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カルテ629 怪球カマグ(前編) その17

「まままま誠に申し訳ございません学院長様!」


「もうよい、貴様の謝罪は飽き飽きだわ。まったく調子が狂う……まあ、焼肉の話のせいで腹も減ってきたし、一休みするか。休憩だ!」


「「「ははっ!」」」


 総責任者の鶴の一声で、その場の黒尽くめたちは喜んで仕事の手を休め、その場に座り込んだ。


「皆さんお疲れ様です! なにかお飲み物をお持ちしましょうか?」


「ああ、すまねえ。そこにある水槽の水を一杯汲んでもらえるかい?」


 学院で教師を勤めているとある黒装束の男が汗まみれの手で、何やらブクブク泡を立てている、ビドロ製の管が刺さっている水槽を指した。ちなみにその管は大きなフラスコにつながっており、何かの気体を集めていた。また、その周辺には木製のカップが置かれていた。


「これは……一体何ですか? 泡風呂の実験かなんかですか?」


「おーい、学院長様、こいつにこれ説明しちゃっていいんスか? まだ新人でしょ?」


 浅葱色の護符を手に持ち床でだらしなく両足を放り出した男は休むと言った割には一人その場に立ち尽くしているグラマリールに向かって大声で呼びかけた。


「ああ、別にそのくらいなら構わん。今のところ秘密にするほどの要素は何一つないからな」


「だとよ、良かったな。これは魔封剣作りの際に炭を燃やした時発生するガスを集める装置だ。このガスは水に溶けにくいため一旦水を通してフラスコに集めるんだが、それでも一部は水中に溶け込んでしまう。その水が実は飲んでみるとすっげえシュワーっとして刺激的で美味しいんだぜ。ここの研究室の密かな名物なんだ」


「へぇー、それは知りませんでした! でもそのガスを集める目的は一体何なんですか?」


 覆面を外して水を飲もうとスタンバっていた男の笑顔が固まる。


「おーい、学院長様、こいつにこれ説明しちゃってもらえますか? 俺は小難しい話は苦手でして……」


「貴様一応教員だろうが! ……まったくどいつもこいつも情けない奴ばかりだな。まあ良い、二人ともよく聞くがいい」


 ゴキリと音を立てて学院長の首がこちらを向く。一同は居住まいを正して一言も聞き逃すまいと耳をそばだてた。

皆様よいお年を!

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