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黒鳥奇譚  作者: ヤマトゥー
腐敗の翼
23/26

「記憶〜memory」

翠綺さん超久しぶりの登場。…重要キャラなのに

「おい〇◇×!遅いぞ!」

(誰だけ、あいつ…?)

 遊具の無い芝生だけの公園。青い空を優雅に飛ぶカラス。じゃああの走ってるイケメンな少年は誰?

「……(れん)?君…憐なのか?」

 目の前の少年は不思議そうな顔をして聞き返してくる。

「何言ってんだお前…久しぶりに会ったみたいに」

 そうだった、小っちゃいころぼくは一人で烏と遊んでいたと思っていた。でも違う、憐がいた。僕とカラスと憐で遊んでいたんだ。

「そういうお前は…〇◇×廻なのか?ww」

 憐はからかうように聞いてくる。そうだ、憐はそんな性格だった。懐かしい記憶だ。

 …でもなんで憐が何て言ってる言葉はわからないのに、自分の名前を呼んでいるってわかるんだ?


(薬臭い)

 やわらかいけどすぐ下に硬い骨組みを感じる。多分病院のベットかな…

(病院!?ベッド!?)

「体が痛てー!」

「おはよう。廻君」

 瞼が久しぶりに仕事をする感覚を感じた後、次に感じた感覚は痛みだ。そして久しぶりの翠綺さんの声。

「任務お疲れ。1週間前のことだけど。あとその痛み方、やっぱり魔力でアドレナリンを過剰放出させてたのか。今後一切それ禁止ね」

 翠綺さんがなんか言ってるけど痛みのせいでどこ吹く風だ。

「ああああ!吐きッ!吐き気が~オエェぇ…」

「……いったん落ち着こうか」

 きららら~ん

「あっ!すいません医務院さん!汚い!」


 さらに消毒液の匂いが強くなり、鎮痛剤をちょっとだけ注射してもっらた。

「しかし、まさか”ゾンビ”の犯人のアテが全然はずれちゃったな…」

 脳裏に黒い鎧が浮かぶ。廃病院の暗闇すらも飲み込むドス黒いオーラ、それを日本刀を介して魔物の死体に流し込み、ゾンビとして生き返らせる。

 だが少し腑に落ちない点があり、翠綺さんに問う。

「ねぇ翠綺さん、廃病院の最後ってどうなったの?僕はケンタウロスから振り落とされてから今まで記憶ないんだけど」

「フーンそっかそっか、えーと確か…環から聞いた報告だと…」


 環は、がれきの影に隠れ、拳銃の持ち手を下にスライドさせ、弾倉を覗く。

 計画は破綻したように思えたが、廻君が死にそうな形相で立ち上がり、計画の続行を告げてくる。

(なんであのケガで「大丈夫」が言えるんだ?)

 作戦の要も、残弾数も二発で心もとない。今の僕たちがヤツを確実に倒せる手立ては〈ヤツが完全に油断して、魔力ガードをしない状態で僕が銃で脳を打ち抜く〉それだけ。あれほど強さの魔物が魔力操作を手放す隙なんてほぼ一瞬。それを2発で仕留めなきゃいけない。

 悩んでいる僕の目に一つの光が映る。

(あっちの方にいるのって…影斗(えいと)君達か、目を覚ましたのか。そしてそれをスマホで合図してくれてる。なら)

 僕は弾倉から1発だけ弾を取り、彼らの方へ魔物に勘づかれないように移動する。

 スマホの光を頼りに駐車場の隅を走り、影斗君と周さんの所まで走る。2人とも顔色は悪く、ギリギリで耐えて起きている顔をしている。

「悪い…まあまあ長い間気絶してたみたいだけど、今どんな状況」

「2人を追いかけてたヨロイの魔人が馬の魔物をゾンビにして、周りのゾンビの死体と合体させて、ケンタウロスになった。今廻君が戦ってて、隙を作るらしいから、トドメを僕がヤルらしい」

「…できるの?あんた」

 周さんが痛いとこをついてくる。

「ていうか、彼もなんでまともに動けてるんだ?」

「やっぱそこが一番謎だよね…かなり危ない橋を渡ってる状況。僕も残弾数2にしかないし。だから二人にお願いがある」

 僕はポケットから銃弾を取り出して渡す。

「二人とも動けないと思うけど能力だけは使えるでしょ」

「まあ…」「いちようは…」

「前に魔力を込めた指で弾丸を弾けば雷管が破裂することは確認できてる。周さんが能力で軌道を確定して、影斗くんの分身がフルパワーで発射してくれ。僕は残りの一発を打って、空発の状態でトリガーを連射して、焦った演技もしようと思う。そして、ヤツ(ケンタウロス)がもう弾がないと完全にたかを括ってたところで、終わらせてくれ」

「もし失敗したら?」と周さんが聞いてくる。多分分かって言ってるだろ。

「全滅コース」

 自分の言葉で背筋を凍らせる。

そして、廻君の方から魔力の昂りを感じる。

(来たッ!)

 運命のとき。パッと見る程度しか出来ないが、銃が壊れてないか左手に握った銃を確認する。緊張の指の震えで、誤って引き金を引いてしまいそうになる。


 そして、背中に乗った廻君が脊髄にパンチをし、電撃を喰らったように震えている身体から振り落とされる。スマホのライトを30秒後に最大光量で光るように設定する。

 本当は廻君を心配したいが、その時間を深呼吸する時間に充て、心を少し落ち着かせる。そして赤い線をヤツの頭に定め、引き金を引く。

 馬の体に繋がってる人頭(じんとう)からは血が流れ、口からも「ゴフッ」と吐血する。これで死んだらどれだけ気が楽か、いやこれで終わりだったら多分廻君が倒せてる気がする。

「ぁぁぁ、、うッ嘘…だ…ろ。くそぉ!!」と一度脱力してから、情けない感じで引き金を引く。

(意外と演技ができるな自分。MARSに入らなければ役者とかやってたかも)

 ハンマーが空を打つ「カチンカチン」て音がより滑稽感を醸し出す。そして、ヤツの顔が「ニタァ」と嫌悪感を感じる笑みをしたのが分かった。

 右手のスマホがピカっと光った。それを頭を目掛けて投げる。

 完全に油断したヤツは避けない。でも僕の仕事は、2人がヤツの真後ろに位置するように動いて、頭を照らした時点でもう終わってる。


「方向とか考えなくていいんだよな?周」

「ええそうよ、地面に向けて投げても絶対ヘッドショットよ」

 久しぶりに見た明かり。それが照らしたのはターゲットの頭。魔力で能力を起動すると、一本の矢印が浮き出る。その先にあるのは腐った人間の頭。

 効果を付与した銃弾を人型の瓦礫の集合体に渡す。頼むぞ、「影斗」

 能力で出したヒトガタに、周から弾丸を受け取らせ、残りの魔力を全てヒトガタの中指に注いで、雷管をデコピンさせる。

 雷管の爆発と魔力の爆発で、二重の推進力を得た銃弾は暗闇に吸い込まれていき、直後、「ブシャ」と肉を貫きながら液体をこぼす音がする。

「ドォォン!!」と巨体が倒れる音。地面に落ちてるスマホはまだ光っていて、環の笑い顔とピースを照らしていた。


「以上が環から聞いた決着までの流れだ」

 長いこと喋るのに疲れたのか、翠綺さんはいつのまにかパイプ椅子に腰掛け、備え付けのミニ冷蔵庫から水を取り出し、勝手に飲んでいた。それは僕ら患者のために用意された物な気がするが。まあしょうがない。

「それでゾンビに関する証拠とかは何かありますか?映像とか」

「ミロの能力で、一部空間を持ってくることができるはずだったんだが、

「その後は電波が通じるようになって、救助の連絡を入れてから全員で固まって、動かなかったらしい」

…どこか…パッとしない。何か…見落としている。

DLsit〇が何とは言いませんが日本地図を公開してましたね。なにかは知りませんが、将来あれをもとに引っ越し先を決めたいと思います。

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