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やはり教師は向いてない  作者: 分福茶釜
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エピローグ

俺は日向敦志。若干インドア系で小学校教諭を目指していた。大学も教育学部に入り、現在4年生になり教育実習中であった。正直教師になりたい核心的な理由はなかった。ただ公務員で給料が安定しているから。そして俺は環境適応力が他人よりも高いと自負していた。子供の頃からどの集団に入ってもそれなりに、障りなく過ごすことができていた。この能力は教師で活かせるのではないかと安直な考えで目指していた。

そんなある日物語は突然動き出す…



朝の6時 目覚まし時計のアラームとともに目を覚ました。眠い身体をどうにか起こし、朝の支度を始めた。鏡の前で慣れない手つきでネクタイを締めていると、ふと鏡が気になった。

「なんだこれ…?昨日酔っ払って鏡にアニメのポスターでも貼ったか?」

そこには小さな小学生くらいの女の子の顔が写っていた。少女は笑いながらじっとこちらを見つめている。

主人公は寝ぼけているのかと思い、まず鏡の表面に触れ、ポスターで無いことを確認する。そして、冗談混じりに手を振ってみる… すると少女は満面の笑みで手を振り返してくれた。

ここでようやく頭が冴えてきて、事の重大さに気づいた、しかし気づいた時にはもう遅かった……

鏡の中からまるで3Dのように少女が出てきて、結びかけのネクタイを掴み、鏡の中に引きずり込んだ。

「え?!ちょっ!」 この言葉がこちら側の世界で発した最後の言葉となるとは思っていなかった。



「…て、…きて、ねぇ!起きなさい!」

その声に飛び起きるように目覚めた。どうやら気絶していたらしい。

「やっと起きたわね。あなた名前は??」

「日向敦志ですけど…」

「アツシ…いい名前ね!では敦志さっそく行くわよ!」

「行くってどこへ…?そもそもここはどこですか?」

「あなた質問が多いわね…細かい男は嫌われるわよ。」

そんなやり取りを続けているうちに今話している少女が鏡にいた娘と同じである事に気づいた。

「ところであなたは…?」

「私?私はティナ=リリーよ。一応この国の王よ!今からあなたを王宮へ案内するわ。」

「は、はい…」たくさんの質問が浮かんだがなんとか飲み込んだ。

しばらく歩くと宮殿が見えてきた。門番たちがティナを見るとすぐさま道を開け、玄関まで案内した。玄関には日本人と思しき50代くらいの紳士が立っていた。

「ティナ様おかえりなさいませ。」

「ただいま!カワグチ 今回は絶対大丈夫よ!」

「それはそれは…」その紳士はちらりと俺を見た。

「はじめまして、私は河口雅夫と申します。あなたと同じ日本人です。」その言葉を聞いてようやく緊張していた気持ちに余裕ができた。

「あの…日向敦志といいます。ここはいったい…?」

「ティナ様!また説明もならさらずに連れて来られたのですか?」

「それは私の仕事ではないわ!カワグチ、あとは頼んだわよ。」そう言ってティナは先に宮殿に入ってしまった。

河口さんはため息をついて、宮殿の中に案内してくれた。

客間のような部屋に案内され、河口さんと2人きりになった。

「急な展開で驚いているでしょう。あなたの質問には少しずつ答えて行きましょう。」

「ここはいったいどこですか?俺は自宅の洗面所にいたと思うのですが…」

「まずこの国のことから説明いたします。この国の名前はレード。そしてあなたはいわゆる選ばれしものです。」

「選ばれしもの?そんな大したことをした覚えは…」

「そしてこの世界は日本の中でも上層部しか知らない世界です。ですのであなたは半ば拉致のように連れてきたのは、国としての命令です。」

俺は空いた口が塞がらず困惑していた。

「私は日本のレード支部担当のいわば外交官です。この国で日本との調整役をしております。」

「わかりました……では俺を連れてきた目的はなんですか?」

「あなたにはこの国で学校の先生をしてもらいます。」

「!?なぜ俺なんですか?」

「あなは環境適応力が高いと自負されていますね。」

「はい…ですがなぜそれを?」

「国家の情報力は素晴らしいでしょう。あなたの行動パターンから性癖まで調べさせていただきましたよ?あなたは全国的に見て頭脳は平均レベルです。なのになぜ教師を志望しているのですか?」

「公務員だから……あとは…」

「無いでしょう。もしあなたがこの仕事を受けてくれるのなら、地方公務員以上の待遇でおもてなししましょう。ただし、これは国家秘密に相当します。あなたは日本に帰ることはできません。あちらではあなたは死んだことにしておきます。」

「え、帰れないんですか?!」

「ええ。まぁすでにこちら側を知ってしまったあなたに拒否権はないんですがね。」

「わ、わかりました…。」

「いいお返事をいただけて何よりです。ちなみにリードと日本を行き来できるのはティナ様の力のみです。脱走などはできませんのでご了承ください。」

「はい…。」これだけの状況を目の当たりにしてもちろん戸惑いもあったが、新生活への楽しみな気持ちもあった。

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