No.15 とても綺麗な女性だった
振り返ると見知らぬもう一人の黒コートの女が、大鎌を構えて立っていた。
「ーー残念ですね。こちらも二人です」
ライトパープルカラーのショートヘアーで、スタイル抜群のとても綺麗な女性だった。
私の身体を真っ二つにしようと、渾身の横払いで大鎌を振るっていた。
ーーしまった……!私死んじゃう……!
反応が遅れた私は、迫り来る死の恐怖に怯えていた。
そんな私だったが、突如ガクッと視界が揺らぎ、前に身体が倒れ込んだ。
「きゃっ!」
咄嗟に行動したのはリバティだったーー
私の脚を回し蹴りで払い、大鎌の攻撃から紙一重で逃がす。
「ボサっとしない事ですレナ!」
すぐさま両手の銃で、黒コートの女に連射する。
しかし女は大鎌を素早く振り回し、リバティの発砲した弾丸を全て弾き落とした。
「……後ちょっとでしたのに」
女は無気力なため息を吐いていた。
確かに言う通り、後ちょっとリバティが遅れていれば、私の身体は横真っ二つに斬り裂かれていたーー
私たちは急いで黒コートの二人から離れ、お互い殺気を漂わせながら向かい合う。
こんな綺麗な女性まで、この狂ったデスゲームに参加しているなんてーー
「私は人殺しなんてしたくない!貴女もそうでしょう!?綺麗な女の人!」
私は思わず聞いてみたくなった。
リバティが呆れ顔で、「馬鹿ですか?」と呟いたが、黒コートの女は気怠い雰囲気で言い返した。
「……人殺しなんて、そんなの勿論嫌ですよ」
「えっ!?やっぱり!?だったらーー」
そこまで言ったところで、女は恍惚の笑みを浮かべて口にした。
「ですが……!憧れのあの人以外、この世の全員虫けらですから!早く死んじゃってくださーい!」
その瞬間この女の全てを理解した。
あぁ、こいつはそっち側なんだと。
「リバティ……!この人やばいよ……!」
女の言う憧れのあの人が誰だか分からないが、人を躊躇なく殺せる女である事は明確となった。
「そのようですね……!僕が言えたことじゃないですが、この女は危険です……!」
「ニシシ!悪いけどさーー」
マイルが自身のチケットを武器ーー白の大鎌に変化させ、無邪気に笑いながら私達に続けて言った。
「ーーゲームは勝たないとつまんないからさ!無理やり参加させといてなんだけど死んでくれ!」
「……まるで死神ですね!」
「そう!俺たちは死神なんだ!お前らが生きるか死ぬかは、俺たちが決めんの!」
「……餓鬼の戯れ言ですね!付き合ってられません!」
リバティが銃口を黒コート二人に向けた瞬間、マイルは笑って提案した。
「死神だからさ……!こんな悪魔的アイデアも思いつく訳……!」
「アイデア……?」
「……ニシシ!なぁ、リバティっつったっけ!?お前特別に、その義理妹を殺したらーー生き返らせてやるよ……!」




