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大遠野国物語  作者: 古月 うい
審判がはじまる

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姉という生き物(たまき)

それから、木蓮はわたくしのいう通りに行動しました。


あの人を切り捨てろといえば切り捨て、水に宝物を沈めろと言えば沈めました。


「お姉様、大好きです」


木蓮はそう笑って抱きついてきました。


いささか意思のなさや人を疑うことができないという心配がありましたが、

のちにわたくしにたいしてのみこのような態度であると判明いたしました。


「木蓮皇女、初めまして。わたくしは第四皇女の菊と申します」


木蓮と菊の会話を耳にしてしまいました。


菊は第二側室の娘であり、比較的派手で目立つことで知名度を上げておりました。


自作自演がお得意な気質でいらっしゃって、自分がわざとかけた紅茶を相手がかけたと言って失脚させるような方でした。


それゆえわたくし以外にもかなりな人に好感は持たれておりませんでした。


けれど表向きはただの善良な皇女なので、菊の本性を見抜けるかどうかがその人の教養や知識の程度を図れると利用しておりました。


「ねえ木蓮。水の巫女と協力しているそうね。

わたくしに乗り換えない?」


わたくしは黙って聞いておりました。


木蓮がどう出るか見るためです。


「木蓮がそれを承知すると、木蓮にとっての利益はなんですか?」


木蓮はきっとニコニコ笑っているのでしょう。


わたくしにはわかります。


「木蓮は皇に協力した思慮深き第一人者になれるわよぉ」


…つまりこの戦いから手を引けということですか。


「お断りします。

お姉様は、木蓮を皇にすると言ってくれました。

木蓮はお姉様についていきます」


木蓮はキッパリと断りました。


「どうしてなのぉ?巫女様はあなたを利用したいだけよぉ?」


お前もだろうがと言って飛び出したいが,巫女としての品位を保つために自制します。


まあ、壁に耳をくっつけている時点で品位も、なにもないかもしれないですけれど。


「お姉様は、木蓮を育ててくださいました。

その方を信じるのは当たり前ではないですか。

お姉様が皇になればよろしいのに、わざわざ木蓮を立てたのには理由があるのです。

木蓮がそれに応えることが、木蓮なりの恩返しなのです」


木蓮はそうキッパリ断りました。


「菊皇女は木蓮になにも差し出せない。

けれどお姉様は木蓮に全てを捧げてくれる。だから木蓮はあなたにつきません。」


菊は勢いよく扉を開けて出て行きました。


「お姉様、聞いていらっしゃるのでしゃう?」


感が鋭すぎる。


「気がつかれましたか」


「木蓮にはお姉様のことはなんでもお見通しです」


木蓮は嬉しそうにこちらにやってきた。


「木蓮、そのような振る舞いは幼いのでやめなさい」


「お姉様の意地悪ですね。

母の前では皆幼くなるのですよ!」


わたくしたちの母親、第四側室はわたくしたち上二人の世話はあまりしない人でした。


わたくしはまだありましたけれど、木蓮は本当になにもなく、わたくしが木蓮の母代わりになっておりました。


「お姉様、つぎはなにをすればいいのですか?」


「次はね、」


その時、寒国の紋章をつけた烏が窓から入ってきました。


「お姉様、烏ですか?なぜ入ってきたのでしょうか」


わたくしは嫌な予感がしました。


寒国の紋章、烏。


まさか、寒国が…


烏は紙を差し出してきた。


「『寒国は、崩壊した。それに伴い招光帝国と華木皇国の共同統治の土地とする。』」


それだけが、書かれていた、

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