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十 救われた命

 腕の痛みと、一番鶏の時作りで女は目を覚ました。自分で立って歩くことが出来るか、とりあえず床から体を起こした。何とか、起きる。つかまり立ちをして、何とか立てる。ゆっくり歩き、とりあえず外に出て小用をしなくては下腹が破裂しそうである。ゆっくりであるがとにかく外に出た。が、ここで限界だった。しゃがみ込み、勢い良く小水を排出したのだが、実はこの時、早朝から爺様は薬草を取りに出ていて帰ってきたところ、大好きな下半身を見ることが出来た。女は用を足したが今度は立ち上がることが出来なかった。そこに時を合わせて爺様が現れ、

「生きることができたな。しかし、その傷でよくここまで動けたな」

「小用が限界でした。はばかりりながら玄関前で用を足してしまいました」

「かまわんよ。ワシの背に乗りなされ。まだ、無理をしてはいかん」

そう言って爺様は女の前でしゃがみ、おぶって床に就かせた。

 「腕の薬草を取り変えよう。傷口をみせてみなさい」

上半身裸に成った女は、鍛えた体であるが胸に膨らみが無く、見様によっては短く刈り込まれた頭髪も相まって男士そのものであった。公儀の仕事柄、男を装わなくてはいけなかったのであろう。体中に刃物の古傷があった。

 「痛みはどうか、朝餉の粥が炊けるまで、この薬湯を飲みなさい。解毒と利尿によく効きく。小水とともに毒を体の外に出すのだよ。苦みが強いが良く効く。食事、厠事は、わしが、しばらくは手伝う」


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