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不屈で不滅で、何とか異世界で生きてます  作者: 千弥 瀧
始まりのルーホア~氷結の魔女~
3/24

3.異世界の武器屋とか愛用の武器とかって男の浪漫だよね

「あ、ヨシユキさん。今日は依頼受けていかれますか?」

「はい、何か簡単なものを受けようかと。できれば討伐系がやってみたいんですけど、何かありますかね?」


 翌日、俺はまたギルドにやってきていた。

 やっぱりギルドに入ったとき視線が集まるのが超怖い。ごっつい兄ちゃんたちに睨まれるとあんなに怖いんだな。

 そんな奴らに啖呵切れる主人公たちの胆力すごいわ。尊敬しますわ。


「ではゴブリンの討伐などいかがですか?初心者の方は大体この依頼で冒険者の仕事に慣れていかれるんですけど」

「ゴブリン、ですか」


 ゴブリンの名を聞いて昨日のあれを思い出してしまった。

 涎をまき散らし目を血走らせて襲い掛かってきたゴブリン。かなり怖いんだよねぇ。


「まぁいいか。ではそれお願いします」

「はい、受理しました」


 今日はゴブリン狩ってレベル上げとSP貯め頑張りましょう。


「お、昨日の山奥から来た奴か」

「あ、昨日はどうもお世話になりました」


 門をくぐるとき昨日の門番の人に話しかけられた。

 あの王道をやってくれた人だ。


「昨日は名前言ってなかったよな。俺はジルダンっていうんだ。よろしくな兄ちゃん」

「あ、俺はヨシユキって言います。よろしくお願いしますねジルダンさん」


 さて、今日は何匹狩れるだろうか。依頼では5匹だが……せめて、せめて1匹は狩りたい!


「……どうやってゴブリン探すんだろ」


 虱潰しに探し回るんだろうか。なんか猟師とかだと足跡見つけたり糞見つけたり、そんなことするんだろうけど。

 引きこもりでアウトドア経験のない俺にはそういうの厳しいんだけど。


 簡単な知識はあってもそれを使えるかもわからんしな。


「適当に歩いてたら見つかるかなぁ……」


 これ、ゴブリン5匹討伐できないと違約金払わないといけないんだよなぁ。

 たしか依頼報酬の半額だったな。今回のゴブリンの依頼の報酬は2000マインで、違約金は1000マイン。

 今の収入の安定していない俺にはちょっと厳しいぞ。


「とか思ってたら早速ご対面……ってちょっと多くないっ!?」


 草むらをかき分けて出てきたのはゴブリン3体。


「ちょっ、一名様ずつお願いしますぅァァああああッッ。あぶっ、まてっ。ちょっ!」


 三匹分のさび付いた短剣をどうにか避けて避けて避けまくる。

 昔っから動体視力はよかったからどうにか避けることができている。

 それにゴブリンが持っている短剣は錆てるし欠けてるし、切れ味は殆どないからそこまで怖がらなくていいしな。当たっても打撃にしかならないだろう。刃物はまだ怖いからなぁ。


「くぅぅ、ソイヤッ!」


 バットを振るうみたいに剣をフルスイング。小学校の頃ソフトボールやってたからスイングは結構様になっているぞ。


「ギャイっ!」

「ギャー!」

「ギュイィィッ」

「しゃおらぁァアア!!」


 叫びながらゴブリンに襲い掛かると少し怯えたように身を引く。


 ふはハハハッ、昨日までの俺とは一味違うのだよ!


 怯えて動きの悪いゴブリンを一体ずつ確実に殺していく。


「ギャッ!」


 まず一匹。


「ギュゥ……」


 さらに二匹。


「貴様で最後だぁ!」

「ギャワアァァア!!」


 ふへー、ふへー、ふへー。

 つ、疲れたぁ。

 やっぱり体力は必要だな。


「ふぅ……、ステータス上がってるかな」


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


ヨシユキ・ミヤモト  Lv.2(1up)


AP3


HP12/12

MP18/18


攻撃4

防御6

敏捷5

器用7


SP4


スキル

『不屈』

『アイテムボックスLv.1』


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 お、おぉ!レベル上がってるよ、上がっちゃってるよ。


 それにAPも増えてるし。3ポイントってことはレベル1ごとに3ポイント貰えるのかな?

 ちょっとポイント使ってみるか。

 ポイントは3ポイントしかないからな。


 HPは大事だからこれは決定。MPは、まだいらないな。魔法覚えてないし。攻撃……ほしい。あと一つは………敏捷上げとくか。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


ヨシユキ・ミヤモト  Lv.2


AP0


HP18/18(6up)

MP18/18


攻撃6(2up)

防御6

敏捷7(2up)

器用7


SP4


スキル

『不屈』

『アイテムボックスLv.1』


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 おぉ、上がってる。

 これって上昇率幾つぐらいなんだろうか?

 もうちょっとデータがあればわかりそうだな……。


「やる気出てきたぁ!」


 よっし、今日だけで100体ぐらい殺ってやるわ!


 とか考えていたのだがあれから3時間、出会ったゴブリンは5体だけ。


「まぁそれでも依頼分は倒せたからな。十分十分」


 レベルは上がらなかったがSPは9ポイントも貯まったし。


 もういいや、今日は帰ろ。帰って依頼の報告して宿に帰って寝よ。


「あ、ヨシユキさん。おかえりなさい。初依頼どうでしたか?」

「ちゃんと五体討伐してきましたよ。はい、カードです」

「はい、確認しました。こちらが報酬の2000マインです」

「ありがとうございます。あの、ゴブリンの素材とかって売れるんですかね?」


 一応ゴブリンの死体などはアイテムボックスに収納してきた。今の俺にはちょっとした収入も大事だからな。何か売れるものがあるなら売っときたい。


「そうですねぇ。ゴブリン自体に売れる素材はありませんが、ゴブリンが持っているさび付いた短剣ならちょっとした小銭になりますね。まぁ売っても大した収入にならないので大体の方は放置してますが」

「そうですか、ありがとうございます」


 小銭でもあるだけましだからな。持っている短剣8本をお金に換えておく。

 さて、報酬ももらったし帰ろか。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「ヨシユキ、ランク昇級おめでとう!」

「おぉ、ついにFランク。ありがとうメルド!」


 初依頼から約1週間。地道に依頼を熟して今日、ついにギルドランクが昇級したのだ。

 それと毎日メルドと顔を合わせていたためタメ口で話し名前を呼び捨てにするぐらいには仲良くなっていた。


「順調だね。この調子でいけば一ヶ月くらいでEランクいけるかもね」

「あぁ、頑張らないと」


 お金も大分貯まって余裕も出てきたけど、なんか依頼受けて熟すのが楽しくて毎日何かしらの依頼受けてるんだよね。


「ヨシユキは依頼の達成度が今のところ100%だし、礼儀正しいから結構期待されてるからね。ギルドマスターもヨシユキに期待してるって言ってたよ」

「マジ?ちょっと緊張するなぁ」


 ギルドマスターって言ったらこのギルドのトップだろ?めっちゃ偉い人じゃん。そんな人に注目されるとか言われたら緊張しちゃうだろ。


「今日の昼も依頼受けるの?」

「あぁ、お願い。Fランクで何かいいものあるかな?」

「そうだねぇ……今日は草原じゃなくて森なんてどうかな?」

「森かぁ、森って初めてだな」


 そういやこの世界に来た場所が森だったな。

 あれからずっと平原で仕事してたからな。ちょっと楽しみだ。


「じゃぁ森に生息するグリーンウルフの討伐なんてどう?」

「グリーンウルフ?それってどれくらい強いんだ?」

「そうだねぇ。ウルフ一体でゴブリン10体ぐらいかな?」

「おぉ、結構な強さだな」


 ゴブリン10体か……まぁなんとかなるだろう。

 この1週間で結構強くなったし。


「じゃぁそれ受けるよ」

「了解。ちょっと待ってね……はい、ではいってらっしゃい。無事に帰ってきてね」

「おう!」


 さてさて。グリーンウルフか、ウルフ、狼。狼!カッコいい。

 一匹飼えないかな。

 あ、でも飼えたとしても宿だからな。きっとペット同伴はダメだよな。


「森か……やっぱり草原とかとは勝手が違うよな」


 森だとやっぱり視界が悪くなるだろうし、不意打ちとか警戒しないといけないよな……。

 何か役に立つスキルでも取っておこうか。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


ヨシユキ・ミヤモト  Lv.4


AP0


HP40/40(22up)

MP18/18


攻撃13(7up)

防御6

敏捷10(3up)

器用10(3up)


SP64


スキル

『不屈』

『アイテムボックスLv.1』

『剣術Lv.1』(NEW)


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 レベルも4まで上がったし、ステータスもちょくちょく上げたからな。

 ってか、ステータス上げていってわかったんだけど、ステータスの上昇率って多分現ステータス値×1.5なんだよな。これ、数値あげていくと上昇値やばくね?だって、例えば俺のHPにレベルが上がるたびにAP1振ってたとすると、レベル10で461だよ?レベル20で26602だよ?レベル100で3.25249e18だよ?3252390000000000000(数字合ってるかな?)だよ?325京2390兆だよエグイよ。まぁそれだけレベル上げるのは多分無理なんだろうけど。


 それとSPなんて64も貯まってるんだぜ。超がんばった。

 それにレベルが3に上がったときに剣術ってスキル手に入れたし。スキルってポイント使わなくても取得できるんだな。


「さて、何がいいかなぁ……」


 気配感知5ポイント、これほしいな。あれだろ?「はっ、この気配は!?」ってできるんだろ?後ろから不意打ちされても「ふっ、気配でバレバレだぜ?」ってできるんだろ?


「か、かっこいい……」


 習得っと。まだ59ポイントもあまりがある。

 なんかいい奴適当に取っておくか。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


ヨシユキ・ミヤモト  Lv.4


AP0


HP40/40

MP18/18


攻撃13

防御6

敏捷10

器用10


SP44


スキル

『不屈』

『アイテムボックスLv.1』

『剣術Lv.1』

『気配察知Lv.1』(NEW)

『危険察知Lv.1』(NEW)

『隠密Lv.1』(NEW)

『投擲術Lv.1』(NEW)


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 なんか狩りに有能そうなの取ってみたら暗殺者みたいになってるわ。

 これを機会に俺の戦闘スタイル変えてみようかな?俺長剣での真っ向からの勝負あまり向いてないっぽいし。

 もうちょい短い方が取り回ししやすいしな。


 森に行く前にちょっと武器屋に寄ってみる。

 まだ武器屋には行ったことないんだよな。


「いらっしゃい」


 カウンターに座るごっついおっちゃんにビビりながら入店。


 おぉ、一杯武器がある。


「なにか俺に合ってるのないかなぁ……っ!」

「おい、坊主。冒険者か?」

「っ、あ、はい。そうです、よ?」


 び、ビビった。

 なんか背後に違和感を感じて振り向いたらカウンターに座ってたおっちゃんがめっちゃ近くにいた。

 あ、もしかしてあれか?気配察知をとったからおっちゃんの気配を感じたのかも。


「ほぅ、ちいせぇのに偉いな」

「あ、いえ、これでも俺18歳なんですけど」


 ん?18歳て子供なんかな?日本じゃ子供と大人の合間みたいな感じだったけど。

 あれだよなぁ、これぐらいの歳っていいように扱われるよな。もう大人なんだからとか、まだ子供なんだから、とか。あれやめてほしいわ。


「おっ、成人してたのか。坊主童顔だからもっとガキかと思ったぞ」

「そ、そうですかね?」


 日本人って若く見られやすいって本当だったんだな?


「それで冒険者の坊主は武器を見に来たのか?」

「あ、はい。そうです」

「その腰に吊るしている剣。それもそこそこいい奴だが、それじゃダメなのか?」

「あー、これ俺に合わなくて。いい剣なんだろうけどもうちょっと短い方が俺は扱いやすいかなって。それでちょっと見に来たんです」

「そうか」

「でも武器が多くて、どれがいいかちょっとわからなくて」

「何らな俺が坊主に合いそうなの見繕ってやろうか?」

「ほ、ホントですか?ぜひお願いします!」


 やっぱこういうのは本職の人に見てもらった方が安心できるよな。

 服とかなら適当に選べるけど、武器は命を預ける物だからな。


「ちょっと体に触れるぞ」


 おっちゃんは一言そう断って俺の体に触れる。

 脹脛ふくらはぎから太もも、腰、腹、背中、腕と順に筋肉を揉むように探っていく。


「ふむ、あまり筋肉は無さそうだな。これだったら長物より短い方がいいだろうな」

「あ、でも短剣とか短すぎるのはちょっと怖いんで長剣より短くて、短剣よりは長いものってありますかね?」

「ふむ……、あれがいいかもしれんな」


 あれ?何かとびっきりの奴とかかな?

 小説とかだとここですっげぇいい武器が出てくるんだよな。強いけど使い勝手が悪かったりして主人公にしか扱えないとか、そういう設定の武器。


 ワクワクしながら待っているとおっちゃんが二振りの剣を持ってくる。短剣より長くて長剣より短い。丁度俺が欲しかった長さの剣。


「これなんかどうだ?これは余った素材でなんとなく作ってみた武器なんだ。あれだ、暇つぶしに趣味で作った武器だな。売るつもりで作ったわけじゃないから店頭にはおいてなかったが、坊主には丁度いい長さじゃないか?」

「お、おぉ。良いですね。これくらいのが欲しかったんですよ」


 大体60cmくらいかな?

 見た目は大鉈とか、マチェットナイフとか、蛮刀っぽい。

 柄はなにか黒く染めた革が巻かれている。


「おぉ、良いですね。重さも丁度いいし。でもなんで二振りあるんですか?」

「あぁ、なんとなく、気分だ。理由なんてないぞ」


 なんとなくか。いいよね、そういう職人の遊び心。


「これ、これほしいです」

「いいのか?暇つぶしに遊びで作った武器だから装飾とか全然ないぞ?柄も適当だし。まぁちゃんと使えるようには作っているが」

「はい、これで大丈夫です」

「そうかそうか」

「あ、でもこれって売ってもらっても大丈夫な奴ですか?」

「ん?どういうことだ?」

「いえ、職人の人って拘りがあるイメージだから、こういう遊びの品は売れない!みたいな?」

「あぁ、俺はあんまりそういうの無いな。だから坊主が欲しければもってっても構わんぞ?」

「では、いくらですか?」


 そこそこお金も貯めて今じゃ40000近く貯まったしな。

 ……買えるよな?これで数十万マインとかしたら全く手が届かないんだけど。

 不安になり近くにあった武器の値段を見てみる。


 うはぁ……結構高いぞ。


 160000とか、安いので60000マイン。


「そうだなぁ……25000マインでいいぞ」

「え、そんなに安くていいんですか!?」

「あぁ、どうせ余り物の素材で作たものだし、もともと売り物でもなかったからな。あのまま放置しててもただのガラクタになってただろうしな。それが30000近くで売れるんだから十分儲けものさ」

「ほ、ホントに良いんですね?」

「あぁ、もってけ」

「ありがとうございます!」


 ごっつくて怖いおっさんとか思っててすみません!


「あぁ、ほれ。これ使いな」

「鞘ですか?」

「その抜身のまま町の中うろつくわけにもいかんだろ」

「あ、ありがとうございます」

「おう、またいつでも来いよ。今度は防具でも買いにな。見たところ防具持ってないみたいだし」


 防具……あ、そうだ。防具持ってないわ俺。今まで気づかなかった。


「そうですね。またお金が貯まり次第寄らせてもらいますね」

「おう、死ぬんじゃねぇぞ!」

「はいっ」


 いやぁ、ちょっと見るつもりが良いもの買えた。早速森行って試してみるか。


 今まで使っていた長剣をアイテムボックスに仕舞い、腰に新しく買った武器を吊るす。


 うん、双剣使いっぽくてかっこいいね!

誤字脱字、おかしな表現などがあればどんどんご指摘ください。

ご意見ご感想、大歓迎です。

批判も大歓迎です(できればない方がいいけど……)。

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