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HONEY  作者: sora。+*
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第1章‐2

だいぶ間があいてしまってすいません((汗

ひさびさの投稿になりますw

 それからしばらくした時、教室の後ろの扉が勢い良く開いた。そして、聞こえてくる元気な声。振り向かなくたってわかる。それが、誰なのか。

「おい裕也! 行くぞ!」

 胸が少しどきどきするのを感じながら、声がした扉の方を見る。…あぁ、やっぱり。

 日に焼けて少し浅黒い肌、光をうけてちょっと輝いている若干長めの黒髪、たくましい身体つきの少年───安西 陸斗が、そこにいた。

 陸斗は私の幼馴染で、隣の家に住んでいる。小学校4年生の頃からほとんど遊ばなくなったけれど、それまではほとんど毎日のように遊んでいた。人見知りで、臆病だった私。そんな私を、外に連れ出してくれた陸斗。そこら中を駆け回って、思いっきり笑ったて、時には喧嘩もして。

 でも、最近は顔を合わせることもほとんどない。学校ですれ違っても、声をかけることすらない。

 「知り合い以上、友達未満」。

 それが、現在いまの私達の関係に一番ぴったりな言葉。それが切なくて、悲しい。なぜって…私は好きだから、陸斗のことが。小さい頃から、ずっとずっと。

 当然、陸斗は私のこの気持ちを知らない。告白する気だって、ない。釣り合わないって…わかってるから。明るく活発で、かっこいい上に人気者な陸斗。内気でおとなしく、しかも地味なうえに暗くて陰も薄い、私。きっと陸斗にはもっと美人で、明るい女の子が似合う。例えば、千尋みたいな子が。

 だから、私はただただ遠くから見つめるだけ。静かに、見てるだけ。けれど、それで十分満足してるから…。

 このクラスには、陸斗の親友がいる。それが、新城 裕也。新城君も結構身長が高くて、顔立ちも結構いい方。もちろん、陸斗のほうがかっこいいけど。それに、テストではいつも10番以内に入っているという秀才らしい。だけど決してガリ勉なんかじゃなくて、スポーツもかなり得意で。陸斗と同じくらいの人気者と言ってもおかしくないくらい。

 朝、陸斗は新城君やその他何人かの友達と一緒にボランティアで、学校の周りのごみ拾いをしている。…ちょっと、似合わないけどね。でも、内申点が上がるという噂もあるし、結構そのボランティアをやってる人は多い。もちろん私はやっていないけど。

 そのボランティアの活動をしている場所───学校近くの川辺に行くために、陸斗は毎朝新城君を呼びにうちのクラスへとやって来る。その時間が、私の一日の中で一番幸せな時間。一日の中で、一番陸斗に近づけて、一番陸斗を見つめていられるから。みんなが「また来たよ、こいつ」とか思いながら陸斗の方を見るから、どさくさにまぎれて私が陸斗のことを見ていても、全然怪しまれない(はず)。


「ちょっと、陸斗! ちゃんとドア閉めてってよ?!」

 陸斗に向って、大声で言う千尋。そのせいで、陸斗がこっちを見た。そして一瞬、目が合う。恥ずかしくて、思わず目線をそらす私。せ、折角の至福の一時が…。でも、陸斗と目が合うなんて…。ちょっと嬉しいけど、もっと眺めてればよかったかもな…。しかも、さっきまで陸斗のことを見ていたことが思いっきりバレた気がする。

「わかってるって」

 陸斗は少し不機嫌気味に千尋にそう言い残すと、新城君と一緒に教室を出ていった。本音を言うと、もうちょっとここにいてほしかったのにな…。まぁ、しかたないけれど。




 陸斗と千尋は、去年同じ2組だったらしい。そのせいか、2人は結構仲がいい。一部では、2人が付き合ってるんじゃないの? っていう噂もある。デマであることを願ってるけど…。っていうか、デマだと信じたい。

 でも、そんな噂が流れてもおかしくないほど2人はお似合いだってことは私にだってわかる。2人とも人気者で、頭が良くて、スポーツもできて、身長も高くて、顔立ちも整っていて。…すごく、うらやましい。憎くなってしまうほどに、うらやましくてたまらない。


「そうだ、若葉。今日も部活の時、一緒にやろうね♪」

「うん…」

 私は苦笑しつつも、そう答えた。

 私と千尋は、卓球部。千尋はもともとテニス部にするか卓球部にするかで迷っていたらしい。でも私が卓球部に入ることに決めたということを知った途端、じゃあ私も若葉と同じ部活に入る! と言って、卓球部に入部することを決めた。正直をそれを聞いたとき、嬉しいようで悲しかった。こんなこと思っちゃいけないってわかってるけど。だって、千尋は本当に何でもできてしまうから。卓球だって、部活に入ったとたんあっという間に上手くなってしまって、先輩達にも勝ったりしちゃって…。そんな千尋は、あっという間にレギュラーになっちゃった。そして、ついには部長にまでなってしまった。

 それに比べて私は同じ学年の中でもかなり下手な方で。フォームはいまいち。バックも苦手。カットも上手くできなくて、スマッシュなんて、絶対に無理。そんなダメダメな私。千尋は私に何度もコツを教えてくれたけど、更にみじめになっただけ。正直劣等感が募って、泣きたくてたまらなかった。

 もともと体力があまりなくて、運動も苦手だったから卓球部を選んだ私。運動部の中では一番楽そうだったからという理由だけで、興味も何にもない卓球部に入部してしまった。でも、文化部にしておけばよかった。絵を描くのが好きだし、美術部にでも入っておけばよかった。卓球部に入ってから、ずっと後悔し続けている。でも、転部するだなんて逃げるみたいだから、絶対にしたくない。そう思って、ここまで来た。


 部活の時間は好きだけど嫌い。矛盾してるってわかってる。でも、これには立派な理由があったりもする…。

 部活の時、休憩中に卓球部女史の部室…というより、私達の荷物置き兼休憩場所である体育館のステージの横にある部屋の窓からは野球部───陸斗が遠くにだけど、見える。そこからなら、誰にも気兼ねなく眺めていられる。しかも、運が良ければ野球部が外周しているところがすぐ近くに見える。本当に、2mもない距離から。ちなみに木が生えているおかげで、外からは中のことはほとんど全然見えない。まぁ、私もその分見にくいけれど。でも、何週間かかけて一番見えやすいスポットを探したから一応ちゃんと見える。だから、この時間は好き。大好き。

 ただ、普通に体育館の中で部活をやっているときは、とてつもなく嫌。体育館の中でひたすら練習して、それなのに1年生にも負けたりしちゃって。それが、とっても恥ずかしくって、そして千尋の方を見てみじめになって…。だから、この時間は嫌い。大嫌い。

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