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大遠野国物語  作者: 古月 うい
巫女国での会議

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鏡よ鏡

「見つけた?」


「もちろんよ。」


さあやの呼びかけに二人が胸元にしまっていた鏡を出します。



ことの始まりは、一つ前の三人での集まり。


もう何回も勉強会をやっていて、教えるための予習も沢山していました。


「こういう記述を見つけた。やってみよう。」


さあやが差し出したのは、くすんだ鏡でした。


「これは何かしら?」


「巫女同士で離れた場所でも会話できるようになる器具。二人のところにもあるはずだから、探して」


巫女の教養を探っている時に見つけたとのことです。


「やり方自体は、記述を見つけたからできる。」


差し出した紙に書かれてある内容は結構簡潔なものでした。


「面白そうね。やってみましょうか」


そして、今日それぞれが持ってきたのです。



「それぞれデザインが違うのね。」


「本当だ」


たまきは優美な流水紋様が描かれた手鏡より大きな鏡。


さあやは中心に突起があり、そこから模様が伸びていて握りやすくなっている鏡。


みるは繊細な氷と火の模様が折り重なった鏡。


「それぞれの巫女の能力に関連している模様なのね。」


この鏡にそれぞれ水と火と光を同時に満たすと繋がるとのことです。


「持ってくる必要あったかしら?」


「たまきはやりたくなかったの?」


たまきはそういうわけじゃないわと言っていそいそと水を出しました。


「見える?」


「「「「「みえる?」」」」」


途端、一言が次々と聞こえてきました。


『側で音と映像を伝える器具を使うと、こちらで言うハウリングが起きることを当然知らなかったのです。』


「ふっ、あはは!」


「すごいことになったね!」


さあやも笑っています。


「問題なく見えるし音が伝わることは、わかったわね。」


「確かに、よくよく考えたらこうなるよね。」


三人で暫く笑い転げました。


「そういえば、たまきと私の誕生日が次の集まりの近くだね。

三人でお祝いでもする?」


「さあやの分は別なのね。」


「だいぶ後だしね」


たまきとみるは二ヶ月差、さあやはそれより五ヶ月離れています。


「何をするかはお楽しみで。」


「みるも祝われる側よ?」


「私はたまきに全力をかけて祝うから。」


「それ、私だけ損な気が…」


「その分二人から思いっきり祝ってもらえるわよ。」


三人で、穏やかに。


そのまま時が過ぎるものだと、信じて疑っていませんでしま。


「あら、雪が。」


「もうそんな時期なんだ。この後暫くしたら私、来られなくなるね。」


上を向くと雪がはらはらと落ちてきました。


「冬か…」


「早いのね。この間みるが戻ってきたと思っていたのに」


「寒国の冬は七ヶ月ほどあるからね。雪で道が塞がらない限り、私は来れるよ。」


巫女国は三国の境界に位置し、冬は寒国の影響で雪が降ります。


もっとも、寒国ほどではなかったようですけれど。


「…みるって一人だよね。どうして徒歩で来れるの?」


「私、火の巫女だよ。どんなに寒くてもあんまり寒いと感じないんだよ。」


みるはみんなもそうだと思って発した言葉だったが、どうやらそうではなかったようです。


「さあや、そういうのある?」


たまきに聞かれてさあやは首を振りました。


「初めて知った。」


「だよね。」


「もー、二人で共感しないでよ。」


みるは不貞腐れてクッキーを二つ口に入れました。


「あはは、お子様みたい」


「もー、」


それでもみんなは笑って過ごします。


このころ、たまきは妹と母親に関して問題を抱えていて、

みるは家族がだんだん離れていくことを感じていて、

さあやはもしかしたら光花が血縁ではないのかと疑い始めていました。


それでも、何を抱えていてもここではただの少女でした。


その場所が唯一の居場所で、救いとなっていたのです。


危ういバランスで、危うい環境で。


それでも彼女たちは役割を投げ出すわけにはいきませんでした。


「あー、聞こえる?」


『きこえるわよ。』


『こっちも。』


そのあと、国に戻ってからもほぼ夜通し通話をしていました。


『寂しくなったらかけるわ。』


「またね」


たまきが寂しくなることなんてあるのだろうかと、その時は思っていました。


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