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カルテ627 怪球カマグ(前編) その15

「学院長殿の炎のような情熱はすごく伝わってきましたけど、元は皮膚だった金属を溶かしてまた固めるのは何故ですか? 無意味じゃないかと思いますけど……」


 結構するどい質問が彼女の口から飛び出し、室内の一同は意外の念に打たれた。


「ほう、そこを突いてくるか。確かに当初はただ単にこれらから護符代わりの銀の板でも作ろうかと考えておったが、それでは面白みに欠ける。また、長年に渡る様々な研究から、護符魔法の秘密はこ奴らの皮膚に潜む何らかの小生物によるものではないかと推察されたので、それが金属化によってどう変化しているのか色々試したくなった」


「え……」


 グラマリールは護符に関する超重大機密情報をいとも簡単に述べたため、質問者の方は開いた口がふさがらなくなったが、一拍置いてパニック状態となった。


「どどどどどどうしてそんなことが!? 身体の中に小さい妖精さんとかがいるんですかぁ!? それともお酒飲み過ぎた人が皮膚の下に虫が這ってるとか変なこと言うけどあれって本当だったんですかぁ!?」


「うるさいわ、たわけが! それ以上詳しく説明する義理はない!」


 ついに学院長の堪忍袋の緒が切れ、手にした鈍器をあらぬ方向に振り上げたため皆危険を察知し逃げ出す構えを取ったが、すぐに定位置に戻ったので事なきを得た。


「すすすすすみません! 出過ぎた真似をいたしました!」


「……まあ、うっかり口を滑らせてしまった自分も悪いことは悪いがな。致し方あるまい、話せるところまでは話してやろう」


 たちどころに冷静沈着化した姿は、まさに並ぶ者無きザイザル共和国の最高権力者であった。


「さて、結果論から言うと、その目にも映らぬほどの大きさの生物たちもハイ・イーブルエルフ同様金属化してはいるが、独自の法則性を持っているようで、皮膚が変化した金属部分から不純物を取り除く過程や作業中の温度などによって、どうやら残留する小生物の種類が異なることが判明した」


「……?」


 またもや理解不能状態に陥った聞き手だったが、懸命に脳死寸前の頭を動かそうと努めた。

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