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不屈で不滅で、何とか異世界で生きてます  作者: 千弥 瀧
始まりのルーホア~氷結の魔女~
6/24

6.異世界のヤクザ怖すぎませんか?

「はい、報酬の32000マイン」

「ありがとうメルド」

「それにしても調子いいねヨシユキ」

「まぁね。もうメインを狼狩りに変えてから1週間も経つし。これくらいできなきゃね」

「それでも毎日依頼を2つ熟すのはきついと思うんだけどね」


 まぁ俺の場合ステータスの恩恵もあるしね。それに不屈スキルの御蔭で精神的な疲労はほとんど感じないから。体が持てばいくらでも続けられそうだよ。

 初の狼戦で死にかけてから1週間と3日が経った。


 あれから俺は3日、ゴブリンでリハビリを続け1週間前から午前にゴブリン、午後に狼の依頼を受ける日々を続けていた。


 最初は狼たちを相手にするのは少し怖かったが、あの日以来7匹の群れのようなものは見ていない。多くても3匹の群れなので余裕で相手ができていた。


 メルドが言うようにあの時の群れはイレギュラーな事態だったのだろう。


「それにしても、やはり狼たちの数が多くなってるね」

「そうなのか?」

「うん。ヨシユキが優秀だからかもしれないけど、毎日これだけの狼が見つかることなんて今までなかったんだ。だから今上の方でもその件について調査しているところなんだ」

「そ、そうなのか」


 あれ?もしかしてこれ、ただ単に俺が気配察知で狩りまくってる所為とかじゃないよな?俺の力が余計な不安を煽ってるの?


「ほかの冒険者からもそれっぽい報告は受けているんだ。だから、やっぱり何か異変が起こっているんだと思う」


 お、おぉ。俺以外にもちゃんといるのか。ってことは俺が悪いわけじゃないな。うん、俺悪くない。


「だから気を付けてねヨシユキ。この前みたいに大怪我して帰ってくるとか心臓に悪すぎるから。死んじゃだめだよ?」

「当たり前じゃないか。俺だってもう死にたくないからな。必ず生き残って楽しく世界を生きてやるんだ」

「もう死にたくないって、それじゃ一度死んでるみたいじゃないか」

「お、おう。言い間違えた」


 おぉ、つい言ってしまったわ。まぁこんなこと言っても信じたり真に受ける奴はいねぇよな。


 さて、メルドとの会話も終わったしこの1週間と少しの成果を見てもらおうか!


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


ヨシユキ・ミヤモト  Lv.6(1up)


AP0


HP40/40

MP18/18


攻撃19

防御9(3up)

敏捷33(11up)

器用15(5up)


SP87


スキル

『不屈』

『アイテムボックスLv.2』(1up)

『剣術Lv.1』

『気配察知Lv.4』(1up)

『危険察知Lv.2』(1up)

『隠密Lv.4』(1up)

『投擲術Lv.3』(2up)

『双剣術Lv.2』(NEW)


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 今回APは防御、敏捷、器用に回した。

 今まで防御は無視してきたが、敏捷を頼りに戦う俺にはあまりごっつい防具とか付けられないからな。防御に防具の代わりをしてもらおうと思う。そして敏捷。これはまぁ俺の戦闘スタイルからすると当然だよな。俺は不意を突いたり速攻を仕掛ける戦い方するから。そして器用。これげときゃ剣の扱い方とか投擲とかがうまくなるような気がしたからなんとなくあげてみた。


 そしてSPだが、この期間で総数202ポイントも稼いだ。それからアイテムボックスのレベル上げに40ポイント、気配察知に20ポイント、危険察知に10ポイント、隠密に20ポイント、投擲術に25ポイント、合計115ポイント支払った。


 ここで新しいスキルについて説明しよう。


 まず双剣術。これは自然に手に入ったパターンだ。

 どうやら俺には双剣の才能が、長剣よりあったようでレベル2までポイント消費なく上がってくれた。


 さて、ギルドでの用も終わったことだし一先ずギルドを出ようかな。

 背後から感じる少し暗い気配を感じながらもギルドを出た俺は着いてくる三つの気配にちょっと顔が引きつってしまう。


 やだなぁ……。

 テンプレでよくあることで何時かは体験してみたなぁとか思っていたのだが、実際そういう展開になるとめっちゃ怖いわ……。


 どうしよ。逃げようかな。てか逃げたい。


 俺の気配察知スキルはレベル4になってからちょっと仕様が変わったようなのだ。

 気配がわかるだけでなくどんな気配なのか、そういうものがわかった。

 ちょっとわかりづらい説明だったかも。

 簡単に言えば気配の感情を読めるようになっていたのだ。


 感情と言っても敵意があるとかないとか、殺意があるとかないとか、そういう曖昧なものだけど。

 そして先ほどメルドと会話しているときに感じていた気配。

 それは今俺の後ろを付けている三つの気配と同じものだ。

 その三つの気配は暗い敵意があり、殺意とまではいかないがかなりの悪意を持っていることがわかる。


 それで今俺は迷っているのだよ。

 テンプレのように相手と戦いボコボコにするとか言う勇者的行為をするのか、逃げるのか。

 本音を言うと逃げたい、超怖いもん。


 でも一度だけ体験したいんだよなぁ……。


 う~ん…………あ、そっか。話だけ聞いてダメそうなら逃げればいいや。


 てことで早速あいつ等が話しかけやすいような裏路地に向かおう。


 この町に来てからは大体大通りの周辺しか通ってなかったからな。あまり道はわからないが、こういう人通りの少ないところ歩いていればそのうち話しかけてくるだろう。


 ……………………十数分前までそう思ってましたよ俺。


 今俺の周りにいるのは先ほど俺の後を着けていた三人組ではなく、明らかに気質ではない、極道の方々、スキンヘッドに入れ墨をバリバリ入れてるし、目もイっちゃってる人や、抜身の剣を肩に乗せてる人もいる。


 やべぇ、ちびりそう。


 周りにいる人もかなり怖いのだが、俺の真正面で煙管を吹かせているおっさんがやべぇ……。

 着流しのような服を着て片腕を懐手にしており、自然体で構えている。

 その眼は明らかに何人か殺っちゃってるだろって感じだ。


 周りの男どもと一線を画す雰囲気をお持ちです。いや、もう心の中でも敬語使っちゃうよ怖すぎて。


 なぜこんなことになったのだろう。


 ただ適当に路地裏歩いてて、いつ話しかけてくるかなぁっとワクワクしていたのだ。

 着いてくる奴らも段々と近づいてきて、もうちょっとで姿が見えるというところで逃げていったのだ。

 それは俺がある路地に足を踏み入れた瞬間だった。


 テンションの上がっていた俺は「ふっ、俺の尋常ならざる気配に恐れをなしたか………」とか心の中でキメながらその路地をなんの考えもなく歩いていった。


 そしてそういう路地に詳しくもない俺は適当に歩いていった結果道に迷い、更に迷い、迷いに迷ってここに来た瞬間、周りを囲まれました。


 いやね、気配察知で周りに誰かいるなというのは分かっていたんだよ。それも幾つもの悪意を持った気配を。


 でもね、あの三人組がどっかにいって調子に乗ってたんだろうな。

 いつでも掛かって来いよとか思っていたから、その動きがただのチンピラがするような動きではないことに気付かなかった。

 統制の取れた動きで完全に俺を囲い、そして前に突っ立っているあのやばいおっさんに意識を取られた瞬間ザっと物陰から現れ包囲したのだ。


 絶対チンピラじゃないよ、ヤの付く方々やマの付く海外の方々や、多分そういう人たちと同じ分類だとおもう。

 やばいおっさん、いや、おじさまはその頭とかそういう役職の人かな?


「なぁにいちゃん」


 俺が頭の中で回想シーンを流しているとやばいおじさまが話しかけてきた。


「お前、ここがどこの島かわかって堂々と歩いてんのか?」

「っえ、あっ、いえ……その…………」


 だめだ、言葉が出ない。どうしよ、俺殺されるかも……。


「ふん……その様子じゃただの迷子みてぇだが。すまんな、島に足踏み入れたんだ。ただで返したら俺たちが舐められちまうからな?ちょっとばかし痛い目に合ってもらうわ。安心しろ、命までは奪わねぇから」


 あ、やべぇ。だめだこれ、この人数でボッコボコにされた挙句確実に殺される奴だ。命までは奪ない?信じられるかよ。だってあそこの人とかなんかキメてんじゃないかって顔でナイフに何かの液体塗ってるもん。


 やばいおじさまもその人のやっていることに気付いたのだろう。

 思案顔で悩んでいる。止めてくれるのかな?


「わりぃが兄ちゃん、命の保証はできそうにねぇな」


 止めてよねぇ!


 まずいまずいまずい。確実にまずいよ……。


 どうしよ、よし逃げよう。


 いつも通りの手はずで逃げよう。


「あっ!」


 っと叫んで何もない空間を指さす。

 そうすればみんなの視線はそっちに向くだろう。完全に意識を取られなくてもちょっと注意散漫になってくれればあとは隠密で……。


「ほぅ……」


 やべぇ、隠密発動したのにあのやばいおじさま俺のこと見てるよ。

 これ隠密効いてないみたい。


「様子からしてただのガキだと思っていたが、お前なかなかやるなぁ……。この町じゃみねぇ顔だが、他のもんの手下か?」


 いえ違います。ただの高校生です。ちょっと死んで神様に特殊な力貰って異世界に転生しただけのただの高校生です。

 他のもんの手下ってなんですか?僕知りませんよ?誰の手下でもないですよ?人畜無害な高校生ですよ?

 一生懸命首を横に振って否定の意を表す。

 その意思はおじさまに通じたのだろう。


「違うのか」


 よかった、ちゃんと通じてた。


 いやでもどうしよ。頼みの綱の隠密さんも今の場面では役に立たないし……。


「なぁ、お前野良だよな?」

「えっと、その野良っていうのは何ですか?」


 どうにか声を振り絞りおじさまの問いに返す。


「あぁ、野良ってのは俺らがよく使う言葉でな、フリーとかそういう意味だ。つまり、お前はどこの組織にも属していないのか?ってことだ」

「あの、一応冒険者ギルドで冒険者をしてるんですけど……」

「冒険者か……」


 おじさまは何か考えるように顎に手を当てる。

 すげー様になってるな。


「なぁ兄ちゃん、お前にちょっとした頼みがあるんだが」

「なんですか?」


 え、なに、何頼んでくるの?俺なにすればいいの?なんかやばい仕事とか頼まれるの?あれか?駅のロッカーに荷物を運ぶあれか?運んだだけでめっちゃ金がもらえるとか言う怪しいあれか?


「まぁその話は家でする。ついてきな」


 あらぁ、俺には拒否権はないと?仕方ねぇ、行ってやるか(涙声)。

誤字脱字、おかしな表現などがあればどんどんご指摘ください。

ご意見ご感想、大歓迎です。

批判も大歓迎です(できればない方がいいけど……)。

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