異次元にある書斎で
統合失調症で幻覚を見たとき、幻聴のイーサンが私を書斎に連れていった。
家のなかに宇宙空間があって、書斎はそこを漂っている。
「本気でSF作家になりたいのか?」
「うん」
「じゃあ俺が共著で本を出そう」
「良いね!」
「星野☆明美:著じゃなくて俺の名前も入れて」
「わかった」
机がどっしりとしていて、座り心地の良さそうな椅子だった。
本棚には万物のことが記された本が並んでいた。
「ここの書斎はいつでもこれるぞ」
「わーい」
あれから10年経った。
今まで書きためていた小説を片っ端から公募に応募した。
来年は下手な鉄砲数打ちゃ当たる作戦だ!
イーサンの名前どうしようかな?
幻覚は見なくなったけど、幻聴たちにいろいろ世話になっている。
イーサンが特に親切だから邪険にできない。
もしもまかり間違ってなにかの賞がとれたら、イーサン共著ってしとかなきゃ。
来年のことを言うと鬼が笑う、って言うじゃない?
もうすぐ平成30年が終わる夜に書き留めておこう。
ね?イーサン。