No.8 馴れ馴れしく呼ばないで
「ーー我々に援軍などいませんが、敵の敵を上手く使います。しかし……敵の1人にスナイパーがいる事が分かりました。となると、籠城戦はあまり得策ではなくなりました。場所を変えましょうレナ」
リバティが私の頭をぐっと下げながら、その場から逃げるように移動する。
そんな私たちを含め、このイースターワールド全てを複数のカメラで見渡し、観察して楽しんでいる人物がいることは誰も知らないーー
「ニシシ……また一人減っちゃったね!これで残り8人だ!」
スポーツ観戦でもしているような感覚で、黒フードの少年ーーマイル・ラ・ギャレットコートがニシシと笑う。
真っ暗な部屋にある数台のモニターを見ながら、殺し合いの中継を手を叩いて喜んでいた。
「最高だねデスゲームって!みんな必死に、元の世界に戻りたい……生き返りたい……って必死になって殺し合いしてんの!本当に汚い生き物だよな人間って!なぁ!あんたもそう思うだろ!?」
視線を部屋の入口付近に立っていた、同じ黒いコート姿の女に向けて言った。
女はライトパープルの色をしたショートカットヘアーで、片目を前髪で隠しているのが特徴だ。
大きな垂れ目に、ふくよかで豊満なバスト。
それでいて足がすらっと長く、しっかりとしたクビレをした、スタイル抜群の絶世の美女。
腕を組みながらため息を吐き、笑うマイルに向けて呆れ顔で言った。
「マイルも相当汚い生き物だと私は思いますよ……悪趣味です……」
酷い言われようだったが、マイルはニシシと笑って言い返す。
「あんたにだけは言われたくないよ。なぁもっとこっちに来て一緒にデスゲーム観ようよ。暇なんだろ”アスフィー”?」
「馴れ馴れしくそう呼ばないでください」
「あぁ分かったよ。そう言えば自分が認めた気に入る相手にしか呼ばせないんだっけ?はいはい分かりましたー”アスフィア・リ・コンソラトゥール”さん」
”アスフィア”と呼ばれた女は、気だるそうに歩き出す。
マイルの座る隣に置いてあったもう一つの椅子を手に取り、部屋の隅に距離を置くように移動する。
椅子の上で膝を抱えるように座った。
「マイルはいつまでこの遊園地擬きで遊んでるんです?」
「擬きってなんだよ?」
「いい加減大人になったらどうですか?他人の殺し合いなんか観て何が楽しいんですか……」
「楽しいさ!アスフィアも暇だから観に来たんだろ?」
「一緒にしないでください」
「あっそ。そういや愛しの彼とはどうなんだ?”童貞”を奪うことは出来たのかー?」
「……殺しますよ?」
殺意の籠った視線でマイルを睨むアスフィー。
しかしマイルは怯えることなく笑い返す。
「怖っ!ニシシ!見てなよアスフィア!こいつら人間がエゴで殺しまくる惨劇……!最っ高にすっげぇから!!」
別作『童貞ヒキニートの俺、美少女に逆ナンされたんだがww』よりヒロインのアスフィア・リ・コンソラトゥールが登場です!
彼女の正体は小説にてチェック→https://ncode.syosetu.com/n7553fu/




