リード大学校
「アツシ〜 アツシ〜」ティナが元気な笑顔でこちらに走ってくる。
「確保〜あはははは」
「ティナ様、おはようございます。そのもう少し王らしく…」
「カワグチは黙っておれ!お前は堅すぎなのよ。」
「も、申しわけありません。」
「あ、あのぅティナ様?」
「アツシ!私のことはティナと呼べ!堅いのはカワグチだけで充分だわ。」俺に抱きつきながら河口さんに舌を出していた。
「わ、わかったよティ、ティナ(ちょっと恥ずかしいな)」ティナはとても嬉しそうに返事をしてくれた。
「アツシ、昨日はよく眠れたか?」
「おかげ様で元に居た家と雰囲気が変わらないからよく眠れたよ!」
「やっぱり…家に帰りたいのか?」ティナはとても心配そうな顔で尋ねていた。
「その気持ちが無くはないけど、これからの生活が楽しみだよ。」そう言うとティナは再び可愛らしい笑顔を見せた。
「アツシ!今から新しく出来た学校を案内するわ!ついてらっしゃい。」そう言われて俺は河口さんと顔を見合わせた。河口さんは申し訳なさそうな笑顔で了承してくれた。
「では、私に代わりティナ様をお願いします。」
「わかりました。」
宮殿の北側は焼け野原であったが、南側はのどかなものだった。ちょうど初めてこの世界に来た時はこの南から来たのだったと少し遠い記憶のように想起した。
「アツシアツシ!これが新しい学校だ!!」
北側はあんなにも荒れているのに、この学校はなんと素晴らしいことだろう。一部まだ工事の途中ではあるが、素材に木材を使いそれを獣人族が運びそれを龍種が魔法のようなもので補強していた。このシーンを見るだけではとても異種族間の争いなど無いように見える。
しかし、どこかピリピリとした雰囲気が漂っていた。まるで、子供たちが喧嘩してる最中に先生にバレないように振舞っているような…そんな印象を受けた。
「アツシ、中も案内するぞ!ついて来て!」とティナに腕を引っ張られた。
学校は1階建で生徒が増えれば部屋を増やし、改築するらしい。
「ここがアツシの担当するクラスルームよ!」
「おぉぉ!見たところ日本の教室とかわらないよう…な?」見たことない物がたくさんあり思わず声が裏返ってしまう。
「どうしたの?」
「ティナ、この大きな水槽は何?アザラシでも買うの?」
「何となく近いわね、それは水棲種用の水槽よ。」
「あっ…」
この時敦志は思い出した。授業の対象が異種族であることを。
「どうしたの?アツシ」
「急に不安と緊張が…俺にできるのかなぁ?」
するとティナが腕をギュッと握りしめて
「アツシなら大丈夫よ!私が選んだんだから!」
正直涙を堪えるのが必死だった。
「ありがとう、頑張るよ」ティナも笑って頷いてくれた。
「私はこの学校の校長だから何かあったら私に相談しなさい。でも、国政もあるからずっといれないわ。ごめんなさい。」寂しそうにうつむく。
「大丈夫だよ、どうしても話がしたくなったら俺の方から会いに行くよ!」そういうとティナは顔を真っ赤にして、その顔を隠すのに必死だった。
「とりあえずアツシ、開校は1週間後よ!それまで読み書きの練習と模擬授業よ!」
「了解です!」と再度自身を鼓舞し、忙しい1週間をすごした。