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カルテ480 エターナル・エンペラー(後編) その48

「た、滝……!?」


 テレミンが思わず口走った通り、彼の眼前には地底にもかかわらず、遥かな高みから滔々と流れ落ちる大滝の豪壮な姿があった。そこは巨大な円筒状の縦穴となっており、地中を上下に貫いていた。滝は岩壁に生えた例の光る苔に照らされ、一匹の青い龍のごとく輝きながら、目の前を駆け抜けていく。


「どうなっているんだ……!?」


 彼は大きな塔の内部のような不思議な構造を知りたくて縦穴を見上げるも、天蓋部は暗黒に閉ざされており、詳細不明だった。また、下に目をやるも、滝壺すら目視出来ず、つまり以下同文だった。ただ、内壁に沿って古い階段が螺旋状に刻まれており、唯一の足場となっていた。石段の所々に坑道の入り口と思しき穴がポツポツと散見された。更に付け加えると何か金色の小さなものが視界の隅にチラチラときらめき、あたかも天の川を取り巻く無数の星々のようだった。


「本当にすごい……!この世界にこんな場所があったなんて……!」


「恥ずかしながら小生もこの歳で初見じゃなった初耳です。ついこのまま飛び込んでしまいたくなるほど美しい……!」


 今までおしっこおしっこしか言わなかった野郎2人もあまりの絶景にしばし尿意も忘れて呆然と立ち尽くしていた。滝から飛散する細かな水滴が淡い光を受けて極小の虹を生み出している様が、幻想的な景色に拍車をかけていた。


「いくら綺麗だからって勢い余って滝壺にダイビングなんかしちゃ死んじゃうわよ〜、ダオちゃ〜ん。それにしても天国みたいに素敵な場所ね〜。地面の下だから天国って例えるのも変だけど。でもこの大量の水ってどっから来るのかしら〜ん?山中の雪解け水が集まってきているのかしらね〜?」


 2人の間に無理矢理身体をねじ込ませたモヒカン頭が珍しく理知的に分析する。


「ソコノ奇特ナ格好ヲシタ蛮族、意外ニ鋭イナ。ソノ通リ、ココハファロム山ノ地下水脈ノ集合地点デアリ、『奈落ノ滝』ト呼バレル知ル人ゾ知ル秘境中ノ秘境ダ。カツテ坑道ガ機能シテイタ時代ハココヲ起点トシテ数多クノ横穴ガ四方八方ニ伸ビテイタノダ。今ハ忘レ去ラレテ久シイガナ」


 いつの間にか螺旋階段を登りかけていた案内人が名所案内を買ってくれた。

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