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黒鳥奇譚  作者: ヤマトゥー
腐敗の翼
24/26

23.5 「暗躍〜conspiracy」

「今月に入り、ゾンビの被害はいくつだ?」


 日本の何処か、MARS最高幹部が揃う、火星(戦王)の間。

 5つの大きな岩の彫刻。

 「狼」、「イノシシ」、「啄木鳥きつつき」、「鶏」、「トネリコ(木の一種)」

 それぞれに鎮座するように老人が座っている。


「今月だけでも50件は超えている」

 1人が答える。

「ならば…ゾンビが最初に発見されたのは…いつだ?」

「先月じゃな」

 違う1人が答える。

「そうならば、先月と今月の合計は?」

 立派な白い髭を携えた1人が答える。

「約80件」

「ならば…一条翠綺が、例の、()()()()を拾ってきたのはいつだ?」

「ちょうど先月だったのぅ」


「では、〈例のガキがMARSに入隊してから、発生したゾンビの被害は?」

 もう皆言わんとしてることはわかる。側から見たら無駄な会話。

 だがこのような回りくどい会話も暇つぶしの一つである。

「約…80程だ」


「フンッ、一条翠綺はなんと言ってある」

「『ゾンビの件はコチラ側で対処する。指を咥えて見ていろ』と」

「完全に舐めておるな。我々を」


 その時、ピピピッ!と電子音が鳴り、空中にモニターが映し出される。

 そこに出された内容は『玲渡廻が廃病院にて、ゾンビと戦った』というもの。

 そして、『魔物がゾンビ化した』という報告。

 1人がニヤリと笑う。

「決まりだな、タダでさせ()を保持しているだけでも死刑だが、その上民間人にも被害が出ているゾンビ。そして…そのゾンビの危険度がさらに高くなった」

「ほっほっほ、殺すための大義名分は…充分すぎるほど揃っている。ということだな?」


 5人一同、ある一箇所に身体を向け、跪く。

「それでよろしいですかな?MARS様」


 空気が重く湿った、天気が最悪の日。

(ここまでジメジメするならば、いっそ降って欲しい)

 任務終了後の一条翠綺はそう思った。

(こんな天気の日は…嫌なことが絶対に起こる)

 そしてそれは的中する。

 彼女が自分の事務室に入ろうと、ドアを開くとそこには、真っ黒な封筒を持った黒服が待機していた。

 そして黒服はそれを手渡すと、何も言わずに退室して行った。

 この封筒は、MARS最高幹部が直々の命令や任務を通達する時にのみ使用される物。

 イスに座ることすら後回しにし、その場で開き、深い深いため息を吐く。

(何か…策を考えなければ)

 中には紙が一枚。

【玲渡 廻の死刑を執行する】と書かれていた。

 

 

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