未踏よ輝く
雪が全ての音を吸収するから何も聞こえなかった
朝露が窓を揺らしておはようと挨拶した
小癪な盗人が雪を盗んでいった
一時の精神世界に入り浸り
好きなだけ春と修羅を
あの青青とした雪を浴びるのだ
田んぼの青々とした稲穂を見たい
若葉はもう若葉じゃなく
蚊やナメクジたちの季節になっても
あの雪が降りつもり降りやまじ
いい感じの氷柱を持って振り回したい
大袈裟な風がいつも振り撒いて
したり顔で笑っているから
べー
舌を出した
窓に留まる虫たちが下に上に動いている
それをいつも不思議に思う
わたしもおまえも生きているんだな
空の塵は遥か上からわたしたちに落ちてくる
あらゆる雲が緑青に輝く
オンボロな窓の外からそれを見ている
詩集に留まった蚊がいたから
手で追い払ったら
自分すら追い払ったように思えた
どんなに素足を幻視してもきっと戻ってこないのだろう
手紙を書くよ真っ赤な便箋で
わたしだってちゃんと分かるように
返事は書かなくていいから 少しだけ笑ってほしい そして少しだけ貝殻のようになってほしい
焚き火に全ての悲しさを焚べて
溶かした雪は清らかに地面に沁みて
青く 青く 光ったのは
朝日を浴びて反射する一面の雪でした




