十二 姫神の秘薬
「小娘の姿の神か?昔ここに来た行商人から聞いた話であるが、十里先に弥伊里という里村があってそこの村主の娘の容姿が、小娘であるが神がかりのように美しい姫神様だと言っておったが・・・。それで傷はどうなった」
上半身を裸にして右腕を確認したら、昨日まであったはずの醜い傷跡がなくなっていた。それどころか、かつて負った刀傷までも消えていた。色白の肌に薄い紅色の乳首がチョコンと立っていた。そして、爺様は、年甲斐もなく若い女体を抱きたいという、男なら当然の欲望に駆られ、ダメもとで聞いてみた。
「美しい身体だ。すまんが一度だけで良いからお前のきれいな身体を抱かせてはくれぬか」
「私は貴方様に命を救われた者、身体も心も全て、貴方様なら好きにしてよいのですよ。先ほど小用をしている時も申しましたとおりでございます」
爺様は女を床に横に寝かせ、白い平らな胸に顔を埋め乳首を撫でた。しかし、寄る年波でサオは起き上がることなくうなだれたままであった。咄嗟に、女が小娘にもらった軟膏をフンドシに手を入れ塗ったところ、巨木のごとくそそり立った。
「してもよいか」
「私はこの年でまだ生娘ですがなんなりと」
そう言って女は小さくうなずき股を開いた。そして、時間を忘れて強く抱き合い、日付が変わったころには二人はつながったまま眠りについていた。
一番鶏の声で二人は目を覚ました。未だつながっていた物をゆっくり引き抜き、お互いを見た。
「お前はだれだ」
「あなたこそ誰ですか」
「俺は爺様だ」
「いえ、爺様ではありませんが」
互いに驚嘆し合う中、女は思いだした。昨日フンドシに手を入れ、薬を竿に塗ったことを。では 、薬を塗られた竿が差し込みに入れば薬も中に入るのでは。盥に水を張り外に出て互いに水鏡に顔を映した。そこには、たくましい青年と十七、八の美しい娘が映っていた。
「本当に、神の薬があるのだな」
「はい、全くそのとおりです」
疑心暗鬼であるが、若返った事実を受け止め見つめ合い朝にもかかわらず、また強く抱き合い互いの心を確かめ合った。




