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エピローグ☆鏡の行方
エピローグ☆鏡の行方
「ノメド、功を焦って鏡を三千で父親に買わせたのが裏目に出たな?」
デルムントがニヤリと笑った。
私と海斗は無我夢中でデルムントにしがみついていたら、いつのまにか自分達の部屋に戻っていた。
「あの鏡が無いわ」
「もう次の場所へ移動した。多分二度とお目にかからないと思うよ」
デルムントは、ちょっと寂しげな顔だった。
「時間が動き出す。俺も行かなくちゃ」
「えっ」
ブーン。
鳩時計の動く音がして、デルムントの姿がかき消えた。
「ひどいよ。さよならも言わないで」
私はグスンと鼻をすすった。
「陽子姉ちゃん、僕、眠い」
海斗が二段ベッドにもぐりこんで、すぐに寝息をたて始めた。
ほけっとしていたら0時半の鳩時計が一度だけ顔を出した。
なんとなく、とぼけた顔の鳩がノメドのような気がして、クスクス笑う。
ポケットに手を突っ込んで、お守り代わりのコインを出した。
夢じゃなかった証拠に、コインでガンガン叩いたときの傷がついていた。
「おやすみ」
私はあの不思議な鏡のことを思いながらベッドに入った。