国が亡ぶとき(みる)
「巫女様!先程の話は本当ですか?!」
会議室に入るや否や、早速問い詰められた。
「静かにしなさい。本来であればこうするはずではありませんでしたが…あなた方がその気ならこちらもそれに応えるまでです」
私は華木皇国の所為ではないと散々言った。それを無視して暴走したのはそちらだ。
「しかしっ、戦うことなく国を明け渡すなど、巫女様の命令といえどとてもできません!」
豪族長みんな必死だ。
その気持ちが痛いほど理解できるからこそ、私は巫女としてこの国の最高権力者として、やるべきことがある。
「なぜでしょう。理由を」
「土地を奪われたくないのです。先祖から受け継いだ土地を、見ず知らずのどこの馬の骨ともわからないやつに渡せません。
戦って負けたなら諦めがつきます。戦わずに諦めるなどっ、」
まだ若い豪族長の言葉に合わせて、何人かが頷いた。
「その結果残るのが飢えた民だとしても?」
だが、豪族長たちには理解できないようだ。
「そこまで緊迫してはいないだろう。巫女様は憂いすぎです」
そうかも知れないけれど、確実に苦しくなる。
「ああ、そう言えば巫女様は平民にまじる文化のある領地のご出身でしたな。失礼失礼」
すっごくイラつく。
「ええ。そのおかげで平民の生活をよく知っております。
そう、あなた方よりよーく。」
父が必死になって威厳を保っている。その様すら、私はもう近くで見ることはできない。
けれどそれを自覚して、悲しさよりも誇らしさが勝った。
私と父はもう背負うものが違うのだと、はっきりとわかる歳になったから。
「ならば火の供給を止めます。それでもいいのですか?」
豪族長たちは押し黙った。
寒国は火がない。
寒さのせいもあるが、どれだけ火を起こそうとしても、他国から持ってきてもすぐに消えてしまうのだ。
だが、唯一他に燃え移り一月は持つ火が、私、火の巫女が起こす火だ。
私の提供する火がなくなることの危険を理解しているらしい。
「巫女様、それは脅しです。もう少し対話をしてください」
怒られてしまった。
「ではどうなさるの?既にこのことは華木皇国、招光帝国両方に知られているのに?」
悪い笑みと自覚しながら微笑んで鏡を取り出す。
美しい、火の紋様の鏡だ。
そこには、さあやとたまきがうつっている。
「それはなんですか?」
「離れていても会話ができる鏡…です。華木皇国と招光帝国の巫女が、この騒動を見ていました。
さあ、華木皇国に攻め込まれても耐えられますか?」
攻め込むのと攻め込まれるのは全く違う。
「今のうちに手を打つべきです。執着は、身を滅ぼしますよ?」
豪族長たちは黙ってしまい、一度領地に戻り相談をしてから戻ってきた。
その会議で、寒国が滅ぶことが確定した。
寒国編終了です!次は後継ぎ選抜をやります。
鏡は実際には火でそう見せただけで二人がいたわけではありません。




