BLゲームのモブ女Aに転生しました。
かなり短いです。
...ここはどこ?あれ?私死んだんだっけ?
確か、バイトの帰りで信号を渡ろうとしたら...
「死んじゃった。トラックに轢かれてね?」
「ヘ?」
目の前に居たのは、神々しい姿をした美男子...。あれ、羽が生えてる。
もしかして、私を天国に連れて行ってくれる天使さん...
「そんな訳ないでしょ。勘違いしないでよ」
...まさか、私の考えている事が分かるの!?
「あの...つかぬことをお聞き致しますが、ここはどこなのでしょうか?トラックに轢かれて死んだ事は分かるのですが、その後の事が良く分からなくて...」
何かこの人色々知ってそうだし。
「あー...まぁ、君の事は大体分かるよ。見ていれば予想つくし。
さて、君からの質問だけど僕親切だから答えてあげる。
ここは、あの世と現世を繋ぐゲートだよ。君は、死んだ後天使達に魂を運ばれてここまで来たわけ」
「な、なるほど」
あの世と現世を繋ぐゲート...。
私、本当に死んじゃったんだ。なんだか実感がないな。
「本当なら、君の現世での行いは悪くないから天国に行くはずだったんだけど...僕、君の事気に入っちゃったんだよね」
は、はい?
「ねえ、君...ゲームの世界に入ってみる気ない?」
「あの、おっしゃっている意味がよく分からないのですが」
この人、頭がどうかしちゃったのかな?
ゲームの世界って...私をどうするつもりなの?
てか、この人...誰?
「おっと、僕としたことが。まだ僕の正体言ってなかったね。ごめんごめん。えっと、簡単に言うと僕は神様。ってその顔、信じてないでしょ!」
ええ。信じていません。
だって、こんな人が神様なんて...ありえない。
見た目凄いチャラそうだし。
金髪金目の美男子で誰もが見惚れてしまいそうな容姿してるし、
(実際私も見惚れてしまった)女の子ひっかえとっかえしてそうな、(私の第一印象だけど)人が神様なんて...
「「この世の終わりだ...」」
!?
「そんな事思われていたなんて、神様として僕もまだまだだな。
あと、君の考えていることなんてお見通し。すぐ分かるんだから。
...それに僕、女の子とっかえひっかえなんてしてないよ。
僕、これでも結構一途な方だよ?ただ、ちょっと出会いがないだけで...でも、この前の女の子達と会った時は...」
「あ、もう大丈夫です、勘違いしてすいませんでした」
面倒くさいな。この自称神様。
「おもいっきり勘違いしてるじゃん!あと、面倒くさいは余計!」
っく。そういえばこの人、私の考えていること読めちゃうんだったっけ?やっぱり面倒くさい。
「だーかーらー!面倒くさいは余計だよ!全く...」
何が全くだ。本当の事言って何が悪い。
「悪いよ。物凄く。で、さっきの話の続き、覚えてる?」
「ええ。覚えてますよ。ゲームの世界に転生するかしないか...ですよね?」
「うん、そうだよ。んでどうする?あ、言っておくけどゲームっていっても、現世にまだいたとき君がどっぷりハマっていたBLゲームだけどね」
「え?」
それ、マジ?
「うん。マジ。」
え、てことは、美男子達がイチャイチャラブラブしている所を間近で見られるってこと!?
直接私が、ゲームの世界に入って、見られるってことだよね!?
よ、よ.........
「よっしゃああぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!!」
「うわっ!急に叫びだして、驚かせないでよ。何、そんなに嬉しいの?」
「勿論ですよ!だって私、根っからの腐女子ですから!」
「いや、そんな堂々と言わなくても...じゃあ、OKってこと宜しい?」
「はい!OKです!バリバリOKです!あのー、聞きそびれた事があるのですが、私のこと、気に入ったとか...あの」
「そのまんまの意味だよ。だから、君のお気に入りのゲームに転生させてあげようと思ったんだよ。普通ならありえないんだから、感謝してよ?」
「はい!感謝致します!自称神様!」
「だから!僕本当に神様だから!」
ぐへへ。こんな喜ばしい事があるなんて、死んで良かったー。
ゲームの世界に転生出来るなんて現実じゃありえないって思ってたけど、まさか本当にあるなんて、人生何あるか分からないもんだなー。
「喜んでくれて何よりだよ。あ、でちなみに君が転生するのはゲーム内のモブ女Aだから。ま、見る分には良いポジションでしょ」
「は、はい!モブ女なら尚更嬉しいです!ふふふ...腐女子の私にとっては嬉しい限りのポジションです!」
モブキャラなんて一番良いじゃないか。ラッキー。
「じゃあ早速お願いします!」
「ハキハキしてるね。死んだのに。今から君の魂をそのモブキャラの女の子の体に転送させるから、じっとしてて」
すると、私の体が徐々に光だした。あぁ、もうすぐ行ける。
私の楽園に。ふふ...
「あ、言うの忘れてた。転送したらしたで、君には半年以内にヒーロー達を攻略してもらうから。」
「は?」
「じゃないと君、死ぬから。死神達が君の魂を取りに来るからね。
そこんとこ宜しく」
「え、ちょ!?」
何それ!?聞いてないし!
「それじゃあ、夢の楽園ライフ楽しんできてね。バイバーイ!」
そう言い残し、自称クソ神は消えていった。
は?り、り、
「理不尽過ぎるーー!!!」
本当、クソ過ぎるでしょ。
そう思った私は、薄れていく頭で絶望という言葉を思い浮かべた。
いや、もう本当勘弁して。
「どうした?そんな青ざめて」
ただ、眺めているだけで良かった。うん、それだけで良かった。
「っていうか、俺の皐取らないでくんねぇーか?メス犬」
何でこうなった。
私が前世にどっぷりハマっていたBLゲーム、~君と僕が出会うとき~っていう良くありがちなBLゲーム。といっても、どっかの族の長が変装して男子校に入り、お決まりの生徒会の人達とウハウハという王道ではなく、どちらかというと少女漫画に近いBLゲームだった。当時、少女漫画にもBLにもハマっていた私にとっては一石二鳥のゲームであり、さらにイラストが私が好きなイラストレーターが描いていた物だからその熱情は絶頂までに達するほどだった。
そしてここは城ヶ崎学園。共学。名前的に上流階級の所って思うけど実際そうでもないところで。他と違う所を挙げるとすれば、偏差値が異常に高いのと、学園の生徒達の顔面偏差値が高い所だ。
流石、ゲームの世界だけあってモブだろうが何だろうが私から見て美男美女に入る程だ。
やれやれ、私もどっかの可愛い子ちゃんに転生しちゃったかな?と思った矢先、鏡を見てみると、
「お前って、どちらかというと可哀想な顔してるな。俺は無理」
うぐっ。今の結構傷ついた。
あ、それと私あの自称クソ神に言われた通り死神に魂を取られないようにヒーロー達を攻略している最中です。
え?うまくいってるかって?よくぞ聞いてくれた!
...うん。全然うまくいってないです。
転生してから1週間経つけど、全然うまくいかない。
いや、だってそうなるはずだよね。だって私、乙女ゲームやった事ないもん。今の状況は乙女ゲームに近い。うん。近い。
うわぁぁぁああぁあぁ!神様の馬鹿!このままじゃ私死神に霊抜き取られちゃうよぉぉー!
でも、私もともと死んでいたし。こんな機会もう二度とないって思ってる。
だが、これはムリゲーだ。絶対私には出来ない。
はぁ.....。私って今絶体絶命だ。
「何か喋ったらどうなんだ?あぁ?」
今、私に話しかけているのはこのゲームの主人公の友人、森元一葉
。茶色の髪に碧眼の美男子。
学年は私達通り同じ一年。主人公も他多数(一部除く)はほとんど一年だ。
何でこいつ何かと。私は主人公が先に見たい。
そして、主人公が他の美男子達とイチャイチャしている所を見たい。
「ほら、固まっちゃってるよ?一葉。久寿川さんが可哀想だ。」
「だって、こいつ。何にもしゃべんねーだもん。」
喋らないんじゃない。あんたと話がしたくないからだ。
私の事を久寿川と言ったのは、平泉皐。森元一葉とは幼なじみの関係だ。さっき森元一葉が皐と言っていたのは彼の事だ。平泉皐は金髪金目のこれまた美男子。
森元一葉が俺の皐とか何とか言っていたけれど別に二人は付き合ってなどはいない。森元一葉の一方的な片思いと言った所だ。
え?こいつらは攻略対象じゃないの?って?
いやいや、立派な攻略対象です。
まぁ、設定がこうだからね。これもゲームの内だよね。
「はぁー。最悪。せっかく皐と同じクラスになれて席も近いのに、何でこの女が俺達の席の間にいるんだよ、マジないわ。」
それはこっちのセリフだ。
「まぁまぁ、そう言わずに。あ!ねぇ、久寿川さん。今度駅前に美味しいケーキ屋が出来るんだけど良かったら一緒に行かない?」
「え?私と「何でこんな奴なんか誘うんだよっ!普通俺を誘うだろっ!?」
ちょっ、勝手に割り込んで来るな。ちなみに私は森元一葉が一番嫌いなキャラだ。こいつだけは絶対やだ。
「どうして俺が一葉を誘わなきゃならないんだ。何か理由でもあるのか?」
「ありまくりだっ!!俺は...俺はぁっ!」
「どうせくだらない理由だろ?とにかく俺は久寿川さんを誘う。どう?来週から部活体験が始まるから今週になっちゃうけど。」
え?嘘っ!?よっしゃっ!なかなかこんな機会ないぞ?二人きりって事は攻略出来るチャンス!
「う、うん!行く!私もそこ前から行きたいと思ってた!」
「よしっ!決まりだな!」
「.....くそっ」
はぁっ!ざまぁみやがれ!
こうして、私は戸惑いながらも一歩踏み出す。
てか、モブの私がヒーロー達と関わっていいのか?
いや、良いんだ!何せ、私の未来がかかってるんだから!
ふぅー...疲れた。
家まで帰れるかなって思ってたけど、無事帰還。
やれやれ全く。本当にうまくいくのかなぁ?これ。
「うまくいってるみたいだね!」
「あ」
自称クソ神っ!!
「だから自称じゃないって。本当に神様だよ。それと、クソはやめよう?仮にも女の子なんだからさ」
「う、うるさい!私はれっきとした女の子です!後、貴方に言いたい事が山ほど在るのですが!」
そうだ!言いたい事がいっぱいあるんだ!
「あー攻略の事?何?そんなに大変なこと?」
「大変です!そりゃもう!」
当たり前だ!馬鹿野郎!
「ありゃー...。馬鹿野郎とまで言われるとは。まぁ、君にとっては大変だろうねー。...あぁ!君にもうひとつ言うことがあって僕、ここまで来たんだよ!」
「はい?」
全く、今度は何だ。
「ヒーロー達を攻略しろとは言ったけれど全員じゃない。君が攻略するべき人はこのゲームの主人公と、このゲームの一番人気キャラクター神崎零だよ。君、平泉皐と順調そうだけど、それ、君にとっては無意味だよ。言うの遅れてごめんね!」
...はぁ?意味が分からん。何故それを最初に言わない。おかげで私は大嫌いな森元一葉と関わってしまったし、貴重な一週間を無駄にしてしまった。
「ごめんねぇー。僕忘れっぽくてさぁー。いやー本当ごめんねー。ん?もしかして、怒って...」
「とっとと帰れぇぇぇぇぇーーーー!!!!!!!!!」
そりゃ怒鳴った。良いストレス発散になった。
それから、私はどうしたって?
そりゃもちろん、主人公と神崎零の攻略に勤しんでいますよ。
あれから三ヶ月。
もちろんうまくいってません。
え?平泉皐との、放課後の約束?普通に行ったよ?二人きりでね。
いゃぁー楽しかったなぁー。ケーキも美味しかったし、色々話せたし、あの森元一葉が悔しがる所も見えたし。いやぁー良かった良かった。んでっ。
まず最初、主人公に接触しました。名前と顔を覚えてもらいました。
ただ、それだけです。三ヶ月、一体何をやっていたんだ私は。
お次は神崎零。黒髪黒目の超絶美男子。彼は学校一のイケメンで、学校一のモテ男でもある。彼は忙しい方なので、なかなか会って話す事はありません。
ゲームが始まるのは一年の二学期から。
今は7月の初め。
もう、どうすりゃいいんだ?
「あれ?久寿川さん!」
「ん?」
この声は、平泉皐か?
「偶然だね?今お昼なのに一人?」
なんだ。私がぼっちとだと言いたいのか?
安心しろ。友達は全くといっていいほどいない。
この久寿川真子と言うモブ女は友達がいない。
...私が悪いと言うのもあるけど。
「あのさ、良かったら中庭で一緒に食べない?」
「ヘ?」
「嫌だったら良いんだけど...」
嫌じゃない。むしろ大歓迎だ!
「うん!私で良ければ!」
私的には彼が攻略対象だったら良かったんだけどな。
ま、それももう手遅れか。
この時の私は気付かない。あの男の視線なんて。
「どうした零。外なんか見て、何か気になる事でもあるのか?」
「いや、別に」
これが何を示していたか。知っていたら良かったのかもしれない。
でも、ゲームのネタバレをするなんてつまんなくなる。
だから、私は知らないまま過ごして行く。二度目の人生だから、楽しくやっていかないとね。
そう思った私は、あの青空の向こうにいる自称クソ神に満面の笑顔を向けて、私は前に進む。
もしかしたら、長編小説にするかもしれません。