第1章‐3
たぶん今日を逃したらなかなか更新できないので、頑張って溜めて置いた分をいっきに更新していきますw
ご迷惑おかけしますm(_ _)m
「おーい、みんな席につけー」
しばらく千尋としゃべっていたらいつのまにか8時を過ぎており、担任の日暮 勇先生が来た。日暮先生は、とっても優しくていい先生だと思う。基本的には何でも反省して、謝れば許してくれて。寛容で、みんなの意見をしっかり聞いて、尊重してくれて。いい先生だとは思うけど、私にとっては、なぜかちょっぴり苦手だったりもする。
「あっ、若葉、また後で!」
「あ、うん」
千尋は私がそう答えるよりも早く、自分の席へと戻っていった。…本当に、素早いんだから。
「ほら、若葉。愛しのダーリンがいるわよ」
「ちょっ、春日ったらぁ!」
掃除のとき。席はまあまあ近いけど、列が違うから千尋とは掃除も給食を食べるときも班は違う。だから、私は間をあけて一つ前の席であり、給食も掃除の班も同じ春日とよく一緒に過ごしている。
春日って言うのは、小さい頃からの親友。陸斗と同じ頃からの、親友。春日とは千尋ほど気が合うわけじゃないけど、明るくて、活発で、優しくて、おもしろくて。とにかく、一緒にいて楽しめる。安心感がある。劣等感を感じなくてすむ。だから、一番そばにいてほしい。あ、でもやっぱり2番目。だって、一番そばにいてほしいのは陸斗だもん。
春日とは勉強も運動も同じくらいできて、音楽や技術、家庭科や美術までも同じくらいのレベルで。だから、勉強会をやるのにも春日とが一番いい。千尋だと、私が解けない問題があると「そこ教えてあげる!」とか言って…。ありがたいけど、余計むなしくなっちゃうもん。なんだか、「あなたはできない子なのよ」と言われている気分になってしまうから。
春日は私が陸斗を好きなことを知っている。昔から、バレバレだったみたい。春日はそういう恋愛関係には、すごく鋭いからね。そして、私の恋を全力で応援してくれている。
ちなみに春日にはちょっとかっこいい彼氏さんがいる。去年、告白してもともと両想いだったってことを知ったみたい。本当に、このことに関してはうらやましすぎて、何度も春日をからかってきた。…もちろん、3倍にしてからかい返されたけどね。
「ほーら、ちょっと、あそこ! 門のあたり! 絶対陸斗でしょ! うん、視力が不動のAの私が言うんだから、間違いない!」
春日は箒ではく手を止めて、窓の外を指さした。
「ちょっと、春日ったら…。あんまり大きい声で言わないで? 恥ずかしいからさ…」
「若葉! あんた、そんなこと言ってるから千尋に陸斗とられちゃうんだよ?!」
「や、まだとられてない…と思うから」
ちょっと困った表情をした私を見て、春日はくすくすと笑いながら「冗談、冗談! 若葉ったら、本当にかわいい! 愛してるー! 孝弘の次に!」と言いながら私をハグした。あ、ちなみに孝弘っていうのは春日の彼氏さんの名前。ついでに彼は、今年は1組らしい。
春日の最近の趣味は、困ったことに私をからかうことみたい。最低1日に1回はからかわれてるもん。…完全におもちゃ扱いだな。そう考えると、思わず苦笑いしちゃう。
私は、教室の窓からちらっと外を見た。春日の言うとおり、校門のあたりに掃除中の陸斗の姿が見える。男友達と仲良くしゃべっているみたい。…あれは完璧、掃除をさぼっているなー…。陸斗、将来の夢は教師のくせして、そんなんでいいのかな? …そんなことを思いつつ、私はいつのまにか箒をはく手を止め、陸斗のその姿に見入っていた。
「けーなげっ♪」
春日はクスッと笑うと、私のほのかに赤くなっているであろう頬っぺたをぷにっと押した。
「う、うるさいっ」
…このとき一瞬、本気で、手に持っている箒が凶器に思えてしまった。
「ってかさぁ、若葉、あんた告白しないの?」
「ななななな、何をおっしゃるんです春日さん!」
私は思わず真っ赤になった。いや、っていうか真っ赤になって当然だよ。私、自分で言うのもなんだけど、結構照れ屋だし。その上、表情がすごく出やすいみたい。
「こ、告白なんて…無理無理無理!」
…そりゃ、昔みたいに仲が良かったら告白できたかもしれないけど、今の私じゃ、絶対に無理。今の私達のままじゃ、絶対に…。
「そんなことないって! 私だってダメもとで孝弘に告白したんだよ?」
「でも…」
でも春日と私じゃ、状況が全然違う。春日はもともと、彼氏さんと仲が良かったもん。(その頃は”友達として”仲が良かった、だけどね。私達なんて、友達以下だから…。)
「じれったいなぁ、もぉー! ってか、あんたら両想いだったんじゃないの? 昔、すっごい仲良かったじゃない! あの頃はは絶対、陸斗、若葉に気があったって!」
「わかんないー。タイムスリップして昔の陸斗に聞いてみてー…」
私ははぁーというと、陸斗から目線をそらした。さすがにずっと陸斗を眺めていると、誰かに気づかれてしまう可能性がある。
「でもさぁ、何であんなにも仲が良かったのにこうなるわけ?」
今度は春日が窓の外を見ながら、そう問う。…っていうか、そんなの、私が知りたい。ある日突然こんな風になったわけじゃない。ちょっと陸斗が避けてきたかなーと思ってたら、いつの間にかうちに遊びに誘ってくれることもなくなってしまって。学校でもクラスが変わったっていうのもあって、顔を合わせることもなくなってきて。こんな風になっちゃった。
「でもさぁ、ひょっとしたら…ってこともあるんじゃない?」
「ないない!」
私は思わず苦笑いした。




