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カルテ478 エターナル・エンペラー(後編) その46

「言いたいことは何となくだけどわかるわ、青ローブさん。私も一度は人生終了した身だけど、こんな姿になってまで生き延びちゃっているんだから。ひょっとしてあなたもそうなの?」


 ルセフィの眠っていた好奇心が冬眠明けた蛇のようにぬるりと鎌首をもたげたため、彼女は興味津々の目つきになった。


「……余計ナ詮索ハ無用ダ。ソレニドウセ主様ノ御座所マデ行ケバワカルダロウ」


「その主様とは本当にメイロン博士とやらなの? こんな場所で何をしているの?」


「ダカラ言ッタデアロウ、行ケバワカルト。因ミニ今ノアノオ方ニ謁見シタトキハ、メイロン博士デハナク、エターナル・エンペラー閣下トオ呼ビスルガヨイ」


「エターナル・エンペラー!?」


 一同は初めて聞く謎の呼称に激しく動揺したため、一時的に隊列が乱れた。


「永遠の皇帝、とは導尿じゃなかったどういう意味ですかおしっこ!?」


「だからテレミン、今喋っちゃダメだって!」


「文字通リ全テヲ超越サレタ存在トイウ意味ダ。決シテ粗相ナキヨウニナ、下賤ノ者ドモ。ソレヨリモオ漏ラシ野郎ドモ、ソロソロ近イゾ」


「な、何がですかおしっこおおおおおお!?」


「テレミンさんおしっこじゃなかった落ち着いてください。そういえばさっきから水のおしっこじゃなかった音がだんだんおしっこじゃなくて大きくなってきたような……」


「わわわわ私もずっとゾンビやら死体やら何やらが続いたせいで少々おしっこじゃなくてお花摘みに……」


「んもう、フィズリンまで! やめてよ!」


「賑ヤカナトコロ悪イガ、ソコヲ曲ガルトモウスグダ、愚カ者ドモ」


 トイレが近くて内股で小刻み歩行となっている一行を捨て置いて、無慈悲な案内人がスタスタと洞窟の角の向こうに足早に姿を消す。


「まままま待ってくださいおしっこおおおおおお!」


「小生もおおおおおおおおしっこ!」


 置いていかれてはなるまいと冷や汗を流しながら小走りで後を追うテレミンとダオニールは、その場に前置きなく現前したこの世のものとは思えぬ壮大な光景に息を呑んだ。

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