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どうして…

作者: 溝上
掲載日:2016/01/07

(空虚な空、何事も無かったように流れるくも、周りを気に留めず慌ただしく歩く人々)

「僕は何を見ていたのだろう…」

「ジャー」

(水道の音が鳴り響く)

母「誰が水道流しっぱなしにしてるの」

弟「僕じゃないよ」

父「違うよ」

祖母「私ではないですよ」

母「おかしいね…」

僕「あ、ごめん」

母「…」

その時、僕の存在が消えた…

僕「お母さん」

母「…」

(無視されてるのかな…何か悪いことしたかな…)

気になる事はあったが、授業が始まるので、身支度をし、学校に向かった。

いつも乗るバスを待ってると、バスに通り過ぎられた。

僕「今日はついてないな…はぁ…」

ちょっと気は沈んでいたが、次のバスを待つことにした。

10分後、20代くらいの女性が来た。

その後バスが来て僕はバスに乗った。

僕「今日は空いているなー」

僕は、1番後ろの席に座ることにした。

いつも通り、携帯を見ながら過ごしていると、降りる駅に着いた。

僕「ありがとうございました」

運転手「…」

無愛想だなと思いつつ降りた。

そのまま、僕は電車に乗ろうと階段を登ろうとしていたその時、

(ばぁぁん)

少女「え…」

少女とぶつかった。

僕「すみません…」

少女はきょとんとしている。

少女「もしかして、私が見えるのですか⁇」

僕「当たり前じゃないか」

少女「それが…」

少女は一週間前から誰からも認識されなくなったと言う。

僕は、半信半疑であったが自身も気になることがあったので、少女と場所を変えて話すことにした。

僕も今日あった話を少女に伝えると、

少女「私たちは存在が消えています…」

僕「そんなはずないだろ!」

少女は、少し泣きかけていた。

僕「ごめん…」

(最近の子はアニメの影…いや、待てよ、今日、誰からも返事が無かっ…)

少女「…わたしもわからないんです」

僕「そうだよね、僕は正直まだ信じられない。でも、君の事は信じるよ」

(まだ、少女の事も信用は出来なかったが、少女の気持ちを考えると思わず、言ってしまった)

少女は嬉しそうに、

少女「一緒にいてくれませんか⁇」

ただ、その笑顔には陰りがあった

僕「良いよ。ただ、君の記憶を教えてくれないか⁇僕の記憶は曖昧なんだ」

少女「わたしも曖昧なの…断片しか」

2人とも記憶が曖昧だった。覚えているのは、家族が居たこと、自分が存在したことだけだった…

少女の顔がまた、寂しそうになった

僕「ご飯でも食べようか!何を食べたい⁇」

少女「ハンバーグ」

僕たちは喫茶店に寄った。

僕「すみません!」

反応がない…

僕「やはりか…」

少し期待していたが、やはり無理だった。

僕「僕の家なら何かあるかもしれない。僕の家に行こうか」

少女は少し申し訳なさそうに

少女「良いの⁇」

僕「良いよ」

僕たちはバスに乗り込んだ。

僕は、少女が少しでも気分が晴れるようにと

色々話した。

少し経つと、バスが降りる駅に着いた。

そこから、歩いて家に着いた。

この時間は誰もいないので、冷蔵庫をあさると、ミンチがあったのでハンバーグを作ってあげた。

少女「ありがと…」

少女は泣き出した。

僕も泣きたくなったが、涙を堪え少女の頭を撫でた。

(少女は抱きついた。)

僕もそっと抱きしめた。ひしひしと少女の寂しさが伝わって来た…

少し時間が経ち、僕たちはアルバムを見ることにした。

僕「あ…写ってる」

少女「ほ…本当だ!」

そこに、僕は確かに存在した。

(ガシャ)

玄関が開く音がした。

家族が帰ってきた。

弟「今日楽しかったね」

母「あそこの料理美味しかったねー」

祖母「運転ありがとう」

父「いえいえ」

僕「…」

普通に時間は流れる。

僕が居なくても良いのではないか…本当は居なかったのではないかと思ってしまいそうになるくらい。

少女「お散歩に行かない⁇」

僕「良いよ」

街を歩いていると様々な人がいた。

携帯を触っている人、仕事している人、主婦。

ふと、横を見るとお婆さんの荷物を持っている青年が居た。少し話に耳を傾けていると、初対面らしい。

僕「僕は、こんな事をすんなり出来るのだろうか…」

と考えながら、少し歩いていると土手に出た。

少女「綺麗な夕日」

少女は満面の笑みで僕を見ている。

僕「そうだね!」

少女もまた、僕を思って連れ出してくれたんだと感じた。

(僕は今まで誰かのために悩み、考えて動いたことがあったのだろうか…⁇)

僕「連れて行きたいところがある」

少女「どこ⁇」

僕「着いてきて」

そこは、閉鎖された小学校だった。

僕「ここは昔沢山の学生が通うマンモス校だったんだよ」

少女「そうなの⁇」

僕は門を飛び越えた。

少女「え…大丈夫なの⁇」

僕「平気さ…おいで」

少女「うん」

2人は小学校の教室に向かった。

僕「黒板に書きたいこと書いてごらん」

少女「何でも良いの⁇」

僕「何でも、自分が今、思う物を描いてごらん」

少女は僕と2人で居る絵を描いた。

僕はその姿をじっと観ていた。

少女が描き終えたのを見て、

僕「もう、書き残した事ないかい⁇」

少女「うん」

僕「これを、僕たちの生きた証にしよう」

少女「え⁇」

僕「何でこうなったかはわからないけど、ここに居ることをなかったことにされるのは嫌だったから」

僕はこう続けた

僕「最初は、何が何だか分からなくて、もう自分の存在なんて…っと思ったりもしたけど、僕は今の時間を大切にしたい、残したいと思ったんだ」

少女「何かクサイし、ありきたりなセリフ…だけど、ありがと」

僕「…」

少女「…」

2人はじっと黒板を見つめていた。

少し時間が経ち、2人は家に帰ることにした。

帰るともう、夜になっていた。

ご飯を済ませると、

僕「色々あったよな、いつ戻れるんだろ…」

少女「戻れなくても良い…よ」

少女は眠ってしまった。

僕は少女の言葉が嬉しかった。

でも、いつかは戻らなくてはならないこと、もしかしたらどちらだけが戻ってしまうかもしれない事、戻れないかもしれない事、色々可能性があるなと考えていた。

僕「どうすれば…」

考えている途中、ふと思った、

僕「今日は普段なら気にも留めない、他人の姿を見ていたな…家族や、友達に気持ちをちゃんと伝えるべきだったな…あの子にも」

寝てる少女を見て言った。

答えが出ないまま眠ってしまった。

母「起きなさい、遅刻するよ」

朝、母に起こされた。

僕「え…」

僕「あれは、夢」

僕「あれ…」

(少女の姿が見当たらない…)

あれが夢だったのかどうかはわからない…

少女がどこに行ってしまったのかも…

何故あの状況になったのかも…

ただ、一つ言えることは

人間には瞳がついていて、目視出来ることだけをついつい見てしまう。だが、そこだけにとらわれてしまっては、本質は見抜けない。しかし、その本質こそが1番見なければならない点なのではないかと…

そう思いつつ登校した。

バスが降りる場所に着き、電車の階段に向かった。

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