神様たち
「ようこそ、大遠野国の巫女たち。待っていましいたよ。」
巫女国でお茶会をしていた三人は、前に予告されていた通り神界に呼ばれました。
「お初にお目にかかります。寒国の火の巫女、冬火と申します」
「華木皇国第六皇女にして水の巫女、露華と申します」
「招光帝国の光の巫女朝日です」
三人で自己紹介をして顔を下げます。
朝日は言葉遣いがなっていないと露華に睨まれたが出た言葉は戻りません。
「頭を上げなさい。私は信仰神霊姫と申します。どうぞ霊姫と呼んでください」
霊姫と名乗った彼女は清々しいまでの白髪を持つ美少女でした。
20と言われればそうだと頷き、15だと言われてもそうだと頷きそうな、年齢のわからない外見でした。
特筆すべきなのはその服で、ひらひらとした同じ形のものを何枚も重ねています。
その重ねた色が何とも言えない素晴らしさでした。
中でもとくに目につく1番上に重ねられたものにはうっすらと水の紋様が入っていました。
その衣装は三国のいずれでも見かけない形の、けれど美しいものでした。
「いきなりよばれて戸惑いましたか?」
「はい」
霊姫はかぷかぷと笑いました。
おおよそ笑いに使う表現ではありませんが、それが似合うような水から泡が出るような笑いでした。
「そんなに緊張しなくてもいいわ。次が来てしまうから、手短に伝えるべきことを伝えますね。」
次…?
「何から説明すればいいかな…
えっと、荘園ってわかる?」
三人とも荘園を知らなかったので首を横に振りました。
「神様の持つ、好きに使える土地のこと。あなたちが住んでいる大遠野国は、荘園の一部なの」
そいって霊姫は地図を取り出しました。
「これが荘園。大遠野国はここ。」
楕円の陸地の三分のニ程度が大遠野国と書かれていました。
「これが執政界。執政官の暮らすところ。こっちとこっちが荘園の別の地域。夢見幾世と、移儚夜。
私は夢見幾世の領主でもあります」
霊姫は荘園について解説をしていきます。
けれど聞くことはできても噛み砕いて理解することのできない三人はとりあえず聞くだけ聞いて左に抜ける人が約一名、とりあえず暗記するのが二名でした。
「ここは、創られた理想郷。それぞれの思想の違いから各地域で少しの違いはありますけれどね」
『朝日はゆっくりと差し出された地図を撫でた。
毛羽立った紙はすこし埃を散らした。
たまきはどこか上の空で話が入っていないようだった。』
そこに、ゾロゾロと人が入ってきました。
入ってきたのは三人で、みな巫女の三人よりも年上な見た目をしていました。
一人は赤い、霊姫と似た服を着ていて、雑に結い上げられた髪には後れ毛がいくつもあっりました。
一人は白い短い髪が耳のように少し短くて浮いていました。
一人はとても変わらいらしい人でしたが、近づくだけで辺りが冷たくなった。
「…妖怪?」
巫女の誰かが呟いたのを聞き逃されはしませんでした。
「わたくしが見たことのある顔ではありませんね。狐姫はいかがですか?」
狐姫と呼ばれた耳のついた人は首を横に振りました。
「いいえ、私もないわ。」
三人とも圧がすごいひとでした。
「巫女たち、彼女らは妖怪神の資格を与えられていますよ」
霊姫の解説でようやく己のやらかしに気がつきました。
「大変失礼致しました。」
そのあと先ほどの順番で自己紹介をします。
「本当の十代なのですか?」
角の生えた人が顔を近づけてきました。
迫力に思わず後ろに下がるたまき。
「鬼姫、怖がらせない。わたくしは雪姫といいます。雪女ですね」
周りが冷たい人が名乗りました。
「私は狐姫。きつねで、妖怪の里の里長。こっちは鬼姫。鬼で、妖怪の里の門番」
白髪の人が名乗り、角の生えた人を紹介しました。
「さあ、行きましょう。」
霊姫に促されて、計七人でゾロゾロと移動します。
その間思いの外話が弾みました。
「大遠野国は今どんなところ?」
「妖怪の里は実在する?」
「なんで呼ばれたかご存じですか?」
みんなで質問してみんなで答えるの繰り返しをしました。
正直、あまり立場を気にせず話しができました。
「ここよ。」
霊姫が立ち止まって襖を開けました。
中にはすでに二人が座っておりました。
黒と黄色の衣装を着た人と、赤と白の衣装を着た人。
どちらも衣装は霊姫と同じ形でした。
「はじめまして。私は千姫。叡智の女神と時神で、移儚夜の領主。こっちは蛍姫。戦神で大遠野国領主。」
名乗りもしないうちから赤白の服を着た千姫が名乗った。
「千姫、こういうときは下の身分の人から名乗るの。少し待ちなさい」
早速霊姫に注意されています。
さあやはそれを見て千姫に親近感を覚えました。
同じ立場の年上の人から注意を受けるところに、です。
「代替わりなさいましたか?」
「ええ。私は代わらないけれど。いい加減引退させてほしいわ」
「それ私たちに仰いますか?」
妖怪三神と三神だけで盛り上がっているので、巫女三人は小さくなって待つことにしました。




