初日
いよいよ授業初日という事もあり、やはり緊張していた。
「おはようアツシ!気分はどう?」いきなり後ろから抱きつかれ、少し驚いた。
「ティナおはよう!やっぱり緊張してるよ…。でも準備はしてきたから大丈夫だよ。」
「そうね、私は今日大事な会議があるから見に行けないの…ごめんなさい。」
「ティナはティナの仕事を、俺は俺の仕事をすれば大丈夫だよ。」そういうとティナは笑顔で走って行った。元気な神様だなぁ…
そうこうしてるうちに始業のチャイムが鳴り響いた。
教室に入る前に大きく深呼吸をした。
「よし、行くぞ!」小さく呟いてドアを開けた。
教壇の前に立ち一度生徒の顔を見る。全員出席で幸先の良いスタートだと思った。
「おはようございます!俺は日向敦志です。よろしくお願いします!ではみんなの名前を呼んで行くから、呼ばれたら大きな声で返事してください。」
「はーい(一同)」
「では、ラン・ジュリウスくん!」
「はーいっ!」とても可愛らしく元気のある返事だった。
「次はアン・ジュリウスさん!」
「はーいっ!」さっき聞いた声とそっくりな元気な声だった。
「2人は双子でいいのかな?」
「はい!」息もピッタリだった。返事が揃うと2人は獣人族特有の可愛らしい耳と尻尾を嬉しそうに動かしていた。席は窓際の前後だった。
「では、次は…」
「ワタシノナマエハ lliks-4デス ヨロシクオネガイシマス」
「キカイゾクデスガ ココロモ イシモ アリマス。キガルニ [イクス]ト オヨビクダサイ。」
「お、自ら自己紹介とは積極的だね!こちらこそよろしくっイクス!」
「ハイ!センセイ」席は教卓の真ん前だった。
「次にアリン・ラフランさん!」
「は、はぃ」とかなり小さな声で、けど優しそうな声で返事をしてくれた。吸血族は日に弱いく目が良いという特性があるため、日傘の設置とサングラスや遮光性の物を身につけることが許可されている。
「わ、私は吸血族で…その…いろいろ迷惑かけてしまいますが…その…よ、よろしくお願いします!」
「よろしくね!俺にもわからんことが多いと思うから、キツイこととかあったら言ってね。」
「は、はぃ…」席はイクスの後ろだった。
「それでは次に、クリスティー・アーベルさん!」
「はーい」どこか暖かく懐かしい声だった。
「うちのことはクリスって呼んで〜
みんなもよろしくな!うち水棲族やから普段は足で歩けるんやけど、時間が経つと変身が解けてまうから水槽から授業受けることになるからね〜」
「なかなかフレンドリーでいいね!みんなも水槽には気をつけてね!」席は廊下側の前
「では最後にロン・ジェンキスくん!」
「あぁ」低めのダンディ声だったり
「俺は見ての通り龍種。翼も角も爪もあり意図せずいろんな物を傷つけてしまうかも知れん。了承願いたい。」
「でもその翼カッコいいね…(あぁいかんいかん、思わず趣味が出てしまうところだった。)とにかくよろしくね!」席はクリスの後ろだった。
「以上6名がこのクラスのメンバーです。みんなよろしく!
授業に入る前にお互いに注意してほしいことなど、ルールを決めておきましょう。何かある人いるかな?」
「はーい!」
「よし、じゃあランくん」
「僕たち獣人族はとても力持ちなので、怒ったりすると力加減できなくなるかもしれないので、一応言っておきまーす。」そう言いながらアンさんが乗った机を片手で軽々持ち上げた。
「お、おう…めちゃ力持ちやね。」
「怖い…?」
「そんな事ないよ、ちょっと驚いただけだよ。むしろ羨ましいなって思ったよ?」
「え、ほんと?」兄妹そろって聞いてきた。
「もちろん!俺にもそんだけのパワーあったらもっといろんな事できるのにな〜って」それを聞くと不安そうな表情は吹き飛び満面の笑みに変わった。こちらの世界では獣人族は恐れられているのだろうか…
「他にはありませんか?」
「……」無言で手を挙げていたのは龍種のロンだった。
「俺は魔法が使える。学校での使用は控えるべきだろうか?」
「…それは……例えばどんな魔法が使えるの?」
「テストのカンニングは造作も無いな。」
「よし、禁止にしよう。」
「そうか…」
「ただし、禁止なのは授業中だけ。休み時間は許可する。魔法が及ぼす影響や使用方法を学ぶのも必要だからね。」
「そうか!」心なしか嬉しそうな表情だった。
「よし、じゃあみんな今の内容忘れないでね!」
「はい!(一同)」
「今からみんなに一枚ずつプリント配るから、まずそこに名前を書いてください。」プリントが行き渡り、各々名前を書き始める。
「では、そこに俺に対する質問を書いてください。」
「先生の?」
「クリス、そうだよ。みんなと仲良くなるためにはまずは俺に興味を持って貰わなきゃ。」それを聞くとみんな書き始めた。そしてその紙を回収した。
「よーしじゃあまず1人目の質問は……イクスのから行くか!
先生の好きな事はなんですか?という質問です。
俺はねぇ他の人とお話しする事が大好きです。」
みんなの反応も中々良かった。
「では、次はー…アリンの質問行ってみようか。
先生の血液型は何型ですか?という質問です。
アリンが質問するとなんか怖いね…笑」
「ご、ごめんなさい…そんなつもりじゃなくって…」と、急に泣き出しそうなった
「あ、ご、ごめん!ち、違うんだ今のはちょっとしたギャグのつもりで…」
「あー先生アリンちゃん泣かせたー」とランが囃し立てる。
「アリンちゃん、泣かんでええんやで!先生怒っとる訳やないから、ほら先生みてみ!」とクリスがフォローをいれてくれた。
「ごめんなアリン、怖がらせてしまって。俺はO型だよ。」と答えると一瞬「おいしそぅ」と聞こえた気がした…
「よし、気を取直してランとアンの質問行ってみようか。
先生は50m走は何秒で走れますか?
これね先生結構自信あるだよ?6秒5で走れるんだ!すごいでしょ?」と言うとみんな笑い始めた。
「えー先生遅すぎー。私達2秒だよ!」と獣人族2人が言う。俺は理解するまで数秒を要した。
「え、2秒?他のみんなもそんなに速いの?」
するとみんな頷く。
「ワタシハ 1.5ビョウ デス」イクス
「俺は瞬間移動できるから0秒?」ロン
「あ、あたしは…2歩かな…」アリン
「うちはみんなより陸は遅いわ〜、それでも3秒で走れるけど。」クリス
「(ちきしょーこれだけは負けないと思ったのにー!!)み、みんなとても速いんやな…」
「センセイハ ヒトノナカデハ ハヤイホウ?」とイクスが尋ねた。
「まぁ一般的には速いかな、スポーツ選手には負けるけど。」
「よし、次の質問はロンだな
先生はごはん派?パン派?
私はごはん派です。でもどうしてこの質問を?」
「この前給食の試食会があって、どちらも捨てがたいほど美味かったから。」
「そうか。ロンはどっち派だ?」
「俺は…パン?いやご飯も捨てがたいな…」
「どっちも好きって事やな!」
「そうだな!」ロンの意外な一面が見えた質問だった。
「よしでは最後にクリスの質問いこーか!
えーと、先生は結婚してますか?
残念ながらまだしておりません。」
「へ〜まだなんやー。ちなみにこの国は一夫多妻制なんやで先生。」とこちらを試すような目で見てきた。
「そ、そうなんやな、知らなかったわ。俺も良いお嫁さん見つけれるといいなhahaha…」
この質問が終わると終わりのチャイムが鳴った。
「よし、1時間目はこれで終わり!起立、礼 ありがとうございました!」
「ありがとうございました!(一同)」
こうして1時間目が終わり2時間目に入る前の休み時間になったが、そこでいきなりハプニングが…?