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カルテ392 ライドラースの庭で(後編) その62

「ちょっと近づいたけどまだ違う! あれだよあれ! モー……!」


「わかりました先生、答えは桃太郎侍ですね」


「そうそう、さすがセレちゃん。般若のお面被って角が生えて……ってちっがーう! モーっていやあ牛でしょうが牛! ミノタウロスだよ!」


 遂に切れた本多が辛抱たまらず角を解除して両手を拳に変え、正解をゲロった。


「それならそうとさっさとおっしゃってください。確かにこの前そんな方が転がり込んできましたね。確かインヴェガ帝国の元軍人の、ケルガー・ラステットさんとか……」


 セレネースもようやく手刀の構えを解きながら、即座に記憶のカルテ庫にアクセスし、該当者を導き出した。


「そうそう、あの忍法穴ひらき状態の牛さんを診た場所こそが、例のお告げ所の裏当たりだったんだよ! 今更もう遅いよーファック! オーマイゴッド! ゴッドだけに!」


「さっきからギャグの切れが今一ですね、先生」


「うがあああああああ! 自分の桃太郎侍はいいのかよ!? 古すぎだよ!」


「それはひとまず置いておくとして、そんなに騒がなくてもいいですよ。長い目で見れば同じ場所に再び出現することは今までにも何回かありましたし、気長に待てばいいのではないですか?」


「そ、そうか……さっすがセレちゃん! 確かにどうせ神様だからご長寿だろうしそんなに焦らなくてもいい話ですね」


『いや、ちょっとは焦って下さいよ』


「あー、聞こえんなー。じゃあその件はそういうことで! ってそうだった、忘れるところでした! 実は僕もあなたに是非一つ尋ねたいことがあったんですよ、ライ神さん!」


 深夜のためかいつも以上に感情の起伏の激しい本多が落ち込みから急遽回復した途端、セレネースに向けていた人差し指をずずいっと蛍光灯が光る天井にずらした。


『……それはひょっとして、セレネースさんのことでしょうか?』


 先ほど本多にスルーされたにもかかわらず、何も根に持っていない様子で、まるで打てば響く太鼓のように答えがすぐさま脳内に返ってきた……やや陰りを帯びていたが。


「マーベラス! そうなんですよ、よくわかりましたね! すげえや超越者! 話が早い! いよっ、この色男!」


「先生……」


 急に態度を変えてヨイショしまくる太鼓持ち状態の本多に対し、セレネースが氷のような表情で時計を目で示した。

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