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銀河人類連合記   作者: おりおん
火星独立戦争
8/9

佐久間真4 西暦2150年 駆逐艦「不知火」


艦橋内に慌ただしく情報が飛び交う

スクリーン上には味方艦隊が戦闘態勢で密集しているのが見える。


火星艦による地球艦隊所属艦攻撃事件から数時間


旗艦〈リュシフェル〉をはじめとする地球特務艦隊は、火星自治政府の統括する火星軌道ステーション「ヘリオス」攻略作戦をはじめようとしていた。




佐久間の意識は4時間前に遡る。


戦術回線が開かれ、地球特務艦隊の全指揮艦長がホログラム回線で一堂に会した。円卓中央には、火星高軌道に浮かぶステーション〈ヘリオス〉の立体モデルが、ゆっくりと回転していた。


中央に制服を一分の隙もなく着こなすハートマン・エルンスト艦隊司令が登壇する。


> 「早速ブリーフィングをはじめる。

現在、地球政府は火星自治政府に対し軍事作戦の実施を宣言。火星自治政府の解体及び武装解除を行う事が決定した。

そこで本作戦では、特務艦隊の全艦戦力もって、火星軌道ステーション「ヘリオス」及び火星主力艦隊の撃滅を行う。」


エルンストの言葉を横に立つ参謀が引き継ぐ。

>「火星軌道上に存在する最も大きいステーション「ヘリオス」、ここを制圧することで火星の主な軌道を抑え、軌道爆撃、降下も自由に行えるようになるはずです。当然敵もそれをわかっている為、死に物狂いで防衛を行う事が予想されます」 


神経質そうな参謀が話を進める。


>「まずは本艦隊の戦力を確認します」


◎ 地球特務艦隊 総戦力(作戦開始時点)


旗艦直率艦隊

巡洋艦〈リュシフェル〉〈エクソダス〉護衛艦〈三日月〉〈レグナス〉〈トール〉


第一駆逐艦隊

〈ベレト〉〈ミカエル〉〈不知火〉〈ノーズ〉


第二駆逐艦隊

〈ネストル〉〈カリスト〉〈龍安〉


空母機動艦隊 

空母〈アドミラル・グラフ〉、護衛艦〈イシュマエル〉〈シュメール〉〈ホルテン〉〈ナルミス〉


電子戦・支援艦隊

電子戦艦〈セント・エルモ〉〈ジェネシス〉

医療補給艦〈ナイチンゲール〉


陸戦隊所属艦隊

強襲揚陸艦〈マイアミ〉


> 「この艦隊構成をもって、火星軌道ステーション〈ヘリオス〉制圧を段階的に実施します。正確な数は敵の電波妨害で掴めていませんが、我が方は敵艦隊の2〜3倍の戦力を揃えていると予想されます。」



第二駆逐艦隊は「ラグエル」が沈んだので、第一駆逐艦隊よりも一隻少ない。


「ラグエル」が沈んだポイントには、近くの民間船が救助に向かったそうだが、生存者はいなかった。


船が撃沈された場合の低い生存率は、宇宙の船乗りの宿命と言える。


総員対艦命令から、すぐに脱出ポッドに入れなかったものは真空に投げ出されたり、爆散する融合炉に巻き込まれて命を落とす。


ブリーフィングは続く。


> 「作戦は大きく3つの段階にわかれるます。

フェーズ1:宙域掃討・ステーション包囲

フェーズ2:決戦による駐留艦隊の無力化・ステーション砲塔無力化

フェーズ3:陸戦隊の上陸、制圧

詳細は作戦書を確認してください」


手元の端末に作戦書が届く。

艦隊でステーションを包囲後、敵艦隊を撃破しステーションに上陸、、、


(セオリー通りとは言え、作戦書の作成がやけに早い。まるで初めから計画していたような、、、)


佐久間は今までの経験から何となく、きな臭さは感じていたが言葉にせず、飲み込んだ。


(とにかく、今は作戦に集中しなければ) 


佐久間が頭を振り、気持ちを切り替えている時に、中央に座るハートマンが目を細め、会議室全体を見渡した。


> 「諸君、作戦は確認できたと思う。

火星側の卑劣なる奇襲攻撃により、我が艦隊の駆逐艦、「ラグエル」に乗り組む貴重な人員が宇宙の塵と消えた。

そして、こともあろうに火星艦隊は自治政府の命令の元、このステーションに集結し、交戦する意思を示している。

ゆえに、我々は火星の平和と地球の平和の為に、この武装勢力を排除せねばならない!」


ハートマンは腕を振りながら演説を続ける。


> 「繰り返す。目標は〈ヘリオス〉の占拠と敵艦隊の撃滅である!

「ヘリオス」ステーションさえとれれば火星軌道はこちらのものだ、この宙域の支配を確立し、自治政府の抵抗の意思をくじくための、決定的な一手となる。

この戦いを勝利とするために――諸君、奮起せよ!」


エルンストの演説後、バッと艦長達は敬礼の姿勢をとる。

心の内はどうであれ、軍人であるならば上官の意思に反旗を翻せるわけはない。


ブリーフィングは終了した。

佐久間は静かに通信を切りながら、口元に小さく息を吐いた。

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