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序章「その日、世界が止まった」

「お姉ちゃん、待って!」


夜の信号が青に変わる。

雨上がりのアスファルトに、街の灯りが滲んでいた。


理奈りなは傘を閉じて、振り返る。

制服の裾を濡らしながら駆けてくる

妹の沙良さらが、息を切らせていた。


「走ると危ないよ、沙良」


「だって、傘忘れたから……!」


理奈は苦笑して、自分の傘を広げ直した。

「ほら、入って。風強いし」


二人で肩を寄せ合いながら、

狭い傘の下を歩いた。


家まではあと少し。

塾帰りのいつもの道。

ただ、それだけの帰り道だった。


「ねえお姉ちゃん」


「ん?」


「ゲームの“セラフィナ・クロニクル”、

今度一緒にやろ?すごく面白いんだよ」


「またあの乙女ゲーム?私は苦手なんだけど」


「いいから!聖女のリディアがめちゃくちゃ可愛いの!

でもね……悪役令嬢のミレーヌも、

本当は優しい人なんだよ」


沙良は笑いながらそう言って、

小さく手を振った。


その瞬間だった。


「――危ないっ!」


眩しいヘッドライト。

急ブレーキの悲鳴。

傘が風に舞い、夜空へ消えた。


世界が、音を失った。


理奈は咄嗟に沙良の肩を抱き寄せた。

冷たい雨と、あたたかい涙が頬を伝う。


「……沙良、逃げて……」


「やだ、お姉ちゃん……!」


光が、すべてを包み込んだ。


静寂のあとに訪れたのは、

白い天井と、まぶしい光の世界――。


次に目を覚ましたとき、

姉は“聖女リディア”に。

妹は“悪役令嬢ミレーヌ”になっていた。

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