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大遠野国物語  作者: 古月 うい
審判がはじまる

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17/24

会議

「皆には伝えたいことがあるのだ。すでに知っている者が大半だとは思うが、この荘園は崩壊する。」


最高神を呼びに行ったはずなのに、霊姫が喋っています。


しかも、先程とは違い結構古めかしい喋り方です。


しかしその違和感以上に話の内容に三人はとても困惑しました。


知ってる前提で全く知らない話を、しかも今聞いたばかりの荘園というものが崩壊すると言われて困惑しない方が難しいでしょう。


「この世界は、神の荘園なのだ。大遠野国、移儚夜、夢見幾世、執政界の四つで作られた。

それが崩壊する。もう近い。大遠野国では地震が増えただろう?それは崩壊が近いせいだ。」


巫女三人はハッとして顔を見合わせました。


地震の多さは三人が感じていたことでした。


特に寒国と招光帝国の境目あたりで頻発しています。


規模こそ大きくないがそこそこに回数が多く、先日の巫女会議で被害が話題にあがったほど、最近の大きな問題だった。


まさかそれがここに繋がるとは、三人とも思っていませんでしたが。


「皆には被害を抑えてもらいたい。外に出た後の生活は保証してやるが、出るときに全てが揃っているとは限らないのだ。

危険なのは、荘園から出る時だ。

そなたら巫女の手腕にかかっておる。頼む。わたくしたちではどうしても手が回らないのだ。」


三人の顔に緊張が走りました。


三人とも幼いとは言えないが若すぎるとは言える年齢で、それぞれに民を大切にしています。


生き残りが自分たち次第だと言われれば、いやでも緊張するでしょう。


そのあと、色々決められました。


いきなり出会った執政官が巫女たちの上司になること、神に被害を報告すること、他にもたくさん。


「本当に崩壊すると言い切られるのでしょうか」


尋ねたのは華木皇国の皇女にして水の巫女、たまき。


「確実な証拠はない…が、そちらの地震に皆が対応してくれるのだ。

損ではなかろう?」


地震の復興には莫大な費用がかかります。


それが全て援助されるということにメリットを感じて、たまきは引き下がりました。


「それに、証拠はある。この場では見せられないがな」


霊姫はふふっと笑いました。


さっきとは違う、不満そうな笑みでした。


「あの、これからもここに来るということですか?」


招光帝国光の巫女さあやが質問します。


いちいちこんな肩肘の張る神界にはきたくないということでしょう。


それには他の巫女だけでなく妖怪三神も同意しました。


儚げながら芯のある雪姫は本心がどうかわかりませんが、確実に気だるげな鬼姫はこういうところが好きではなさそうです。


「もちろん、連絡手段は渡そう。其方たちの能力を通してにはなるが」



三人は神界との連絡手段をもらい、巫女国に帰ってきました、


正確には、ここからは聞かない方が良いと強制的に戻らされたのです。


巫女たちはそれぞれ起こったことを整理しました。


「…この世界は、作り物」


「まあそう言うことだよね。」


寒国の火の巫女みるがさあやの手助けをします。


「ここがもうすぐなくなるから協力しろ、って言ってたね。

何をすれば良いのかな。私たちは何を求められているか、わかる?」


さあやは首を振ります。


「だよね。今のところ地震しかないし、やりようがないよ。

みんなに伝えるのはあまりにリスクが大きすぎるし。

下手すると出る前に殺し合いを始めるよ」


華木皇国ほどではないにしろ、二国ともそこそこの人数がいます。


「とりあえず、何かあったらすぐに報告できるようにする。」


「それぐらいだよね」


この日はほぼさあやとみるの二人で話し合いました。


「たまき、今日はおとなしいけどどうかしたの?」


喋らないたまきにみるが痺れを切らして水を向けます。


普段はたまきが会話を仕切っているが、今日に限って何故かあまり喋っていません。


「…皇から通達がありまして。」


二人は嫌な予感がしました。


普段は口うるさく、落ち込むことがないたまきの不穏な空気に。


たまきは一度手をきつく握りました。


「皇の後継争いを、開始させると」

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