ほつれ
出発
バシャバシャ発する水面。ゴボッとかヒュッとかもがく声。それとは真反対に元気に鳴く蝉。
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昼間のまだ日光が部屋に差し込む頃
「ねー!律ー!理生ー!おつかい行ってきて!」
母の凜子は言った。
そこで、父の健二が
『まだ小学生なのに2人で行かせるのは危なくない?』と反論。
「大丈夫だって!もう小学生だよ?はじめてのおつかいは3歳から行かせてるもん!」
『そういう問題じゃ…』
「はいはい!行こうねー!大丈夫!10分歩けば着くところだから!ね!」
「うん!いってきまーす!」
律と理生が元気よく出発した。
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買い物
-律-
枯葉がパラパラ落ちている細道、ついこないだ小学校に入学したての妹の理生を連れて歩いた。
あれ?道に迷った?
段々と妹の手がはぐれてきて小指だけ掴んでいる状態になった。今度こそしっかり手を握って近くにある交番に行った。
林巡査と稲辺巡査にスーパーの道を聞くと
「教えてあげよう!着いておいで!」と稲辺巡査がゴツゴツの手で僕達の手を強く握って送ってくれた。
ママが書いてくれたメモを見ながら店内に入ると自動ドアの所で理生がカートを押したいとワガママを言った。
だけど背丈が足りない理生には早い。
だから、
「カゴ持って」
そう言ってカゴを持たせた。
だけど歩きにくそうでこれじゃカゴが歩いてるも同然だ。
まあでもママ待ってるし。早く買って帰ろう。
「はくさい」
あー、理生遅いな。
「もう良い貸して!」カゴを取った
泣きじゃくる理生。
「お菓子コーナー見てて!」と言いなだめたつもりで他の物を探しに行った。
「やまいも、しいたけ…」
よし!終わった!ちょっとぼくもお菓子が欲しくなってきた。理生を探すついでに見に行こう。
「あれ?おーい!理生!」
居ない。見当たらない。小さいし一人でいるから目立つはずなのに。
店員さんに聞いても、見当たらない。理生に掛けたお財布も無い。家に帰る事にした。
不安と後悔
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-凛子-
「ねぇなんか遅くない?絶対おかしいって。」
『だから言ったじゃん。なんで行かせたの?』と夫が言った。
「いやいや!あんた止めなかったじゃん!」
口論になりかけていた。その時
「ママー」
『まずただいまでしょ!は?袋は?財布は?』
「理生がいなくなっちゃって、」
驚いた。だけどこのド田舎だ。まだ夕方だし、すぐ見つかる。
そこから4時間近く経った今、どこを探しても見当たらない。スーパーまでの通路、よく行く駄菓子屋、学校、公園何処を探しても見つからない。
近くの交番に行くと巡査がすぐに手配をしてくれた。
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それから一週間色々な事を考えた。
誘拐されたんじゃないか、お腹は空いていないか、怪我はしてないか。
キッチンで論文のPDFを一つ開き、三行ほど読んで閉じる。
今日は講義の日だ。
昼前、大学に着く。
研究室のドアを開けると、昨日と同じ匂いがする。
紙とインクと、少し古い空調の匂い。
講義は淡々と進む。
スライド、説明、例示、質問。
学生たちの顔を見ながら、
「どこで集中が切れるか」を無意識に測っている。
質問が一つ出る。
鋭くはないが、正直な質問だ。
教授は少しだけ嬉しくなる。
黒板に予定外の図を書く。
朝にコンビニで買ったサンドイッチを頬張って里生の写真立てを撫でていると電話が鳴った。
宣告
出ると「福成病院です。お子さんが見つかりました。…
理生の真相はいかに。またあの暖かい家族に戻れるのだろうか。
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