始まり
大変長らくお待たせいたしました‥‥‥
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俺が目を開けると、真っ白な天井が見えた。
「ここは‥‥‥どこだ‥‥‥?」
すると、近くにいた看護士が歓声をあげる。
それを見て俺はここが病室だと知った。
それも驚いたが次の言葉にさらに驚かされた
「Docter! Boy is revival!!」
(先生、少年が蘇生しました、か)
納得しそうになった‥‥が
(ちょっと待てよ‥‥なんで理解できてんだ?俺はそんな頭よくないぞ‥‥)
「ユウ!!」
そう叫んで病室に入ってきたのは見知らぬ女性。
まるでモデルのようなプロポーションに端正な顔立ち。
長い黒髪は腰までかかる、きれいな髪。
「えぇっと‥‥どちら様ですか?」
そのコトバを口にした瞬間、女性が凍りついた。
「今‥‥‥なんて‥‥‥」
そのただならない雰囲気に医者達も困惑する。
その時、何の気なしに鏡を見た。
そこに映った姿は、
俺じゃなかった。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」
その後のドタバタは‥‥‥
とんでもないぐらいすごいものだった。
俺が再びその女性にあったのは3日後のこと。
様々な検査を受けてからのこと。
その女性から聞いたことは、驚きの連続だった。
まず俺―――明神悠―――は今、木村夕という男の体になっているらしい。
そしてこの女性は木村尋菜という名前で、木村夕の母親ということらしい。
つまり、俺は見ず知らずの人間に乗り移ったみたいだ。
理由は謎、解決方法も謎。
とりあえず、周りは部分的な記憶喪失だと思っているようだ。
それに、どうやら脳みその質は木村夕のままであるようで、前なら絶対答えられないような難解な数式なんかも解くことが出来た。
そのおかげで「普通に生活させてみる」という措置がとられた。
明日から俺は木村家で生活することになった。
その日の夜‥‥‥
「おい」
いきなり何かに話しかけられた。
「何か、は酷いだろ?」
目を開けるとそこには――――――
「体の持ち主に、さ」
今の俺、つまり―――木村夕がいた。
「どう?その体は不都合なところはある?」
「不都合だらけだよ。まずなんでこうなったか説明しろ」
「ま、そのうちにね。大丈夫だよ、心配しなくても」
そう言って消えた。
「心配に‥‥‥決まってんだろ」
こうして、俺の、木村夕としての生活がスタートした。