巫女として
「久しぶりね。あれからなにかあった?」
今日は定例お茶会です。
定例とはいっても、三人が揃うのは初め以来の2回目です。
しばらく寒国が冬だったため、みる(冬火)がここまで出てくることができませんでした。
「特段、問題は。」
たまき(露華)がにこりと笑います。
「少しづつ、その口調も変えていかなくてはね。支配者として相応しい振る舞いと常識を身につけなくては。」
このまま幼い少女として行動していると、巫女ではなくなってしまうかもしれない。
たまきはそれを恐れているのでしょうか。
「平気よ。ここではあなたは巫女の冬火ではなく私たちの仲間のみるだから。」
だからこそ、だったのかもしれません。
立場に縛られないために、ここでのみの名前を考えたのかもしれないと思うようになりました。
「そうだみる、まだ私わたくしと盤上遊戯の勝負をしていないわね。
この機会にやりましょう。なにがやりたいかしら?」
たまきはいそいそと板を取り出しました。
「あまり、やったことがなくて」
「あらそうなの?なら、これをやりましょうか。」
どう言っても付き合わされることは確定しているようです。
隣ではさあやが諦めたようにお茶を啜っています。
さあやはみるが来られなかった時、例外なく盤上遊戯に付き合わされ、惨敗していたのです。
「私の勝ちね。」
ルール説明の後に実践と称してひと試合、たまきとさあやでひと試合、たまきとみるでひと試合して、全てたまきが勝利しました。
「強いね」
「私、国内で負けなしだもの。」
国内とは言いつつ、この三つの国のうち最も発展して最も人が多いのがたまきの華木皇国です。
他二人の一番よりも凄さの桁が一つ二つ違います。
「そう、みるには報告していなかったわね。
私、華木皇国の皇位継承権が発生したわ。」
それがどうかしたのだろうかと、みるは首を傾げました。
そもそも寒国には王がいないので継承争いもあまりありません、
みるの生まれた領地でも、その周りでも豪長争いはありませんでした。
「華木皇国では、基準を満たした人に継承権が与えられて、その後の行いで順位がつくわ。
私は今、一番上の兄についで第二位よ。」
たまきは深刻そうに話します。
けれど、みるもさあやも何をそんなに心配するのか理解できませんでした。
みるもさあやも、皇位争いからは程遠い存在だからです。
「信仰と結びついた支配権力は危険よ」
歪んでいても、そうと気が付かれない。
まるで自らに言い聞かせるように、たまきは手を握って開きました。
そして黙ったまま掌を見つめます。
「たまきは、皇位継承したくないの?」
「ええ。できることなら継承権を捨ててしまいたいわ。でもそれは不可能よ。
さらに、あまりにも順位が低いといつ殺されてもおかしくないようになってしまう。」
難しい問題です。
「やらかすのは?」
「…下手をすれば巫女としての権威が失墜する。そんな賭けには出られない」
みるの提案をさあやが一蹴します。
巫女としての権威は失わず、でも優秀と見られてはならないということです。
「何をすれば順位が上下するの?」
「明確に言い切れはしないわ。環境にもよるもの。
大雑把に、人の役に立つことをすれば上がるし、悪いことをすれば下がるわ。」
そりゃあそうとしか言いようがないでしょう。
「あとは、人を惹きつける力があると、それだけで評価が高いわ。
あとは、武術に秀でているとか」
華木皇国は大きい国です。その分、皆をまとめる力が必要とされるということでしょう。
結局悩んだが何も結論は出ないままお開きになりました。
今回のみんなの宿題はたまきがどうすれば皇位継承順位を下げらるかということになりました。




