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黒鳥奇譚  作者: ヤマトゥー
腐敗の翼
19/26

「合成獣〜Chimera」

本当に本当に本当に長らくお待たせしました。

 腕の()に周を抱えさせ、チカチカと消えかかった電灯のついた階段を駆け、廊下を駆ける影斗(えいと)

その右手にはスマホが握られており、プルルルッ、という音が暗闇に響くが、繋がる気配はまるでない。

「頼む、環、出てくれ!」

(ネズミ、もう殺されたのか!?1分も持たなかった、

 想定された難易度よりずっと高いぞ!いや…そもそもあの魔人が来ることは想定外で、…ゾンビも?いやそれより…新人()が来たから?判らないことが多すぎる!とりあえず今は)

「電話に出てくれ!環!」

 影斗は簡潔に今やるべきことをまとめる

 電話で環に伝えるべきことは最低でも2つ。

・謎の魔人の登場

・周の負傷

 しかし、影斗は銃撃の音を聞いており、二人が交戦中だということはわかっている。

 それは電話に出る可能性が低いということを示している

 しかし、“それでも何かをしなければ何も始まらまい”

 そう分かっているからこそ諦めずに、鳴門を抱えながら電話を掛けている。

 しかし、その音は自分の位置を教えているという行為でもあり、絶望の影が、角から絶望を覗かせる。

「ッ!しまッ…!」

 影斗が魔人を認識した次の瞬間には、「シュパッ!」と音が暗闇に響き、ポタポタと血が滴る。

「グゥ…、クソ!」

 ダメージを受けてしまったせいで能力を解除してしまい、鳴門が地面に転がる。

 影斗も膝を地面につき、赤く染まった右腹を押さえながら魔人を睨みつける。

(…だが、まだ逆転の一手は残されてる!)

 影斗はもしもの事態のために左の内ポケットに小型ライトを忍ばせており、今こそがその出番だ。

少しだけ呼吸を整え、隙を見て右腕を左に持っていく。

しかし次の瞬間、自分の敗北を確信する。

なんと左ポケットはザックリと斬られ、破れており、中の物は全て落ちていた。

(なんで?偶然?いや…まさか…コッチの情報が全部筒抜けになってる?!)

ポケットに入れていることは、ごく僅かな人にしか教えていない事であり、狙った行為であるなら、俺たちの情報を流している内通者がいるとしか考えられない…


(だが…)

「俺も多少近接戦はできるんだ!」

 魔力による止血をすませると意を決して起き上がり、魔力で身体能力を向上させたストレートを放つ

 残念ながら軽々と避けられてしまうが、それも影斗にとっては想定内だ。

 魔人が一歩後ろに退がったことで、壊れかけの蛍光灯の光が差し込み、“影”ができる。

(魔力の消費がデカ過ぎるが…しょうがない!)

 影斗は自身の影を最大限に大きくし、実体化し、自分と周を投げさせた。

 この病院は真ん中が大きく突き抜けた、ショッピングモールのような構造になっており、三階の高さから影斗は自分と周を投げさせた。

 このままでは二人とも落下死するだろう。

 しかしそれを考えないほど影斗は馬鹿ではない。

 下にはもう一つ、周の“影”を実体化させ、落ちてきた二人を受け止めるように待機させておいたのだ。

 (クッ!…多分二人がいるのは地下駐車場。だいぶ距離とったから、怪我しながら移動しても追い付かれることはないだろう)

 影斗にはもう魔力が残っておらず、“影”を維持することはできず、トボトボと周を抱えながら地下へと続く階段を降りていく。

 “なんとか切り抜けた”と安堵する反面、3階の“影”が魔人に瞬殺され、恐怖を覚えたのだった。


「カァ!」と鳴き声と共に腐肉の破片が飛び散る。

「よし、コイツで最後だな」

 烏が最後のゾンビを仕留め、僕の元へ戻ってくる。

「多分。お疲れ廻君、怪我は?」

「ない、大丈夫。そっちは?」

 環は銃にリロードをさせながら、お互いの安否を確認する。

「僕も大丈夫。でも少々球の消費が多いな、使い所は見極めないと」 

 馬の魔物と死闘を繰り広げた後、環と合流。

 その後、環を追ってついてきたゾンビと戦闘になった。

 

 その時だった

「おーい!二人とも無事か?!ウッ」

「ッ!影斗(えいと)さん!それと抱えてるのは?周さん?」

 二手に別れた二人が、ボロボロになって姿を現したのだ。

 環は倒れそうになった二人にすぐさま駆け寄り、支えた。

「ごめん、電話には気付いていたけど…ゾンビが」

「それは大丈夫だ。仕方ない…。それに魔力での止血はもう済ましてある」

「それにもしても二人をこれほどまで怪我を…。それにこの傷…切り傷?敵は刃物を持ってるの?」

 環は影斗の服が赤く染まっている箇所を確認するとそこには、皮と肉が裂かれた状態だった。

 幸い出血は止まっているが、痛みは続くだろう。

「んぅ…、周の方が酷い、最初の一撃で気絶してる。俺が止血しなかったら多分死んでた。お陰で俺は魔力が空っぽだ」

「まじが…、とりま電話で救助呼ぶしかないな。目標(馬の魔物)も僕が既に倒したし、緊急事態だ」

 そう言って僕がスマホを取り出すと、影斗の顔から血の気が引き、最後の力を絞り出すように喋り出す。

「ぁあ、…つは、禍々しぃ鎧を……て、日本刀…ような剣を…使う。鎧からも…謎の存在…感みたいな…魔力が含まれてる…気をつけッ…ろ」

「えっ、影斗ぉー!日本刀だから剣じゃなくて刀だー!」

「いやそっちかよ!どうでもいいわ!それより速く電話してよ廻君!」

 僕は「ガクッ」と崩れ落ちる影斗の頭を抱えて小芝居を挟んで場を和ませる…が、効果はイマイチのようだ。

 僕は少し何か見逃している気がしながら、電話で救助を要請した。

 ちょうど電話を終えた瞬間、環がその見逃している物の正体に気が付いたようだ。

「ッ!廻君…さっき影斗くん、『変な魔力をしている』て言ってたよね?」

「そういうことか…、判ったぞ!さっきから、蛇に巻きつかれているようなこの感覚は…!」

「僕たち、本当に巻かれているんだ…!」

 僕たちの周りに散乱している物体それはゾンビの死体(元々死体だが…)。

 ゾンビたちは能力で変えさせられた存在、能力には魔力を消費する、つまり能力が関わったからは大なり小なり魔力が付着している。

 無論…それは、例え肉片になったとしてもだ。

 魔人…[ヨロイ]とでも呼ぼうか。独特で目立つ魔力をしてるから魔力探知で簡単に見つけられる。

 が、流石にここまで周囲に魔力が散らばった状態では探知するのはとてつもなく困難である。

 

「廻君ッ!後だ!」

 環が叫び、僕が気配を感じ、振り向いたその瞬間には既に、この暗闇を纏ったような黒い刀身が振り翳(ふりかざ)されていた。

 間一髪で避け、後ろに跳びながら1羽烏を突撃させる。

 [ヨロイ]は振り下ろした刀の刃を上向きにし、そのまま振り上げて烏を切りつける。

「ッ!」

「…フッ、その勘だけは相変わらずのようだな…」

「誰だお前!僕を知ってるのか?!」

「銃はやめた方がいい。球が少ないんだろ?どうせ俺には当たらない」

 [ヨロイ]は僕のことを知っているような雰囲気を(かも)し出しているが質問には答えず、環に銃は無駄だと伝える。

「俺の能力…はまだ知られていないだろう…見せてやる」

 そう言うと[ヨロイ]は刀を馬の魔物の死体の心臓部に突き刺し、魔力を流し込みながら詠唱を始める。

『死にゆく邪悪なるモノよ、今その怨みを纏い、再び破壊の使徒となれ!』

 [ヨロイ]の力により、周囲に散らばった肉片が死体に向かって集合していく。

 さらには、ゾンビの死体すらも巻き込みながら集合し、段々と馬の形を再現していく。

 が、段々と異形で、不気味な生物として息を吹き返す。

 大破した首から上はゾンビの上半身が繋がる。

 ゾンビの顔面は左半分がなくなっており、馬の顔の左半分が繋がっていて、今度は大きさが不揃いのため、ゾンビの顔が右半分に集合している。

 ゾンビの両手にはとてつもないデカさの骨が握られている。 

 蘇った異形のケンタウロスを前に、僕も環も怯えたまま、蘇生を阻害することすら出来なかった。

「さぁ、ラウンド2だ」

 そう言い残すと、[ヨロイ]は何処かへと消えてしまった。

 「………ッ!待てッ!」

 少し呆気に取られてしまい、反応が遅れて[ヨロイ]を追おうとした瞬間

「グゥオゥ!」

 とてつもないスピードでキメラが走り出し、腕に持った骨の棍棒でフルスイングを繰り出してきた。

 「ウォ」と身体を捻り、間一髪で攻撃をかわすが、すぐにヤツの脚が目の前を横切り、僕の腹に激痛を走らせる。

「廻君ッ!」

 僕は脚から崩れ落ち、視界は暗転する。

みーなさーん!受験終わりのヤマトゥーでーす。

まぁ受験はとっくに終わってたんですが…。無事第一志望に合格できてよかったです。

今月は東京の池袋で「ヒラコー展」あるんで、先輩と一緒に行ってきます!

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