No.18 リベンジと言いました?
「……そうですか。貴女もこのゲームに参加していたんですねーー」
この『天国と地獄ゲーム』は、死者を集めたデスゲーム。
その参加者までアスフィアはマイルから知らされていなかった。
重い気だるいため息を吐いた後、髪を掻き上げる仕草を見せる。
「ーーそれで……私に”リベンジ”と言いました?」
ブルーベル・パレットカラーという女は、この死神ーーアスフィア・リ・コンソラトゥールに殺された恨みがある。
この死後の世界で再会を果たし、ブルーベルは生き返りよりも、恨みの仕返しを優先したいのだ。
「何がなんでも、あんたはここで私が消してやる……!たとえこの命が尽きようともな……!」
ブルーベルが胸に手を当てて言った台詞に、アスフィアがクスッと笑って挑発した。
「ふふっ……尽きる命なんかもうないじゃないですか?」
「ただのジョークだ。笑わせてやったんだよ。もうすぐお前を、笑うことすら出来ねぇ身体にしてやるんだからな……!」
「……そうですかーー」
アスフィアからすっと笑顔が消え、紫の大鎌をクルクルと回転させるように振り回す。
「ーーそのような戯言を二度と吐けないよう、私がもう一度殺してあげます……!」
代わりにアスフィアの表情から、冷たい殺気の瞳が伝わってくるのが分かった。
ビリビリと感じ取った私も、太刀を構えて向かい合った。
しかしそんな私にブルーベルは、背中を向けたまま警告する。
「あんたは下がってな。あいつは私が仕留める獲物なんだ」
「だ、誰だか知らないけど、あのアスフィアって女は物凄く強いんだよ!」
「あぁ知ってるよ。よーく知ってる。伊達に一度殺されてねぇよ」
敗北の過去があるブルーベルだったが、何故か笑って言い返していた。
「だったら私も戦わなきゃーー」
私がそこまで言ったところで、ブルーベルがルームの出口を指差して台詞を吐き捨てる。
「そんな暇あるんなら、とっとと自分のお兄ちゃんを迎えに行ってやれ」
「お兄ちゃん……!」
頭の中にお兄ちゃんーーリバティ・エンフィールドの顔が浮かぶ。
義兄は私を命懸けで逃がしてくれた……
私はまだーーリバティに何も感謝を伝えていない。
ーーでも……もう逃げてばかりの自分が嫌なんだ!守られてばかりの自分が嫌なんだ!
「ほら早く行け!」
「嫌!!」
「なっ!?」
驚いて思わず振り返るブルーベルだったが、私は強い覚悟で言い放った。
「私の兄妹はあのバカだけよ!見ず知らずの貴女に指図されたくない!」
「いや気持ちはわかるがビギナー!お兄ちゃんが心配じゃないのかよ!?」
「心配……!?あのバカ兄は簡単に死ぬ男じゃないの!そんな心配してる暇があるならーー」
ブルーベルの前に立ち、アスフィアに向けて剣を向けて大声で叫んだ。
「ーーとっととあの女を倒すわ!えっと……ブルートゥースさん!?」
「私は音楽プレイヤーかよ!ブルーベルな!!ったく……!ウチの妹と大違いだなあんた……!」
「あんたじゃない!私はレナよ!レナ・エンフィールド!!」
「あぁめんどくせえ!!もういい好きにしな!ならフォロー頼んだぜ!今からレナは私のバディだ!」
赤と蒼が刀を構えて並んでいる。
その光景にアスフィアは再度ため息を吐いて呟いていた。
「……鬱陶しいですね本当に」
アスフィアが手を前に翳し、私達の真下に大きな黒い穴を出現させた。
前作『童貞ヒキニートの俺、美少女に逆ナンされたんだがww』で登場したキャラ、ブルーベル・パレットカラーのリベンジマッチです!!




