予知夢を見る少女1
私の名前は多田野 瞳。
普通の女子高生である。
と、言いたいところだが一つだけ人とは違うところがある。
それは、私が予知夢を見るということである。
初めて予知夢を見たのは6歳の時。
まぁ、もしかしたらもっと前から見ていたのかもしれないが、予知夢だと理解したのは6歳の時だ。
母がお湯の沸騰した鍋を落として足に大きめの火傷を負う夢だった。
その夢を見た日、私は目が覚めてすぐに母のところに向かい無事を確かめた。
母は泣きじゃくりながら「お鍋に気をつけて」と言う私に「ただの夢だから大丈夫よ」と根気強く言い聞かせてくれた。
それで少し落ち着いた私は夢のことなんか忘れてリビングで遊んでいたのだけれど、しばらくするとキッチンのほうから大きな音と母の悲鳴が聞こえ、私は慌てて駆けつけた。
するとそこには夢の通りの母の姿があった。
それから私は度々予知夢を見るようになった。
くだらないことから重要なことまで、予知夢は私の意思とは関係なく未来の結果を見せるのだ。
そんなある日、私が12歳の時だった。
雨がしとしとと降るそんな朝、私はいつも通り予知夢を見て、そして飛び起きた。
父が車に轢かれて死ぬ夢を見たのだ。
私は急いで玄関に向かい、家から出ようとする父を引き止めた。
「行かないで」と縋って泣きじゃくって喚く私を父も母も困ったように宥めて、父から私を引き離した。
結果は予知夢の通りになった。
あの日私が引き止めていなければ父は死ななかったのかもしれない。
母は「あなたのせいじゃない」と言ってくれたけれど、私は納得がいかなかった。
だから私はその日から予知夢を変える努力をした。
けれど何をしても、何もしなくても予知夢が変わることはなかった。
それからは予知夢を変えるのではなく、受け入れる努力をすることにした。
そんな私も今日で17歳。
いつものように予知夢を見て、ゆっくりと起き上がった。
「・・・・・なるほど。」
どうやら私はあと1年で死ぬらしい。