕はどこか知らない町を旅する人の事をずっと想像していた。
そして同時にきずく。彼女は僕を求めていることを。しかし、もちろんそれは、親父の代替品であることも。僕は僕なのに、彼女は僕を親父として見るだろう。それに耐えられるかどうかは分からない。
ふと視線を上げると、空が青くなってきた。時計を見ると、もう五時を回っていた。
「帰ろう」
と僕が言った。
彼女は僕の言葉なんて届いていないように、まだ喋りつずけていた。僕は彼女の腕をつかんで無理やり立たせた。
そして僕は歩く。彼女の手を掴んだまま。方向がわからないから適当に歩いていた。歩道橋を越え、信号を渡り、地下への階段を下りた。気がついたら地下鉄のホームにいた。心ここにあらず。それは僕ら二人のための言葉みたいだった。
彼女の分の切符も買って、地下鉄に乗り込む。まだ動き出したばかりのソコに乗っている人はみんな僕らのように心がないみたいだった。
彼女の降りる駅の近くになったとき、僕は彼女を抱きしめた。そうすることで、キャンキャンうるさい子犬は騒ぐのをやめた。正直もうこの子犬の面倒を見るのは嫌気がさしてきた。
地下鉄の自動ドアが開き、僕は彼女を崖に突き落とすつもりでドンと押した。
彼女はひどく驚いた表情をしていた。そして、透き通るような目に力を込めて、いたく、まじめな顔で僕を見つめた。
「またね。雄介君」
彼女が言ったのかわからない。でも確かにこう聞こえた気がした。
「サヨナラ」
扉が閉まりかけた一瞬。消え入るような声で、僕が言った。
僕は彼女と別れた後、沈み込むように座席についた。ひどくまぶたの奥が痛んだ。
その痛みに身をまかせながら考える。僕はどうすればいいんだろうと。
ゆかり。親父。由紀。みんなが槍を持って僕に突き刺してくる。
思考が、混乱する。僕はミサンガを強く噛みしめる。
どうして由紀は僕と付き合ったのだ。彼女はゆかりの友達で、僕の監視者みたいなものだったのだろう。なぜ入学式のあの日、彼女は僕とゆかりを引き合わせたのだ。すべてを知っているはずの彼女は、僕に何を求めているんだ。
ゆかりは僕に親父を重ねている。ゆかりの心の中に親父の影しかない。僕は、この子犬。恋心をどうすればいいんだ。ねぇ教えてくれよ誰か。
僕は、親父の代替品として生きることを耐えられるのかい。無理だ。何でいまさら親父の陰に隠れて……。
そうか、と唐突にきずく。
そうだったんだ。こんな事があった今だからこそわかった。僕は、親父が嫌いだったんだ。
いくら葬式のときに思い出を思い出そうとしても、思い出せないはずだ。
今ならわかる。憎んでさえいたのだと。
これは嫉妬なんかじゃない。確かにそんな気持ちがないのかと尋ねられたら、答えはノーだ。でも、違う。僕は今よりもっと前に、親父のことを憎んでいた。
そうだ。
そうなんだ。
そうじゃなきゃいけないんだ。
いけないんだ……と小さく小さくしゃがれた声でつぶやきながら僕は静かに泣いていた。
知らず知らずのうちに目を閉じて僕は眠っていた。
ここはどこだ?
地下鉄の車内には僕を含めて三人しか乗ってない。
どこなんだ?
地下鉄は走る。ガタンゴトンと一定のリズムを刻んで、目的地を失って。
何の叫び声だ?五月蝿い!!やめて、やめてくれよ!!
それは電車が走ったときに出る風が、地下鉄のトンネルに反響したもの。まるで、獣の泣き声、咆哮、悲鳴、のように僕の耳に残る。
なんだって?もう聞きたくない!!聞きたくないんだ!!
そして僕はやっと耳をふさぐ。いくらか軽くなった叫び声を耳にしながら、僕はまた目を閉じて眠る。
多分、そこから僕は目覚めていない。
−目覚めていない。−
読んでいただき本当にありがとうございます。
今回、自分ぽくないモノを書きました。ので、少々疲れました。
一応続きがあるのですが、書くか書かないかで迷ってます。もし書いたとしてもかなり更新が遅れると思います。
評価、感想、メッセージのほうがもしあれば書き込んでください、ね。
最後にこんなところまで読んでいただき本当にありがとう御座いました。
今日、朝雪が積もってました。明日は晴れるといいですね。
ピース。 一柳 紘哉