大陸の盟主
コルタル島→クトロ島に変更しました。
大陸歴4217年4月 アラモリス学園領 テサの街
この日、リュクロとその教え子は、港近くの魚市場に来ていた。
「この一年で、ここの港もずいぶん変わりましたね。リュクロ先生。」
そう言われたリュクロは、入江を挟んで魚市場の反対側にある港を見る。そこには、ニホンから来たタンカーや貨物船が、ところ狭しと並んでいた。とく見ると、珍しいローゼン王国船籍のタンカーもある。
「まったくだ。ニホンにはいつも驚かされる。一年でこれだけの港を完成させてしまうとはな。」
日本と同様の機械文明国であるシオン王国との中継地として選ばれたテサは大発展を遂げていた。日本主導で作られた巨大な港の周りには、この機を逃すまいと各国が港を建設し、大賑わいとなっていた。港の周りには円形の巨大な石油タンクが大量に並べられており、隣には同じ規模の魔石貯蔵施設もある。
「日本とかシオン王国の企業がどんどん進出しているんだ。割と内陸の方まで建築ラッシュだとさ。私の友人も、シオン王国企業のなんとかって工場に就職すると言っていたな。」
日本は同盟国に、性能を落とした製品を輸出していた。製造は全て国内で行っている為、人件費はかかるが輸出で莫大な利益を上げている。転移によって落ち込んだ日本経済はV字回復し、バブル期を超えるとも言われていた。
「日本の自動車もよく見るようになりましたね。道がアスファルトで舗装されているのはちょっと慣れませんが。」
魚市場を出た所で、リュクロの教え子はそう話す。二人の前には、魚を運んでいるであろうトラックが、交差点の信号待ちをしていた。
日本の大きな輸出品は自動車と通信技術で、既に各国の大都市では日本車や携帯電話を持った人が行き交う光景が当たり前になりつつあった。
4216年4月のミューレ12世の来日によって一旦の区切りがつくと、日本は
○新領土の整備
○政府内の組織再編
○友好国との関係強化
の三つを軸として動いていく事になる。
まず新領土の整備については、植民地ではなく日本の領土に組み込む法律が5月に可決された。これによって大陸部に西陸道が、クトロ島に九兎路県が設置され、それぞれ秋津市と朱鷺蘭市(旧トルキラーン市)が県庁所在地となった。もともとの住民には日本国民になるか帝国民になるかを1年以内に決める事になったが、既に半数以上の住民が日本国民になる事を選んでいる。
土地開発は政府が出資して作られた建設会社が行っており、失業者を中心とした10万人規模の開拓団が既に送られている。各地で急ピッチでインフラが整えられ、鉄道も北海道から延伸し、ローゼン王国内に至るものが建設され始めている。
次に政府内の組織再編は、魔法省と国防軍の設立が主なものとなる。政府は地球連合との会議で、地球連合軍の指揮権を日本国に移す事を決定した。軍の受け入れに伴って、日本政府は国防省を設置し、その下に陸、海、空、宇宙軍の4軍を作った。
特に海軍には力を入れており、本土防衛の第一〜第四艦隊に加え、シーレーン防衛の為に第五〜第七艦隊を整備し、空母機動部隊も三部隊を設置する事となっている。ただし、新造艦の建造には時間がかかる為、旧韓国艦である航空護衛艦"かんな"を中心とした第一空母機動部隊がシーレーン防衛に当たる事となる。
魔法省はその名の通り、その名の通り魔法に関する業務を行う機関である。将来を見越して設置されたが、国内の魔法能力者は非常に少ない為、仕事はそれほど多くはない。
最後に、日本はローゼン王国、アリュータ王国、クワリッタ共和国と東マテリカ大陸同盟を締結し、オクトローン学院連合、シオン王国ともそれぞれ同盟関係を結んだ。これには軍事的な協力関係だけでなく、一部の技術提供も含まれている。
こうして、日本は新たな世界で生きる為の基盤を整えたのだった。
韓国艦が配備されているのは、現時点で日本が持つ唯一の空母だからです。その他にも、第五艦隊以降の部隊には海外艦(主にイギリスと極東キューバ海軍の所属)が多く配備されています。
今回の文章はかなり雑です……
今回までに回収し忘れた伏線がかなりあるので、しばらくは修整作業に集中します。
話の流れは変わりませんが、比較的大きな設定変更をする予定です。
ご迷惑おかけしますm(_ _)m