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炎の魔獣召喚士  作者: 平岡春太
 第四章 動き出す歯車

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 第十八話 心強き助っ人

 ブレアは剣を抜くなり、イグニアに斬り掛かったが、イグニアは突っ立ったまま動こうとはしなかった。

 少し炎を纏っているブレアの剣が、イグニアを斬り裂く寸前、間に入ったフラムが剣を合わせて止める。


「何やってんのよ! 黙って殺される気?」

「だって、私のせいで……」

「だからあれは事故だって━━」


 ブレアの剣の圧がフラムの話を切る。


「事故だと? あんな姿で戻って来た妹を事故で済ませる気か!」

「妹。じゃあやっぱりあなた」

「そうだ。私はお前達に殺されたクリスタの双子の姉だ!」


 烈火の如く怒りを見せるブレアの剣が、受け止めるフラムの剣をじりじりと押して行く。しかし、上空から落ちて来た風魔獣のリンディアが間に割って入り、ブレアは飛び退る。


「邪魔だ!」


 直ぐにリンディアを真っ二つに斬り裂いて、再びフラムに斬り掛かって来る。

 フラムはそれを剣で弾き返す。


「シャルロア、イグニアを頼める?」

「分かりました」

「パル、あんたもよ」

「いいでヤンスか?」

「魔獣の方が多過ぎるのよ」


 ブリュンデル城から落ちて来る魔獣は後を絶たず、兵士や王位継承戦の参加者達が応戦しているが、コロッセオにいる観客達は勿論、その周りにいる街の人間達が巻き込まれて行く。


「このままだと街全体に広がってしまうわ」

「人の心配をしている場合か!」


 ブレアの剣が、フラムの剣を叩き落した。


「しまった!」


 間髪入れずにブレアが振り上げた剣が、フラムに振り下ろされた。しかし、その剣はフリードの剣によって受け止められていた。


「間に合った」


 更に剣を弾いてブレアを飛び退らせ、距離を取る。

 それでも休まずに向かって来ようとしたブレアを、上空から落ちて来た影が止める。


「ここまでですよ、ブレア。目的は達しました。城に戻りますよ」


 そこに立っていたのはラファールだった。

 フラムがオルタニアの王族がいる貴賓席に目を移すと、第一王子のデリオンとローブの男の姿が消えていた。


「馬鹿を言うな。ここにいる連中を殺すまでは戻れるものか」

「まさかケイハルト様の命に背くおつもりですか?」

「それは……」


 ブレアはブリュンデル城を一瞥すると、苦々しい面持ちでフラムを睨み付ける。そして、降下して来たグリーゼにラファールが飛び乗ったのに続き、自らも飛び乗った。


「ちょっと!」


 ブレアとラファールを乗せたグリーゼは、ブリュンデル城に向かって飛び去ってしまった。


「あいつの仲間って事はブレアもケイハルトと。じゃあ、あの城にケイハルトが居るのね。どうりで探しても見つからないはずだわ。空を動き廻っていたなんて」

「追うのか?」


 上空へと上昇を始めたブリュンデル城を見ながらフリードが訊く。


「そうしたいのは山々なんだけど」


 ブリュンデル城から落ちて来ていた魔獣は止まってはいたものの、落ちて来た残る魔獣によって事態が悪化している状況に、魔獣召喚士としては見て見ぬ振りとはいかなかった。ただ、


「私一人でどうなる数じゃあ……」


 その時、四つある入場口、更には観客席の入場口から魔獣を連れた魔獣召喚士が次々と雪崩れ込んで来て、魔獣達と戦い始めた。

 その中の数人に、フラムは見覚えがあった。街の外に逃げたはずの失格者達だ。


「あいつら、いいとこあんじゃないの」


 ただ、それでも事態は好転する様子はなかった。


「どうすんだよ。何かいい案はないのか?」

「何かって言われても……」


 八方塞がりで思案に暮れていると、コロッセオにいるブリュンデル城から落ちて来た魔獣だけが突然凍り付き、氷の彫刻と化した。


「これって……!」


 もう一人のシャルロアかとそちらを一瞥すると、シャルロアは凛とした感じではなく、いつもの屈託のない笑みを向けて来た。


「フラムさん、お母様が!」

「ええ、そうね。一番頼りになる方が来て下さったわ」


 氷漬けになった魔獣達は、一瞬の内に砕け散った。

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