No.16 チームワーク
「……ニシシ!なぁ、リバティっつったっけ!?お前特別に、その義理妹を殺したらーー生き返らせてやるよ……!」
生き返れるーー
そもそも生き返りたいが為に、この”天国と地獄ゲーム”を戦ってきた者にとって、安全に願いが叶う好条件に普通なら目を奪われる。
リバティ・エンフィールドという男は、元々私の事を直接”嫌い”と言っていた。
「リバティ……!?嘘、よね……!?」
漂うリバティの陰険な雰囲気に、私は怯えながらゆっくり後ずさった。
リバティはそんな私の表情を見つめ、ため息を吐いた後ーー
「……僕はレナ、君の事が嫌いです。呆れる程の馬鹿で、僕はそんな女の義兄になってしまいましたーー」
ニコッと不敵な笑みを浮かべながらーーマイル・ラ・ギャレットコートに向けて、迷わず銃口を向けた。
「ーー妹を裏切るわけないでしょうが……!」
「リバティ……!」
私はそんな義兄の頼もしい背中に守られていた。
「お兄ちゃんと呼ばれた事は一度もありませんが、でもまぁ、世界でたった一人しかいない妹ですので」
ーーズガンズガン!!
両手の銃でそれぞれの黒コートを狙い発砲。
マイルとアスフィアが大鎌で弾丸を捌き、冷めた表情でこちらを睨んでいた。
「……バカじゃないの?」
「えぇ、僕も本来そうやって、兄妹愛等と馬鹿にして笑う所ですがね。実際妹が死にそうになってる所を見ると、何故かどんな強敵にも立ち向かおうって気になるんですよ。”お兄ちゃん”とはそういう生き物です」
「……へぇ。馬鹿な生き物なんだね」
マイルが大鎌を振りかざしながら突っ込んで来た。
リバティは体制を低く落として、マイルの横振りをすぐさま躱す。
左手を地面についたあと、身体を反転させ、回し蹴りでマイルの身体をぶっ飛ばす。
そしてすぐにアスフィアに狙いを変え、右手の拳銃を数発発砲する。
「何してるんですレナ!?」
リバティは怒鳴るように、後ろにいた私に言った。
「えっ……」
「早く逃げなさい!こいつらは僕が食い止めます!」
それを聞いたマイルは、体制を立て直して再度接近。
「ニシシ……!逃がすかよ!」
リバティの武器は二丁拳銃ーー
近接特化の大鎌相手では、その相性は最悪だった。
だから私はーー
「リバ……お兄ちゃん!!」
掛け声と同時に私の武器ーー鞘にしまった太刀を放り投げた。
リバティが右手の拳銃を真後ろに放り投げ、交換するように私の太刀をキャッチする。
そして目前まで接近していたマイルの大鎌を、私の太刀を使って受け止めた。
「良い判断ですレナ……!」
懐がガラ空きになったマイルの腹部に、左手の拳銃で撃ち抜いた。
ズガンッ!!
「がっ……!!」
吹っ飛ぶマイルを見たアスフィアは、逆に隙が生まれたリバティを横から狙っていた。
「何がお兄ちゃんですか……!!」
しかしアスフィアは、先程リバティの放り投げた拳銃を握っていた私を忘れていた。
「自慢のお兄ちゃんよ!!」
「……!!」
ズガンズガン!!
銃に慣れない私だったが、アスフィアの右足と左肩を撃ち抜く事に成功。
「すごっ……!本物の銃ってこんなにも強いんだね!手が痛いよ……!」
撃った反動が、想像以上の強さだった。
しかしリバティは笑いながら褒めてくれた。
「いや、上出来でしたよレナ!特に足に当ててくれたのは大きいです!」
すぐに再度お互い武器を放り投げて交換し、黒コート二人に狙いを付けて言った。
「そちら側はチームワークがなってませんでしたね」




