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ガチャ5 複数の敵

 銃口を向けられているとは知らずに、ゴブリン達が茂みを抜けてくる。

 リュウは先頭を歩いていたゴブリンに狙いをつけて魔弾を放った。

 

 何をされたかもわからずに額を撃ち抜かれ、緑色の血を流し倒れるゴブリン。


 残りのゴブリン達が騒ぎ出す。


「グギャギャ!?」


 浮き足だったゴブリン達は近くに敵がいると思ったのか、銃声が聞こえた方へと棍棒を構えて走り出す。 


 リュウは不用意に茂みを抜けて来たゴブリンの内、1体に銃口を滑らせるように合わせ、トリガーを素早く絞る。


「……カヒュ」


 甲高い音を響かせ、音速を超えた弾丸がゴブリンの頭部に着弾。


 脳を破壊されたゴブリンは叫ぶこともできずにその場で崩れ落ちた。


 2体も仲間を失い興奮したゴブリンは茂みを超えても敵がいないことに困惑し、その場で足を止め首を何度も横へ振って周囲を睨んでいる。


(魔弾の拳銃は良好。反動があまりないのもいいな。残ったアイツはステータスが俺より低い。近接戦闘をやってみるか……)


 黒革が巻かれた柄を握り、フレイムタンを抜こうとするもリュウは手が震えて上手く引き抜けない。


 魔弾の拳銃で狙撃した時とは決定的にリスクの高さ違う。


 相手からも攻撃され命を失うかもしれない。そんな考えが頭を過ると血の気が引き、呼吸が浅くなって息が詰まり苦しくなった。


(死ぬのは怖いっ! だが、ステータスでは俺の方が上なんだ。勝てるはずだ。

 フレイムタンだって凄まじい切れ味だ。怪我したっていいじやないか。街に行けばなんとかなるだろう。

 ゴブリンはきっと最弱のモンスター。今、ここで、こいつに真正面から立ち向かえなかったら……。

 俺はこの世界で一生モンスターの影に怯えて暮らすことになる。だいたい、一文無しの俺はモンスターから取れる素材を持っていかなきゃ街にも入れないんだ。やるしかない!)


 荒くなった呼吸を必死で整え、再び柄に手を伸ばした。


 音を鳴らさないよう、ゆっくりとフレイムタンを抜いていく。洗練された魔法銀製の刀身が、陽光を反射した。 


「こいよ。化物!!」

(炎よ、燃え上がれ!)

  

 未だに高鳴る心臓から心音が脳にまで響いているが、覚悟を決めたリュウはゴブリンの前に飛び出して、宣戦布告とばかりに挑発的な言葉を吐いて己を鼓舞。


 挨拶代わりにフレイムタンを突きだし炎を噴出させた。


 ようやく目の前に現れた敵から、言葉はわからずともバカにされていると感じ取ったゴブリンは興奮して一直線にリュウの元へ走り寄っていく。


 手の届く間合いに入ったゴブリンが飛び上がりながら棍棒を勢いよく振りかぶったと同時にリュウの頭に向けて振り降ろす。


 小柄な体格からは想像もつかないほどの速さであり、当たれば普通の人間の頭ならば完全に首が折れ、顔の原形がわからないほど醜くなっていただろう。


 リュウはゴブリンを上回る敏捷を信じ、すくみそうになっている足を無理矢理動かして左に避ける。


 動き出しが僅かに遅れたせいで、劣竜革のジャケットに棍棒がかすった。


(あっぶねぇ!)


 内心で悲鳴を上げ、身体中から冷や汗が吹き出す。

 しかし、ゴブリンも全力で棍棒を振り切って動きが一瞬だけ止まっていた。


 このチャンスを逃すわけにはいかない。


「はぁああああああ!!」


 フレイムタンがゴブリンの無防備な首に触れるとまるで何もなかったかのように刃が通り抜け、紅い光茫が尾を引くと同時に傷口を焼かれた首と胴体が煙を上げながら崩れ落ちた。


(なんとか、倒せたか……)


 モンスターと言えども人に近い形をしたゴブリン。殺したことにもっと動揺するかと思ったが、それよりも今は生き残れたことの喜びの方が強かった。


 知らない内に身体中に入っていた力を抜いていき、棍棒がかすったことを思い出して劣竜革のジャケットを確認。傷がついていないことがわかり安堵の溜め息をついたリュウは、念のため自身のHPが減っていないか見ることにした。


「ステータスオープン」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 リュウ

種族 人間

レベル 3

HP70/70

MP25/125

筋力 45

魔力 24

耐久 46

敏捷 44

器用 27

幸運 EX


スキル

【レアガチャlv1】

【MP増加lv1】

【身体能力強化lv1】

【千里眼lv1】

【鑑定lv3】

【 異世界言語翻訳・通訳】


魔法

【雷魔法lv1】

【サバイバル魔法lv10】


加護

【ガチャ神の加護】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(スキルや装備が充実してたから倒せたようなものだし、レベルアップもおかしくはないか。初戦闘でレベルが上がるなんて幸先いいな。ステータスの上がりも上々だ。ゴブリンなら何体でも余裕なんじゃないか?)


 レベルが上がり、ステータスも大幅に上がってリュウの口元に笑みが浮かぶ。


 しかし、肝心なことが解決していない。

 街に入るためにはモンスターから採った素材を売って金にする必要があるのだが、売れる素材はゴブリンの場合存在するのかということだ。牙も小さいし、爪も尖っているが貧弱そうである。

 人形のモンスターの肉なんて、普通の神経をしていたら食べられないとリュウは感じていた。


(まいったな。ゴブリンなら倒せるだろうが、今日、初めて入った森を奥まで進むのはリスクが高すぎる。魔弾の拳銃の残弾に余裕がある時にした方がいい。

 しかし、素材らしいものがないのも事実だ。どうする?)


 肉体的にも精神的にも疲れており、これ以上の探索や戦闘は命取りになる可能性があるが、素材がなければ金は手に入らない。

 そうすると、モンスターが出る可能性のある街の外で野宿しなければならなくなる。


「「うぉおお!」」


「グギャギャッ!!」


 堂々巡りする思考に頭を悩ませていると、気合の入った男達の声と耳障りなゴブリンの怒気を含んだ叫び声が遠くから聞こえてきた。


(ゴブリンと戦闘する奴らがいるのか。声が重なって聞こえてきたから、複数で戦っているんだろう。恐らく問題なく勝つだろう。何を素材として持っていくか見せてもらうとするか)


 レベルアップで上昇した筋力、敏捷、器用を存分に生かし、素手で木の凸凹に捕まり、危なげなく木を上っていった。

 やれると思ったがあっさりとできてしまったことに自分で驚きつつも、太めの枝に腰を下ろし、千里眼で男達の戦闘を観察し始めた。

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