表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/13

Case2R 嫌がらせなら、これくらいしませんと

 ルンタタ男爵家あてに、卒業パーティー用のドレスが届いたとの報告が入りました。

 婚約者である私には、届く気配もありません。というより、発送されたのが一組なのですから、私のところに届くことはないでしょう。

 所詮は政略ですし、私もタリン様にさして興味もありませんが、逆に政略だからこそ気を遣うべき部分も多いはずです。

 王子として生まれた以上、好むと好まざるとに関わらず求められる態度というものがあるのですが、おわかりいただけないようです。

 我が家としても、今更ほかの王子が王位を継いでもうまみがないので、できれば順当にいってほしいところだったのですが。




 「お父様、ヨージーが作っていた資料ですが、これは我が家に対する裏切りですわね」


 ヨージー付きの侍女が入手した資料は、私がルンタタ男爵令嬢に対して嫌がらせをしていたというねつ造された証拠でした。

 こんな穴だらけのもので私を陥れようとは、呆れてものが言えません。

 おそらく、一部は本当に被害に遭っていて、それを私のせいにしているのでしょう。

 こんな手ぬるいまね、私がするはずないのがわからないのでしょうか。

 そもそも、公爵家の力を使えば、庶子の小娘1人くらい抹殺することさえたやすいですのに。


 そうですね、せっかくですから、高位貴族のやりようというものを見せて差し上げましょうか。


 「お父様、殿下の背任は明らかです。

  おそらくドレスは私用ということで注文されていることでしょう。

  そんなものを着てパーティーに出られては、いい笑いものです。

  パーティーには、2人揃って欠席していただきましょう。

  できれば、庶子の方には表舞台からも退場していただきたいところですが、よい嫁ぎ先はございませんか?」


 「たしかウナニラ子爵が後添いを探していたな。世話してやるとしよう」


 「それはよろしいですね。

  あとは、殿下とヨージーですが」


 「身の程知らずはたたき出せばよいとして、殿下か。

  特段、王太子の後ろ盾になりたかったわけでもない。頼まれて断らなかっただけのこと。

  この程度の理屈もわからぬ暗愚に国の舵取りを任せるなど、背筋が凍る。

  早々に引導を渡してやるとしよう」


 予算の横領と不貞行為によるタリン様有責での婚約解消は、お父様にお任せしましょう。

 私は、ヨージーに代わる後継者候補──私が公爵家を継ぐに当たり片腕となる予定のデイリーにエスコートさせてパーティーに出ましょうか。

 タリン様は、庶子を待つのにお忙しいでしょうし。

 ヨージーは後で呼び戻すことにして、私はさっさと会場に入りました。


 バカな子。

 私を貶めようなどと考えなければ、養子のままでいられましたのに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] >私が公爵家を継ぐに当たり片腕となる予定のデイリー おお! 誰がエスコートしてたのか、とっても気になってたのです! [気になる点] うーん、しかし、アクレー、これは怒ってるんだよね? …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ