逆さ虹を目指して
逆さ虹の森と呼ばれる理由を知ってるかい?
昔むかしこの森にそれはもうりっぱな虹がかかり、その虹は逆さだったらしいんだ
だからこの森は逆さ虹の森と呼ばれているんだ
でもね、誰一人としてその虹を見た人はいない
見てみたいって? そうだなぁ、じゃあもうひとつだけ森のことを教えてあげようか
この森のどこかにドングリ池というのがあるらしい、ドングリをなげお願いごとをすると叶うらしいよ。
ああそうだ、探しに行く時はどんなことがあっても嘘をついたらダメだよ? 嘘をつくと怖い木に捕まっちゃって動けなくなるんだ
……おや? 今日もたくさん遊んだから眠くなってしまったかな?おやすみなさい、きつねくん
❀.*・゜
「んー……よくねたぁ」
「おはようきつねくん」
「おはようパパ、今日はねドングリ池を探すんだ!」
「ははは、そうかい、じゃあ少しまってるんだよ」
パパは探してる間に疲れてもいいようにお水とおにぎりとドングリをくれました。
「気をつけて行ってらっしゃい」
「うん! いってきます!」
きつねくんはおうちを出て元気に歩きだしました。
きつねくんはこれまで森の奥まで入ったことはありませんでした。
「やぁきつねくん、どこへ行くんだい?」
「やぁ、へびさんドングリ池を探しに行くんだ!」
「ドングリ池? そんなのあるもんか」
「パパがあるって言ってた、へびさんも探しに行かない?」
「ふん、そんなの探さなくても僕はおなかいっぱいご飯が食べれればいいさ」
「そうか、僕は逆さ虹がみたいから行ってくるね」
「おういってらっしゃい」
へびくんと別れきつねくんはさらに森の奥へと入っていきます。
きつねくんは今まで来たことがないところに少し怖くなってしまいました。
「パ、パパァ」
パパに会いたくなり帰ろうとかと思ったその時歌が聞こえてきました。綺麗な歌です。どこから聞こえるんだろう? きつねくんはキョロキョロ歌ってるこを探します。
ふと歌が止まりました。歌の代わりに「あら? 初めて見る方ですね」と声をかけられ、上の方を見るとそこにはコマドリさんがいました。
「さっきの歌は君が歌ってたの?」
「ええ、そうよ? あなたはどこに行くの?」
コマドリさんは優しくきつねくんに聞きました。
「ドングリ池を探しに来たんだけど怖くなってしまったんだ」
「それなら私が怖くないように歌を歌ってあげるわ」
そういうとコマドリさんはまた歌い出しました。
さっきまで怖かったきつねくんはその歌声に勇気をもらいまた歩きだします。
❀.*・゜
しばらくするとコマドリさんの歌は聞こえなくなりましたがきつねくんはもう怖くありませんでした。
始めていくところには新しいことがあるとしったからです。
次はどんなことがあるかな、ドングリ池は見つけられるかな!
そう考えながら歩いていると木がたくさん生えてる所につきました。
「やぁやぁそこの君、どこに行くんだい?」
目の前にリスくんがいました。
「僕はこれからドングリ池に行くんだよ」
「ドングリ池? それなら僕は道を知ってるよ」
「本当かい!? 教えて欲しい!」
「いいとも!」
そう答えてくれたリスくんが歩きだそうとした時ニョキニョキと木の根っこが動きました。
「え!? なに!?」
きつねくんは何が起こっているのかわらかず戸惑っています。
「しまった!」
そういったリスくんは木の根っこにぐるぐるにされてしまいました。
「リ、リスくん大丈夫?」
リスくんを助けようと引っ張りますがびくともしません。
「いでででで、だ、大丈夫だよ、これは僕が嘘をついたからだ」
「嘘?」
「そうさ、本当はドングリ池への道なんて知らないからね、ちょっと困らせようと思ったのさ」
「そ、そうだったのか、ドングリ池は自分で探すから大丈夫だよ、どうすれば君はぬけられるの?」
リスくんは目を丸くし驚きました。嘘をつき困らせようとしていたきつねくんに心配されたからです。
「君はお人好しだね、僕はこのままで大丈夫さ、それよりドングリ池を探しておいで」
「で、でも」
「いいから、君がここにいても何も出来ないよ」
たしかにその通りだと思ったきつねくんは大人を呼ぶためにその場所から動きました。でも迷子になってしまったのかいくら歩いてもいつもの道は見つかりません。
代わりに見つけたのはボロボロの橋でした。
❀.*・゜
ここはどこなのかわからず困っていると橋の奥で誰かがいるのが見えました。
きつねくんはボロボロの橋を渡ろうと思いました。橋をわたるため足を乗せるとグラグラ揺れ今にもしたの川に落ちてしまいそうです。
「こ、怖いよう……」
やはりやめようかときつねくんは考えます。それでもリスくんがあのままだったらと思うとゾッとしたきつねくんはパパから貰ったおにぎりを食べ、またまた勇気をもらいます。
「さぁ! いくぞ!」
ゆっくりゆっくりきつねくんは橋を渡ります。なんとか橋を渡りきるとそこにはアライグマさんとクマさんがいました。
アライグマさんとクマさんはケンカをしているようでクマさんはずっとごめんなさいと謝っています。
「ね、ねぇ、アライグマさん、クマさん」
「あぁ? なんだ、初めて見るやつだな」
アライグマさんがきつねくんに気づいてくれました。
「た、助けて欲しいんだ! リスくんが木に捕まってしまったんだ!」
「リスだと? うーん……まぁひと暴れするにはいいか、どこにいるんだ?」
「あの橋の向こうにいるんだ!」
「ぼ、僕は無理だよ、橋を渡るなんて……できっこない!」クマさんがそう答えます
「ふん、ビビりめ、おいきつねこのクマと一緒にいろ、俺はそのリスのところに行くからな」
そういってアライグマさんはボロボロの橋をあっという間に渡ってしまいました。
「す、すごいなぁ、アライグマくんに、きつねくんは」
「そんなことないよ」
「僕は少し疲れてしまったから寝るね、リスくんはきっとアライグマくんが助けてくれるよ、きつねくんも一緒に寝よう?」
「うん……」
クマさんは寝ると言ったあとすぐ寝てしまいました。きつねくんはリスくんのことが気になり寝れません。もう一度橋を渡り様子を見にいこうとしましたが橋はさっきよりさらにボロボロで川に落ちてしまいそうです。
勇気をくれたおにぎりはもうありません。
きつねくんは橋を渡るのを諦めましたが寝ることも出来ず周りを歩くことにしました。
❀.*・゜
しばらく歩いているとクマさんが見えなくなり、水の音が聞こえてきました。
「こんなところで水の音……?」
音がする方へ歩いていくと池がありました。
今まで見たことがないくらい澄んでいて綺麗な池です。
「これが、ドングリ池かなぁ」
きつねくんにはこれが本当のどんぐり池なのかは分かりませんでした。でも願いごとがあったきつねくんはドングリを放り投げ願います。
願ったあとクマさんの所へ戻るとクマさんは起きていて別の橋を見つけていました。きつねくんはクマさんと一緒に橋をわたり、リスくんがいるであろう場所を探します。探しても探しても見つからないその場所はコマドリさんが来て教えてくれました。
「さっきのきつねじゃないか! こっちだ!」
きつねくん、クマさんはやっとアライグマさんとあえ、その横には木から抜け出しているリスくんがいました。
「リスくん! よかった!! 抜け出せたんだね!」
「それが聞いてくれ、俺がどれだけ強く引っ張っても抜けなかったのにいきなりスルスルと木がほどけていったんだ!」
アライグマ君が言います。
「僕も嘘みたいだよ、この根っこに捕まると抜け出せないって僕は聞いていたから」
どうやらあのドングリ池は本物だったようです。
きつねくんは、逆さ虹を見れますようにとは願いませんでした。代わりにリス君が無事に抜け出せますように、と願いました。無事にリス君が抜け出せていてきつねくんは嬉しくなりました。
するとその時、雨が降ってきました。
「わぁ! 雨だ!」
「あの木の下で凌ごう!」
皆で木の下へ行き、雨が弱くなるのを待ちます。
どれくらい待ったでしょうか。雨は少しずつ弱くなりそろそろ帰ろうかと話をしていた時「おーい!」と声が聞こえてきました。
振り向くとへび君とパパがこっちへ向かってきていました。帰りが遅いきつねくんを心配してくれたようです。
全くおそすぎるよとへびくんが呆れたように言いました。
ごめんなさいときつねくんが答えパパがさぁ、帰ろうと声をかけます。
きつねくんはすっかり雨が降っていないことにきづき空を見上げました。
「あ!!」
きつねくんはなにかに気づいたように声を上げました。
「どうしたんだい?」
みんなが不思議そうな顔をしてきつねくんをみます。
「空を見て!!」
きつねくんは嬉しそうに、空を指指します
そこには、綺麗な虹がかかっていました。それも普通の虹ではなく逆さの虹です。
今までみたことのなかったその光景に皆声を失います。
しばらくみていると虹はすぅーと消えていきました。でも今日みたこの光景と出来事はここにいる全員がずっと覚えています。きつねくんの思いつきの行動は皆を幸せに導く行動でした。
お読みいただきありがとうございました!
童話というより絵本っぽくなってしまったような気がしなくもないですがでも書きたいなとおもったものはかけたので良かったです!
楽しいものになっていたら嬉しいです*\(๑•ω•๑)/*