クーデター
モチベが……
始まりは、一発の魔法だった。デモ隊の目の前で、王城の壁が爆発したのである。
「聞け!我らエタシア軍は、先の撃墜事件の犯人を捕まえた!結果、国王が関与している事が分かった!皆の者!我が軍に続け!国王を捕まえるのだ!」
広場に繋がる大通りの真ん中で、クーデターの首謀者の一人である、ラナック師団長が声を上げる。それを聞いた民衆の興奮は高まる。
「全軍突撃!」
ラナックの掛け声で、後ろに控えていたクーデター軍が、一斉に近衛兵との戦闘に入る。同時に、一部の者は王城の門の破壊に入る。
そして、城門が破壊されると、一斉に雪崩こんだ。
同時刻 在エタシア日本軍基地 司令室
「……以上が、現在の状況です。未だにエタシア政府から救助要請は来ていません。但し、状況によっては、大使館防衛を理由に市街地に部隊を展開する事は日本政府によって許可されています。」
在エタシア司令官の野間は、部下から説明を受けていた。
「分かった。いつでも出動出来るように、正門前に歩兵部隊を待機させておいてくれ。それと、ドローンで偵察を行う。すぐに用意してくれ。」
野間は、的確に支持を飛ばしていく。その時、テーブルに置かれた魔法通信器がベルを鳴らした。
「こちら、在エタシア日本軍基地司令部です。どうしましたか?」
通信員が、すぐに受話器を取る。
『こちら、シオン王国海軍エタシア派遣隊。本国からの命令により、三国条約に基づいた大使館防衛の為の軍事行動をとる。以上。』
受話器から、派遣隊長の声が流れる。エタシア、シオン、日本の三国条約によって5年間は、緊急時には軍を展開させる事が認められていた。といっても、日本は憲法上、首相の許可が必要な為、少し時間がかかるが。
「なるほど。必要に応じて、こちらから情報提供を出来るようにしておけ。」
野間はそう支持を出し、万が一の事態に備える。