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カルテ461 エターナル・エンペラー(後編) その28

「更に続けるとビタミンB12は五年間肝臓に蓄えられます。これって凄い微量でも劇的に効くので少量の貯蔵でも長年大丈夫なんですね。よって今まで述べたような異常事態が発生してもすぐには何も起こらないわけです。これが先ほどのあなたの質問への回答です」


「!」


 その瞬間、ラミアンは先ほど眼前に白亜の建物が出現した時以上の衝撃を受け、目の前が真っ白になった。アロフト村長の、エルフの村に滞在できる期間が五年間だけだという宣告の裏に秘められた真の意味が今や完全に理解できた。村長は明らかにこの残酷な事実を既に知っていたのだ。まるで全知全能の神のように少年の未来がどうなるかを把握し、憐憫の眼差しで観察していたのだ。


(そして、あの……)


 ラミアンは、先ほどの麦わら帽子と白いワンピース姿の女性が太陽のように輝き消える瞬間に言い残した言葉をまざまざと鼓膜に再現した。


「というわけで、長々と説明して悪かったけど、ようやく答えが披露される時が来たわ! さあ、しっかり聞いてくるのよ! あたしの代わりにね!」


「そうか、これこそがあの『答え』だったのか!」


 ラミアンは今や耐えきれずに思いを直接口にして、椅子から立ち上がり、両拳を血が滲み出しそうなほどきつく握りしめていた。謎は解けた。理屈ではなく彼の直感が、否、心がそうだと訴えていた。確たる証拠があるわけではないが、あの麦わら帽子の女性とアロフト村長は以前付き合っており、その結果おそらく悲劇的な結末を迎えたであろうことは想像に難くない。彼女は去り際にこう言っていた。「桜の木の下には死体が埋まっている」と。


「一体どうしたの、ラミアン!? いきなり変なことを口走って……」


「ちょっと僕の説明が長かったせいで、脳がゆだっちゃいましたかね? 誠に申し訳ない……」


 もはや雑音でしかない周囲の声を突き破るように、彼は拳を開いてバンと机に叩きつけた。


「ちょっと黙って聞いてくれ! 多分……多分だけど……」


 ラミアンは興奮のせいかつかえつかえしつつ、今まで見聞きしたことを簡潔に述べた後、自分の推測を吐露した。

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