カルテ628 怪球カマグ(前編) その16
「相変わらず欠片も理解できていなさそうな間抜け面をしているな……もう少しわかりやすく説明してやると、つまり作業によって内包する魔法の系統が異なるタイプの剣が出来るというわけだ。例えば今制作中のこの剣はかなりの高熱で鍛えているが、おそらく炎の魔法属性の剣になると予想される」
ダイヤモンドすら溶かしそうな高熱を発する剣を鍛えながら、学院長は淡々と述べる。部屋の温度が更に上がったかに思われるほど赫灼たる剣は陽炎を立ち昇らせていた。
「す、すごいですね……じゃあ、これで切ればいつでも焼肉が出来るってことですか!?」
「そんなもったいないことにせっかくの魔封剣を使うんじゃない! ……おっと、危うく誘導されそうになったわ」
鉄面皮のグラマリールも、思わずつられて突っ込みモードになりかけたが、鉄の意志で押しとどまった。
「すすすすすみません! またもや余計なことを口走ってしまい……」
「貴様実は全く反省してないだろう……だが、確かにこの剣で倒した相手はその場でローストビーフ化するやもしれんな。自分には考えもつかなったアイディアではあるが……ふむ」
コキコキと首を鳴らしながら、学院長は再び長考に入った。どうやら何かのツボを押してしまったらしい。
「ほ、他にはどんな剣があるんですか?」
せっかくの話の腰を折ってしまった償いとばかりに、彼女は必死に質問を絞り出す。途端に首の関節音が止み、「そうだな……」という低いつぶやきが銀仮面より発せられた。
「まだまだ未知数なところは多いが、今のところは五種類ほどの魔封剣が完成するのではないかと思われる。具体的にはそれぞれ、炎・水・風・雷・氷となりそうだ。なお、武芸に秀でた者がこの剣を振るえば、相乗効果で多分思いもよらぬ効果が発揮されるのではないかと推測しておる」
「なるほど……例えばドラゴンの焼肉とかですか?」
「そこから離れろ馬鹿者!」
絶対者の怒りの声が飛んだ。




