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振り回される羊  作者: 穂村
第1編  初めての活動 (クラス制作の調査簿)
5/17

第5話 資料集め

第一章一学期のクラス制作編第2話です。

登場人物紹介

  白井雪月 広報部に仮入部として入ることになった高1の少年。見た目の幼さからよく中学生に間違えられるのが最近の悩み。

 ハル 広報部の部長。まだまだ謎多き先輩。

秋月理香 生徒会長。校内から絶大な支持を得ているように見えるが…。

佐竹隼人 雪月の同級生。もともと中学生の時はサッカー部に入っていた。

 ??? 今回の話で登場。詳しくは次回から。


第1話→https://ncode.syosetu.com/n3821el/1/

前話→ https://ncode.syosetu.com/n3821el/4/


今回の更新は22時予定だったものを早めました。

次回は今日中かもしくは明日の予定。

第5話 資料集め

 ~ミカの視点~


 甘いものが食べたい。ハル誘って駅前にできた新しいお店にでも行こうか。いや、でも今日は一緒に図書館で勉強するのもいい。お昼を一緒に食べるのもいいし。2人で映画を見るのもいいか。うーん、迷ってしまうな、ハルに決めてもらうか。

「ハル、今日はどうする。どこに行きたい。」

 あぁ、ハルは私が誘った時いつも笑顔になるんだから。きっと本人も気づいてないんだろうけど。

「君はいつも僕ばっかり誘って。たまには僕以外の友達も誘ったらどうだい。」

ハルはいつもこんなこと言って始めは逃げようとするのだ。それに対して私はいつもこういう。

「いいんだよ、ハルで。ハルと私だからいいんだよ。」

 これはある意味2人で出かける前の儀式のようなものだった。

 

***************************************************

 ~雪月の視点~ 


 とりあえず雪月は今知りたいことをリストアップした。

・クラス制作に関する情報、これまでどのような形式で行われていたのか。

・今回のクラス制作に携わる高校二年生の意識。

・今回のこの活動の分担されている原因

・去年一人でこの学校の人物相関図を作った先輩について。


 最後の去年の先輩のことついては自分がただ少し気になっていることだ。最悪調べる必要もないとは思うが一応自分の思考をまとめるために書き出してみた。

 「なるほど、雪月のメモは分かりやすいな。まだ体験入部の期間まで一週間あることだし、その中でなにか1つ手伝うことにするよ。どれについて調べればいいかな。」

 隼人も案外乗り気なようだ。こういうとき人見知りな自分とはまるで正反対で、だれとでも仲良くなりやすい性格である隼人に、とりあえず高校二年生のざっとした勢力図を探ってもらうことにした。正直このような難しいことを隼人一人に頼むことは気が引けたが、彼本人は、

 「高2には中学の時のサッカー部の先輩もいることだからたぶんなんとかなるさ。雪月は雪月で頑張って。」

とむしろこちらが応援されてしまった。頼もしい限りだ。

 自分はとりあえずこれまでのクラス制作の経緯を調べるために生徒会室に行くことにした。幸い生徒会長の秋月さんとは一度話したこともあったので、案外簡単に情報をもらえるのではないかとも思ったからである。


***************************************************

 

 生徒会室の扉をノックするとはい、どうぞの声が中から返ってくる。

 「すみません、秋月会長に用があるんですが。今、いらっしゃいますか。」

 そういうと一番扉の近くにいた女子役員の方が雪月の方に来た。

 「あぁ、会長かい。会長は今ここにはいないさ。ほんのついさっき生徒会室を出ていったたばかりだよ。なんだか調べ物があるとかいってね。」

 なんというバッドタイミングなのだろうか。まるで僕が来るのを予期して逃げたみたいだ。

 思わずため息をこぼすと、会長の不在を答えてくれた人が見かねて、

 「君、もしかして高1かな。あまり見かけない顔だけど。会長のおっかけとかかな。」

 「いや、それは本当にないです。」

 自分でも驚くくらい瞬間的に答えてしまった。それが可笑しかったのか、目の前の彼女は大きな笑い声をあげた。

 「あぁ。やっぱり、みーちゃんはあんまり男子にはもてないのね。あまりにも君が即答するから思わず笑っちゃった。自己紹介がまだだったね。私の名前は生徒会役員の議長を務めてる時沢心。ここさんってよく呼ばれてるからそれで呼んでね。」

 「自分の名前は高1-Aの白井雪月と言います。最近この地に引っ越して、入学したのでまだあまりご存じないと思いますが。よろしくお願いします。」

 さすがに初対面の先輩に対してここさんとは呼べなかったので最後に時沢先輩と付け加えた。

 「雪月くんね。はじめて聞く名前だなぁ。いや、どこかで聞いたような気もするけれど。」

 たぶん入学1週間後に貼られた広報部のポスターのせいだ。記憶に焼きつくまではいかないが、きっとなんとなくの記憶を植え付けたのだろう。

 「まだ仮入部ではありますが、今年から広報部に入る予定です。」

 そういうと時沢先輩は思い出したようで、

 「あぁ、君があの噂の広報部員か。なるほどなるほど。それは大変そうだね。コハルは君をいじめてないかい。」

 と聞いてきた。そういえば、あの先輩の名前聞くの忘れてしまっていたな。ハル先輩というのはコハルのハルから来ていたのか。おっといけない、しっかり時沢先輩に返答せねば。

 「いえいえ、まだあまり話したりはしてませんが、今のところは優しい先輩です。本当は厳しかったりするんですか。」

 すると、時沢先輩は一瞬真顔を見せ、なにかつぶやいたように見えたが、すぐに笑顔に戻り、

 「それで雪月くん、今日は何しに会長を訪ねたの。」 

と尋ねてきた。なにやら怪しい雰囲気があるが、とりあえず今は本題を忘れてはいけない。

 「実はクラス制作のことについて調査するようになって。それで一応なんですが、去年までどんな感じで行われていたかわかるような資料がもしあればお借りしたくて。」

 「なるほどね。なんで調べるかどうかを聞くのは無粋なのかな。わかった、ちょっと待ってて。」

 そういうと時沢先輩は小走りで生徒会室の棚の下へ戻り、数分たった後資料を持ってきてくれた。

 「はい、これが去年の分でこっちが一昨年の分。でこれがクラス制作についての資料。もし追加でもっと調べたいことがあったらまた来てね。」

 「助かりました、時沢先輩。ありがとうございます。」

 一礼した後、とりあえず教室で資料の解析を始めることにした。

 少し生徒会室で時間を取りすぎたように感じられたので急ぎ足で教室に戻っていると、ハル先輩が高2のフロアに向かっていくのを見た。いったい何しにいくのかと少し気になったが、今すぐにでも資料を読み始めたかったので、ひとまず教室へ向かうことを優先した。




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