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大遠野国物語  作者: 古月 うい
審判がはじまる

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14/24

召集令状(さあや)

執政官の襲来から数ヶ月。特段あのような騒動が起こることはなく平和に過ごしていた。


そのときさあやは大掃除がてら本の虫干を始めようと20冊づつ外に運び出して並べていた。


招光帝国では春に大掃除をするのだ。きっとまだみるねえさんのところは雪に閉ざされている。


もちろん光花禰宜も掃除を手伝って。


ふと窓を見ると、一羽の烏が止まっていた。


「……烏?」


確か烏は最高神の使いだ。


姉さんたちには教える機会を失ってしまったままだが、これでも過去の記録を漁りいろいろなことを知ってきている。


引き継ぎすらされずに忘れられていたことが、わかり始めている。


姉さんたちに教えないのはなんとなく癪だから。


絶対に文句を言われるし、昔と違ってお上品になった姉さんたちといると、なんだか窮屈になってしまう。


烏が咥えていた紙には『近いうちに迎えにきます。神界に来い』ということが書かれていた。


おそらく巫女のなかで神界を知っているのは私だけだろう。


姉さんたちに説明をしようと鏡を開いた。


「姉さんたちのところにもきた?」


私が開くとすでに二人とも鏡にいた。


『あの烏のことかしら?ええ、つい先程きたわ。神界とはなにか、さあやはわかるかしら?』


私は頷く。


「神様が住んでいるところ。それ以外のことや場所はわからない」


『…神さまが実在するの?』


異能を扱いながら、神の実在について疑問を持つ。


それが私たちの常識だった。


『今になってみればこちらでは同じぐらい存在しない御伽話として扱われているのに』


「執政官も存在したし、あってもおかしくないとは、思う」


執政官も、物語にしか出てこない記録だけの存在だった。


それが実在したのなら同じぐらい御伽話の神さまが実在しても、まあいいだろうと思う。


『さあや、落ち着きすぎじゃない?』


「十分驚いてる」


当然この程度でみる姉さんからの指摘を躱せるはずもなく。


『聞き方が悪かったわ。今届いたのにすぐにそういう情報を持っているということは、あらかじめ知っていたの?

明らかに神界という言葉初見の人の反応じゃないよ。

さあやだけ早く届いたというのは考えずらい。二人同時に来て、さあやだけ事前に届いていたと考えるのは変。巫女と指定されていたし』


私は言い訳に詰まってしまった。


いつも感心するが、姉さんたちは本当に頭が回る。


私の小さな隠し事が通用したことが一度もなかったし、私の悩みが解決されないことは一度もなかった。


姉さんたちは本当にすごい。


私と少ししか年が違わないのが不思議なぐらいだった。


「この間調べていた。そのときにみつけた。これでどう?」


『…そういうことにしておくわ。神には抵抗しない方がいいわよね。逆らうのは得策ではないし、大人しく連れて行かれましょうか。

二人とも、口調には気をつけなさいよ』


「わかってる、姉さん」


またしても口調で注意されそうになったので、慌てて通信を切った。


「…神界か」


どんなところなんだろう。


「巫女さま、こちらは終わりましたよ…」


光花禰宜がやってきた。向こうの掃除が終わったのか。


「巫女さま、全然進んでおられないではないですか。さっさとやってください。」


あっちでもこっちでも怒られる。


私はむすっとしながら残りの本を持って外に出た

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