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不屈で不滅で、何とか異世界で生きてます  作者: 千弥 瀧
始まりのルーホア~氷結の魔女~
1/24

1.背後から刺されて殺されるならせめておっさんじゃなくて女の子がよかった!!!

どうも、初めましての人は始めまして。他作品を読んでくださっている人は、よぉ、また会ったな!

千弥瀧です。

メインで投稿していた『イジメられていた最強ですが何か?』がそろそろ完結しそうなので『イジメですか?』に変わるメインとしてこの話を書きました。

無影の魔王とか途中なのに何してんだ、と思われる方もいるかもしれませんがすみません。書きたくなったんですよ!

今まで私が書いてきた作品は全部主人公最強系なので、今回は主人公そこまで強くない系に挑戦しました!挑戦しましたが、正直主人公を最強じゃなくするのかなり大変ですね。今まで自分の欲のまま主人公最強系を書き続けた弊害がこんなところで……。

出来る限り主人公に苦戦させましたが、読者の皆様が見ると普通に最強に見えるかもしれないです。

それでもできるだけ面白くなるように頑張りましたので、暇つぶし程度に読んでいってください。


4月分の4話を1週間ずつ投稿予定でしたが4話だけ連日投稿に変更します。

序盤はさっさと進んだ方が読みやすいですよね。

 学校帰りに俺、宮本みやもと義之よしゆきは友人と談笑しながら帰途についていた。


「なぁ晴彦はるひこ、明日の日課ってなんだっけ?」

「あー、確か課題研究、国語表現、情報処理、総合的な学習、だったと思う」

「マジで?超楽じゃん」

「いやいや、国語表現とかすごい難しいじゃん」

「それは祐樹ゆうきが馬鹿だからだろ?」


 クラスでも結構仲のいい鈴木祐樹すずきゆうき重森晴彦しげもりはるひこと適当に雑談をしていた。本当に仕様もない悪戯の話や苦手な先生の愚痴、態度が悪く嫌われている同級生だとか、本当にどうでもいいような話だ。


「中島の奴今日も怒鳴ってたな」

「鈴木が怒鳴られてるの見てて笑えたわ」

「怒鳴られる側にもなれよ……」


 怖くて嫌われてる中島先生。俺は好きな方なんだけどなぁ。怒鳴るけど面白しろいし。


「相浦の奴今日もうざかったな」

「相浦の態度も悪いよな。あれじゃ嫌われても文句言えないよな」

「確かに」


 嫌われ者の相浦。確かにあいつは嫌われても仕方ない。態度が悪すぎる。イジメられる側は悪くないとか言われることもあるけど、この場合は相浦も悪いよなぁ。


 そんな風に学校の出来事を話しながらいつもの道を歩く。

 何の変哲もない日常の風景。変わらぬありふれた俺の日常。


 そんな日常が一人の男によって崩される。


「明日は何して遊ぼうか……。祐樹を揶揄うのも楽しいんだよなぁ」

「いやさ、本人がいる前でそういう話はやめてくんない?」

「仕方ないだろう。鈴木の反応が面白いんだから。あ、こういうのってどう――って……――」

「あ、宮本大丈夫か?すいません今どくんで」

「ほれ、宮本早くよけろ」


 重森と鈴木と会話していると突然背後から人にぶつかられる。ぶつかったその人物、無造作に髪を伸ばした少し汚い男は俺の背にぶつかったまま動かない。俺も動くことができず(・・・・・・・・)、ブワッと冷や汗をかいたまま意識が遠のくのを感じた。


「ど、どうした宮本。あの、貴方もどうかしましたか?」


 重森が様子のおかしい俺と男に声をかける。


「ヒヒッ……」

「ヒヒ?ちょっとおっさん、宮本からどいてくれないか?」

「……お、おい、なんかおかしくないかこいつ」

「キヒひっひひっ」

「ちょ、どけっておっさん!」


 男の気味の悪い笑い声に危険を感じた重森が男を突き飛ばす。


「な、なんだこれ。赤い?水?」

「み、宮本?おい、どうした宮本!」


 男が離れたことで、やっと倒れることが(・・・・・・)できた俺に近づいた鈴木が体を揺すってくる。


「あ……ま………やめ…………」


 痛みによってちゃんと声が出ない。

 背中に走る激痛に涙が溢れてくる。


「あひゃひゃひゃひゃひゃっ。ねぇねぇどんな気持ち?どんな気持ち?くそリア充の癖に底辺の俺に殺される気分ってねぇ、どんな気持ちなんだよ!?キヒヒヒヒっヒヒッ」

「は?殺した?何言って……」

「な、なぁ!晴彦っ、宮本の背中から血が溢れて……なぁどうなって!」

「ッ。おい、おっさん。その手に持ってるのって」

「これぇ?いいでしょ。刺身包丁。家のキッチンにあったんだぁ。ちょっと日本刀みたいでかっこいいよねぇ!?これでリア充狩れたらさぁ、どんなに爽快な気分になるのか楽しみだったけど。これは最高だぁぁああ」


 男は手に持った血濡れた刺身包丁を空に晒しうっとりとした、気持ちの悪い笑みを浮かべる。


「ちょ、こいつやべぇよ絶対」

「く、なぁ誰か警察を!」

「俺救急車呼ぶから!宮本しっかりしろ!」


 今、俺たちと男のほかにも数人この道に一緒にいる。そいつらも急に起こった事態に狼狽えていたが重森と鈴木の行動にハッとし、携帯で通報し始める。残った人は高笑いを上げる男に怯えながらも囲んでいく。


「…………だ…………たす……」


 真面に声も出せずボーとしていく意識。


 死ぬのか。こんな、わけのわからないことで。知らないおっさんに背中を刺されて。全く身に覚えのない理由で。

 理不尽だろ、こんな……こんなっ…………なんでこんなことで死ななきゃいけないんだ!

 いやだ、死にたくない。こんな訳の分からないことで死にたくない!


「ぁ……ぃ……ぁ…………」

「お―ー!み―や―ー!?し――――――」

「―――!――――――?―――!?」


 あぁ、もう音も聞こえなくなってきた。

 死ぬって、こんな感じなんだな。何かが抜けていくような。


 いやだ。死にたくない。嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ!!!


『死にたくないっ!!!』


 意識が落ちていく中、俺は強く心の中でそう叫んだ。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「聞こえたぞ、お主の強い願い。有象無象の願いの中で、より強く、より太く、より根強いその願い。神である儂の気を引くほどの強い願い」


 暗い闇に覆われた世界で爺さんの声が響く。


 あら、なんか幻聴が聞こえだした。死んだかな?俺死んだのかな?死んだから変な声が聞こえだしたのだろうか。


「死んだ。死んだのだが、魂が輪廻に帰る前に儂が拾ったのだ。お主の願いが聞こえたからのう」


 いや、わけわかんね。幻聴が返事してきたよ。


「幻聴じゃないと言っておるだろう。そろそろ目を開けて儂の言葉を聞くのだ」

「目って、あ、閉じてたから暗かったんだ」


 だから暗かったのか。ってかこのお爺さん誰なんだろ。


「儂は一応神というものをしているの。儂、偉いのだぞ?」

「………今、俺の心の声聞きました?」

「神である儂にとってそんなもの造作もないわ」


 わー、プライバシー皆無だな。


「って、本当に俺の声聞こえてるんだ。これ夢?あ、もしかしてさっきのもゆ―――」

「残念だが、先ほどお主が殺されたのは本当だぞ」

「っ、や、やっぱり殺されたのか」


 おれ、死んだんだな。あんな訳のわからないおっさんに突然背中を刺されて意味もなく。


「あー、やべ……涙出てきた」

「ええのだぞ、泣いても。ここには儂とお主しかおらん。恥ずかしがる必要もない」

「くっ、うぅ……」


 うぅ……涙が、止まんねぇ。


「なんで、そんな……くそぉ………あんなおっさんに殺されるなんて……せめて女の子に殺されたかった!」


 くそぉ……死にたくなかった。俺の死因、だれかもわからないおっさんに背中から刺身包丁で一刺しとか……。


「え、えぇ。お主、死にたくなかった理由っておっさんに殺されたからなのか?」

「いやでしょ、あんな訳の分からない、汚いおっさんが俺の初めてとか」

「殺したのがおっさんじゃなくて女の子なら死んでもよかったのか?」

「まぁ、おっさんよりはまだましですね」

「死ぬのはいいんだな……」

「どうせいつか死ぬし、現世に心残りがないかと言えばないこともないんですけど、なんでしょう。よくわかんないですけどまぁいいかなって」

「お主適当だな」

「考えるの面倒くさいし」

「くハハハッ、神である儂の気を引くほどの強い意志を持ったものが現れたかと思えば、こんな小僧だとは。あれだけ強く念じておきながら、死んだ途端にこれとは、く、くハハッ」


 お爺さんはひとしきり笑った後、急に真剣な顔になる。


「お主、異世界とか興味ないか?」

「異世界?」

「そう、異世界だ。お主が望むなら異世界に転生させてやってもよいぞ?」

「ほ、ホントですか!」


 マジか、異世界か。え、あの異世界?ほんとに異世界?


「そんなに疑わなくてもよいだろう。それと、異世界というのはお主が考えている異世界であっているぞ。剣と魔法と、魔物が存在するファンタジー世界だ」

「ほ、ほぉぉお!あの異世界に俺が、この俺がいけるんですか!?」

「おぉ、凄まじいテンションの上がりっぷりだな」

「そりゃもう、なんたって異世界ですよ!本当に、本当に行けるんですよね!?」

「あ、あぁ。お主が良いのなら、だが」

「行きます行きます行きます行きます行きます行きます!」

「ものすごい食いつき」


 はぁ、あの憧れの異世界。俺が行けるのか。やべ、嬉しさでまた涙が。


「あ、転生って言ってましたが俺赤ん坊から始まることになるんですか?」

「ふむ、それもいいがお主の性格からして赤ん坊からだと面倒だろ?」

「はい、面倒です。ちゃっちゃと冒険したいです、王道を体験したいです。暴れたいです!」

「儂、お主のそういうところ好感を持てるのぅ。では赤ん坊ではなく儂が創った肉体に入ってもらうか」

「創った肉体?今のままいけないんですか?」

「今のお主は肉体がなく、魂の状態なのだ。お主の肉体は今救急車に運ばれて、あ、もう火葬の最中だな」

「え、火葬って。まだこっちに来て数分しか経ってないですよね?」


 あれ、俺今燃えてんの?なんで?葬式には早いよね?もしかしてあのおっさん?あのおっさんが俺の体燃やしてんのか!?


「現世とこっちでは時間の流れが違うのだ。今火葬が終わって遺骨を墓に仕舞っているところだぞ」

「うわー。マジか。あの、それって俺にも見れたりしますか?」

「ふむ、見せるのは構わんが、お主自分の遺骨を視たいのか?もちろん骨壺に収まっておるが、あまりいい気分ではないだろう」

「まぁ、確かに気分良くないですがこんな体験そうそうないじゃないですか?」

「そうか、お主が良いのなら、って言っているうちに墓しめられてしまったわ。今覗いても真っ暗だろうな」

「う、そうっすか」


 少し安心したような残念なような。


「そうだ、お主の行く世界について説明せんとな」

「魔法が使える世界なんですよね」

「あぁ、お主らの世界の物語でよくあるような世界でな。ステータスというものも付けてやる」


 ほぉっ!ステータス。

 あの自身の能力を数値化してくれるというあの王道設定!


「これから行く世界には本当はステータスはないのだが、ステータスがあった方があの世界の人間には生きやすくなるだろう」

「確かに、ステータスがあるほうがゲーム感覚で楽しめそうだ」

「見てみるか?お主のステータス」

「良いんですかはいもちろん!」

「は、はやいのぅ。まぁいい、ほれ」


 お、おぉっ、なんか出てきた。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


ヨシユキ・ミヤモト  Lv.0


AP0


HP0/0

MP0/0


攻撃0

防御0

敏捷0

器用0


SP0


スキル

『不屈』


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 お、おぉ、おぉぉぉぉおお?


「全部ゼロ」

「今のお主は魂だけだからな魂に防御も敏捷もあるわけなかろう」

「あぁ、確かに。それとこのスキルの『不屈』ってなんですか?」

「ステータスの『不屈』という部分を押してみるがいい」

「こう、ですかね?」


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


『不屈』

挫けず諦めない限り己が魂は尽きることはない。

どんな逆境にも耐え抜く強く、打たれ強い精神を得る。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


「おぉ、出た。って、どうしてこのスキルだけ持っているんですか?」

「お主の強い意思を感じてふと思いついたのだ。それで作ってみたのだが、なかなかお主にピッタリではないか?」

「そうですかね?あとSPと、APってのは何ですか?」

「SPというのはスキルポイントの略だ。そのSPはスキルの習得やレベルを上げるときに使うものだ。このSPは主に魔物を倒すことで得ることができる。初めは少しポイント入れとくからな。うまく使うのだぞ。そしてAPとはアビリティーポイントの略だ。これはステータス値を上げるときに使うものだ。APはレベルアップ時に得ることができる」

「スキルのレベル?スキルにもレベルあるんですね。でもこの『不屈』レベル無いですよね?」

「そうだな。お主の『不屈』は儂からのプレゼントのようなものだ。だから普通のスキルとは違ってレベルはない。初めからかなり便利な効果を発するがその代わりに伸びることもない」

「へぇ、つまりチートみたいなものですね」

「そう、チートだ。神公認のチートなのだからうまく使うのだぞ?」

「うっす!」

「さて、説明はこのぐらいで良いか?」

「そうですね。後向こうの世界について少し聞いてもいいですか?」


 流石に何の予備知識もなく知らない土地に放り出されるのは勘弁してもらいたい。


「例えば言語とか、あと通貨、それと相場とかですかね」

「言語は儂のほうで適応させておるから心配せんでよい。通貨の単位はマイン。日本円で言えば1マイン1円と言ったところだ。相場はそうだな……一食が300~400マインぐらいだ。それを基準にしておればどうにかなると思うぞ」

「分かりました」

「それとお主を飛ばすのはルーホアという町の側の森だ。向こうに着けばすぐに町は見える。それと、街の門で身分証の提示を要求されるが、もちろんお主はもっていない。その場では素直に持っていないことを言えばよい。1000マイン払えば通してくれる」

「俺金持ってないんですけど」


 そうなんだよな。俺向こうだと無一文のニートだもんな……。


「1週間分の生活費は渡しておく。宿が一泊平均3000マインで一日の食事代に1000マイン。町に入るときに必要なお金と余裕を持たせて全部で3万5000マインだな。大事に使うのだぞ?」

「はい。それで俺向こうに行ったら無職じゃないですか?何かいい職とかないですかね?」

「そうだな。冒険者がいいだろう」

「お!あるんですね冒険者」

「あるぞ。冒険者になるには犯罪歴の確認と1000マインを払えば簡単になることができる。お主には丁度いいだろう」

「良いですねぇ冒険者。なります、俺絶対なります」

「さて、もういいだろう。では今から異世界に送るぞ」

「お、おぉ。ついに、緊張しますね」

「そうじゃ、これを渡しておくぞ」

「おぉ、剣と、服ですか?」


 神様からシンプルな剣と異世界っぽい少しつくりの荒い服を受け取る。


「ほ、本物の剣。初めて持った」

「お主が飛んだ先、町から2kmほど離れておってな。お主が飛んだ森と町の間の草原で恐らく魔物と遭遇するじゃろう。あぁ、安心しろ。そこまで強い魔物ではない。中型犬が襲ってくるようなものだから」


 いや、中型犬でも十分怖いような。下手したら殺されますよね?

 ちょっと怖いが、でも楽しそう!スリリングなの俺大好き。


「では、飛ばすからのう。頑張るのだぞ」

「はい。ありがとうございました!」


 俺は爺さんに見送られながら異世界へと旅立っていった。

今作はどうでしたか?

皆さまの暇をつぶせるような作品になっていれば幸いです。


誤字脱字、おかしな表現などがあればどんどんご指摘ください。

ご意見ご感想、大歓迎です。

批判も大歓迎です(できればない方がいいけど……)。


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