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カルテ441 エターナル・エンペラー(後編) その8

「で、エルフさんって何を食べるんですか? 一枚食べるだけで一日食事要らずの秘伝の焼き菓子とかですか?」


 相変わらず本多は人間の患者よりもエルフの女性に興味津々で、質問攻めにしていた。


「おっしゃっている意味がよく分かりませんが……私たちは森の山菜や果物、木の実などを主に食べます」


「ほほう、菜食主義って感じですねー。お肉は食べないんですか?」


「動物や魚の肉は特に食さず、殺す時も相手が襲ってきた場合か、村を守るためだけです」


「ほうほう、それでそんなにお胸が小さいんですか、失礼ながら?まあ、昨今では巨乳系エルフも時代のニーズに合わせて増えてきましたが……」


「なななななんですってぇ!?」


「げぶぁっ!」


 あまりのことに激昂したラベルフィーユが咄嗟に放ったローキックによって、本多は椅子ごと吹っ飛び机に頭を強打した。


「ラミアンさん、即帰りましょう! この下等なゲス人間は愚かにも崇高なるエルフ一族を侮辱しました! 一度家に戻って特大包丁持ってきてこやつの四肢を切断して身体の首から下を地面に埋めてアロフト村長特製の全身の皮膚がずる剥けになる毒液を隙間に流し込んでそこにありとあらゆる毒虫を……」


「それどこかで聞いたことあるよ! それに待ってよ、ラベルフィーユ! 僕未だ一つも診てもらっていないし……」


 猫の目のごとき緑色の宝石の首飾りを揺らしながら回れ右してスタスタと出口に向かう怒れるエルフ嬢の後を、ラミアンは震える手足をなんとか最大限駆使して追いかけた。



「誠心誠意誠にもってすみませんでしたあああああ! 全人類憧れのまとの麗しのエルフさんに会って、つい年柄もなく大興奮してしまって……ほんのこれっぽっちも欠片もミジンコも全く悪気はなかったんですううううう! 純真無垢な知的好奇心の大暴走ってやつです! 今日はエルフに出会った記念日として全宇宙の祝日に決定しますから、寛大な慈悲のお心をもって何卒お許しくださいいいいいい!」


「……わかりました。今回だけは見逃して差し上げます。もう二度と変な質問はしないでくださいね」


 後頭部に大きな皮下血腫の出来たモジャモジャ頭を床に擦りつけて本多が土下座するため、ようやくラベルフィーユの機嫌も収まり、今度はベッドに腰を下ろして、椅子をラミアンに譲った。

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